TSUNODAの経営・経済つれづれ草

身近な経営に関すること、経済に関することを思うままに

経産省が二酸化炭素削減で小売業対象の行動規範作成

2009-07-31 07:14:31 | 経営全般
 経済産業省は、スーパーや百貨店、コンビニエンスストアなど小売業界を対象に、二酸化炭素の排出削減を促進するための行動規範を策定します。

 8月に、有権者や業界団体で構成する「エコストア研究会」を立ち上げ、小売業界の店舗設計や商品流通システムなどを調査し、産業界より遅れている省エネの推進策を、今年度内に報告書にまとめる予定です。

 研究会では小売業界の仕入れから販売に至るまでの過程で、二酸化炭素をどの程度排出しているかを調べます。こうした二酸化炭素の排出量を数値化して商品に表示する「カーボンフットプリント」の算定ルールを決め、省エネの指標づくりに活用します。

 小売業界の省エネがメーカーや卸売業にどの程度影響し、温暖化対策に積極的な店舗を「エコストア」として認定する制度も検討します。

 調査結果をもとに「環境行動規範」を策定し、規範に則した活動を表彰する制度も創設する予定です。環境対策と経済活動の両立を目指す中長期の取り組みについては、「次世代型エコストア構想」をまとめモデル事業を実施する予定です。

 今回の計画には、行政が実施する事業の典型だと私は思います。①報告書の作成
、②指標づくり、③認定制度(今回はエコストア認定)、④表彰、⑤モデル事業の実施がその内容です。

 小売業の二酸化炭素削減はきわめて重要なことだと思いますが、その促進施策は、陳腐すぎるように思えます。いつも思うのですが、表彰制度などは何の意味があるのでしょうか。。今の時代は、お上から表彰されてモチベーションが上がるような時代なのでしょうか。

 

今年の最低賃金決定、地域産業に配慮

2009-07-30 06:50:44 | 雇用・就職
 厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は都道府県の「最低賃金」について28日、2009年度は35県は現状維持とし、その金額が生活保護の支給額を下回る12都道府県で引き下げることを決めました。

 結果として、時給703円の全国平均額を7~9円引き上げることになります。改定額の目安の決定を受けて、各都道府県ごとに引き上げ額を秋から適用します。

 最低賃金が生活保護を下回る地域は2008年度から3県増え12都道府県となっています。今回の決定どおりに引き上げても2009年度には解消できず、10都道府県で是正は来年度になります。
 しかし、大幅な引き上げは、企業の採用意欲や雇用拡大努力を損う懸念と、不況にさらされている中小企業の経営をさらに悪化させてしまうということからの実施されず、今回の改正額となりました。

 最低賃金の額は、本来フルタイムで働いている人に扶養されているなどがパートで働く時の基準だったと思います。しかし、今は非正規労働者が3分の1となっている労働市場で、最低賃金の時給で生活をしている労働者が多く出現しています。
 ワーキングプアという言葉の定着はこの雇用環境の表した言葉です。

 私は、かつて専門校で学生の職業能力開発支援を仕事としていた時があります。
 そして、学生を社会に送り出す時に、思いどうり就職ができなかった学生もいたので、「健康ならばどんなことをいても生活していける。開ける。健康がこれからは一番大事」と話していたものです。

 しかし、今は健康で必死に働いても、生活保護以下の収入しか得られない状況に陥ってしまう雇用環境が存在します。

 職について真面目に働けば人並みの生活ができる雇用環境を作ることが、優先順位1番で政治が、そして行政が取り組むべき課題だと思います。
 

 


不動産担保融資が地域金融で拡大する

2009-07-29 07:03:05 | 経営全般
農家が飼育する豚や牛、工場の工作機械などを担保に融資する「動産担保融資」に力を入れる金融機関が増えています。2008年度の融資件数は前年比2.7倍の1,387件と急増しました。金額ベースでは63%増の585億円でした。

 動産担保融資は在庫商品や工場設備などの動産を担保にして資金を貸し付ける手法です。不動産に乏しい中小企業でも資金調達手段を多様化できるとして注目されています。そこには、不動産担保融資に傾斜して不多額の不良債権を抱えた金融機関の反省があります。

 その不動産担保で課題は担保価値の評価と、実際の融資先が倒産したときの担保処分です。担保に設定する動産に精通した専門家や企業と提携し、目利きから担保処分まで任せることで融資する金融機関も多く存在します。

 まだまだ、不動産担保融資は件数、金額ともに急拡大していますが、不動産担保に比較した場合は絶対数でわずかです。
 
 私も、融資業務に携わった時には、高額の融資案件については、不動産を担保に入れてもらいました。融資申込企業を十分すぎるほどの調査するのですが、最終的には不動産を担保にしてあれば、もしもの時も対応できるという考え方からです。 それで、不動産を所有していない経営者には融資を断念してもらうケースもありました。

 土地、建物などの不動産は十分に所有していないが、その経営手腕や製品などで成長が見込める農家や中小企業は多く存在しており、それらの企業にとってはこの「不動産担保融資」はタイムリーな融資ではないでしょうか。

 そして、ただ単に不動産の評価額を基準として融資するのと違い、企業自身を評価する融資は、融資の本筋だと思います。しかし、その目利きをから担保処分は本来銀行の仕事ではないでしょうか。その業務を委託してしまう銀行では、不動産担保を基軸として融資していた時の銀行と変わりはないように私は思います。

 自分の経験からも融資するということは、自らもリスクを取るという気概が求めらると私は思います。

 

 

 

 

 


自動車関連、倒産50%増-帝国データバンクから-

2009-07-28 06:27:46 | 経営全般
企業調査企業の帝国データバンクの発表では、今年1~6月の自動車関連企業の倒産件数が前年同期比50.8%増の273件でした。負債総額は1,061憶5,700万円で、2008年通年の1,197億円に迫る金額でした。

 半年で50%あまりの増加した理由は、昨秋以降の販売不振による大幅減産が、中小部品メーカーなどを直撃したことによります。

 業種別では、中古車販売業者が半数を占める卸・小売業が131件で最多です。2次下請け以下の自動車部品メーカーが大半を占める製造業が93件となっています。製造業は2007年までは好調な業績でしたので、その時に実施した設備投資の借入返済が資金繰りの負担となり、倒産件数が前年同期比で約3倍となりました。

 倒産件数は2008年後半から増加し、2009年3月には最多の62年となりましたが、その後は減少していますが、なお、前年同月比と比較した場合は上回った数値となっています。

 景気は底入れしたとの判断もあり、三菱自動車は8月から国内の完成車3工場すでてで残業を再開します。トヨタ自動車は10月の1日当たりの国内生産台数を13,700台程度までに設定し、前年比90%まで回復させる計画です。東証株価も終値が1万円台に回復しています。

 景況感も上向きでになっているように感じます。しかし、まだまだ先行き不透明感はぬぐえない状況ではないでしょうか。景気回復してもトヨタ自動車の回復計画が90%というような状況のようです。

 自動車業界のみでないリーディング産業の育成がほんとうに望まれます。

日立が成長見込める分野を完全子会社化

2009-07-27 06:30:14 | 経営全般
 日立製作所は日立マクセルなど東証に上場しているグループ5社を完全子会社にします。日立は2009年3月決算で国内製造業では最大となる7,873億円の連結最終赤字になりました。上場子会社16社のうち社会インフラなどが見込める分野の5社を一斉に取り込み、グループ戦略を見直し、経営再建を急ぎます。

 日立が完全子会社するのは、日立マクセル(主な事業:光ディスク、リチウムイオン電池など)、日立プラントテクノロジー(主な事業:産業機械、空調システムなど)、日立情報シズテムズ(主な事業:情報システムの開発・構築・運用など)、日立ソフトウェアエンジニアリング(主な事業:情報システムやソフトの開発など)、日立システムアンドサービス(主な事業:情報システムの開発)です。

 日立グループには上場企業16社を含め、連結子会社が943社あります。これまでは各社が自主独立で事業拡大を競い、グループ全体の成長につなげてきましたが、今後は技術開発や営業を日立製作所と一体化して収益力を高める戦略の見直しを図ります。

 今年4月に就任した川村隆会長兼社長は、業績回復へ「脱・総合電機」を宣言し赤字の主因だったデジタル家電や自動車機器を7月1日付けで分社化しました。その中には、地元伊勢崎市の日立オートモティブグループも含まれていました。

 日立の目指すは「社会インフラ事業」でそのために経営資源を集中するために、中核となるべき企業を取り組んでいきます。課題だったグループ外への利益流出にも歯止めがかかり、連結最終損益の底上げ効果は大きいです。

 これまでの日立は事業を分社化して自主独立で成長させることでグループを拡大してきましたが、大きな戦略転換です。

 それにしても、これほどの戦略転換できる企業の活力には驚きです。一方、行政の分野では前例踏襲で大きな変化は生まれません。

 もし、民主党が政権を取ると行政にも大きな変化が生まれるのでしょうか。変革には先行き不安を伴うものですが、変革がなければ、新しい展望は開けないということを考えさせてくれるのが今回のような企業の行動だと私は思います。

 

「反貧困と派遣切り-派遣村がめざすもの-」を読む

2009-07-26 18:07:23 | 今週の一冊
 社民当主の福島みずほ氏とNPO法人自立生活サポートセンター・もあい事務局長の湯浅誠氏の対談「反貧困と派遣切り」を読みました。



 この本の内容は昨年末の派遣村の活動を振り返り、現代の日本の貧困問題と、今後の方向性を対談したものです。

 対談内容はさておいて、私が腑に落ちた個所を引用します。

 福島みずほ氏の対談から
 なぜ人びとが家族を求めるのかとか、なんで人が恋愛をするのか、少しわかります。競争とか、評価とか、批判ではなくって、みんながホッとしたいし、必要とされたいし、無条件で愛してほしいのです。もっと言うと、無条件で肯定してほしいし、あなたはそこで生きていていいのよって言ってもらいたいのですね。つまり余計なことは何もなく、存在そのものが良いんだよって言ってもらいたいのです。頭がいいとか悪いとか、成績が良いとか悪いとか、稼ぎが多いとか少ないとか、ハンサムであるとかないとか、そういう意味ではないのです。誰もが存在そのものを肯定してほしいから、恋愛したり、結婚したりして、必要としてほしいのです。存在そのものを肯定してほしいのです。でも、この社会はそうゆうことがなかなか得にくいのです。条件がないと恋愛強者にもなれないのです。

 家族の本質を述べていると思います。そして、その家族もなく、一人孤独に路上生活を余儀なくされている人たちが増加している今は、ほんとうに日本の貧困を表しているものだと思います。

 湯浅誠氏のあとがきから-「市民」の役割-
 市民運動をやるなかで、「運動は自己満足ではいけない」といわれることがある。「3人くらいがちょっと行動しただけで、世の中は変わるわけでもない」と。しかし、最初に3人が集まって、1人増えた4人になっただけでも、それは立派な成果だ。何かを主張したり、騒いだりすることは大人気ないという雰囲気があるからかもしれないが、市民が声を上げることは、社会に必要な緊張感をもたらし健全にすることにつながる。
 個個人がコツコツやる「小さい」ことが、やがて多くの人の目に止まり、現状として認識されていくのである。つまり問題が可視化される。社会連帯はそこから生まれていく。やってもどうせムダだと思っていては何も始まらない。これからひとつひとつの小さな行動を積み重ねて、「強い社会」を作っていきたいと思う。

 湯浅氏の今までの地道な活動の根底にある考え方です。そしてこの「強い社会」とは、人を排除するのでなく、共に生きる「社会」です。
 

 

 

新島学園短期大学の「公開講座」に行きました

2009-07-25 18:03:45 | 地域産業
 地元高崎市の新島学園短期大学で開催された「公開講座」に行きました。



 公開講座の内容は、ビジネスモデル「プロ野球独立リーグ(BCL)のビジネスモデル」と企業内キャリア支援「日本IBMにおけるキャリア支援の取り組み」でした。

 ビジネスモデルの講演は、スポーツはどのようなしくみでビジネスになるのかというテーマで、地元群馬ダイヤモンドペガサスの所属リーグであるBCリーグの経営者である「ジャパン・ベースボールマーケティング」社長村山哲二氏の話でした。



 村山氏は、電通新潟支社に所属しサッカーJ1リーグのアルビレクッス新潟のマーケティングを担当していた方です。アルビレックス新潟は4万人の観客の集まる正におがらチームで地域スポーツの成功例として取り上げられるチームです。

 その彼に、「ビジネスモデルとしての野球」の調査依頼が舞い込みました。「独立リーグは環境が整えば十分成功する。地域活性化につながる」とのリポートを提出すると、顧客は村山氏がやってくれと言ったそうです。

 そこで村山氏は、営業部長という地位と年収1,200万円という安定を投げ打ってBCリーグの立ち上げ、運営をスタートさせました。

 今、地元密着のプロスポーツが脚光をあびています。それは、スポーツというものが「地元地域を愛している」ことを端的に表現できるものだからと村山氏は話していました。確かに高校野球やオリンピック選手の例を思うと応援する根源には地域愛があるのだと思います。

 スポーツで声を張り上げて、地元の選手をチームを応援するのは、言ってみれば「自分は私の街を愛しているのです」という行為なのかもしれません。地域密着のプロチームはまさに地域振興になるということです。

 しかし、ビジネスとして成り立つためには、ただチームを作り試合をすればよいというものではありません。ビジネスとして成り立つための戦略の話を講演では聴けました。ビジネスモデルということが私も少しは理解できました。

 そのビジネスモデルとして「経営安定に向けての5つの要因」が上げられていました。以下の5項目です。
1 県民球団の設立
2 地元マスコミとの協業による露出効果
3 後援会組織の充実
4 マーケティング戦略に基づいた試合開催日の設定
5 県民に球団が必要だと思ってもらうこと

 この5項目については、ビジネスとして詳細にその方策を決めて実施しているのでしょうが、そのさわりとして4のマーケティング戦略に基づいた試合開催日の設定についての具体策を話していただきました。以下その内容です。
①周辺の人口はどの程度か、②球場の魅力、球場へのアクセスはよいか、③開催日時は適切か、④天気及び気温はどうか、⑤周辺イベントとの競合はあるか、⑥広報戦略は適切か、⑦後援会戦略は適切かという項目です。

 BLCリーグは日本プロ野球への選手を育成することが目的ではありません。スポーツによる地域活性化が目的であり、地域貢献が目的です。

 村山氏の講演は、体験に基づく現在進行形の「ビジネスモデル」の話で迫力がり、臨場感に満ちていました。そしてなによりも、BCリーグを成功させていこうというパッション(情熱)をすごく感じる話でした。

 

 

 

 

地元群馬県、太陽光発電システム設置費に補助金

2009-07-24 05:39:32 | 地域産業
地元群馬県は、8月3日から一般住宅を対象に太陽光発電システムの設備費用の補助金を始めます。

 助成対象は7月8日以降に新設した設備で、1億円の予算を計上しました。国や各市町村の同様の助成制度と併用でき、家庭からの排出される温暖化ガスの抑制につなげます。

 補助金額は、太陽光発電システムの出力1キロワットにつき35,000円で、上限は100,000円です。助成を受けるには最大出力の合計値が10キロワット未満で、電力会社と余剰電力の買い取り契約を結んでいることが条件となります。

 一方、経済産業省は23日、総合エネルギー調査会の小委員会で、電力会社が家庭や学校などの太陽光発電の余剰電力を買い取る際の費用を電力料金に転嫁する新制度の概要を示しました。

 料金を転嫁する対象は全世帯とし、2010年4月から上乗せを開始します。環境にやさしい太陽光発電を促し、制度を安定的に運用するには全世帯での負担が必要と判断したためです。

 政策誘導で太陽光発電促進に力を注いでいるのは、地球温暖化対策のためです。
本来、補助金などは、このような政策誘導に活用されるのが筋だと思います。


地元群馬県、輸入品の安全策を強化する

2009-07-23 06:57:12 | 地域産業
地元群馬県は、輸入食品の安全対策を強化します。10月に専用の検査機器を導入して迅速な検査体制で、残留農薬などの検査項目を拡充する方針です。

 昨今の中国冷凍食品の中毒事件をきっかけに、消費者の食の安全・安心への意識が高まっています。群馬県では、検査強化で県内に流通する食品の安全性を高め、消費者の不安解消につなげる方針です。

 新たに導入するのは、「高速液体クロマトグラフ質量分析装置」です。食品の残留農薬などを高い精度で検出できる装置で、約3,000万円で購入し、8月に群馬県食品安全検査センターに配備します。

 主に輸入加工食品を中心に検査ます。県安全食品課によりますと検査件数は年間200件を越し、2008年度はそのうち13%が輸入食品でした。

 輸入品に対する不信感がぬぐえない状況で、県民の食品への信頼を高めるためには、検査体制を整備することは必要なことかも入れません。

 現代は、まさに安全にはコストがかかる時代になったということなのでしょうか。

 

NTTデータなどソフト開発の中国委託を加速

2009-07-22 06:52:18 | 経営全般
 NTTデータは中国のソフト開発会社を傘下に持つBNIシステムズを買収します。海外へのソフト開発委託(オフショアリング)を加速するためです。NECも、オフショアの開発要員を増やす計画です。

 Nttデータが買収するBNIは、中国のソフト開発会社である無錫華夏計算機技術公司を傘下に持ちます。NTTデータはBNIの買収で無錫華夏を傘下に収め、中国におけるオフシェア開発を強化します。NTTデータにとっては、グループ外の中国の開発会社に委託する場合に比べ、開発ノウハウの共有ができ、委託業務の品質確保に繋がると考えています。

 NECは、現在中国にオフショア開発の技術者を6,000人確保していますが、これを2~3年をめどに10,000人規模に増やす計画です。
 富士通も中国やインドなどのグループ会社に合計で250人の開発要員がいますが、今後の明確な目標値はありませんが、人員を今後も増やす予定です。

 世界同時不況の影響で、金融や製造業など多くの企業が不要不急の新規IT投資を抑制しており、システム大手は受注規模の減少に加え、顧客からの値引要求を突きつけられています。
 そのため、利益確保に向けたシステム開発コストのさらなる削減が急務となっており、海外へのソフト開発委託を各社が加速させているのです。

 この根底には、中国の人件費の安さがあります。日本の活路は、コア部分の開発は国内でという企業の明確な理念を持って、海外進出戦略を展開してもらいたいものです。

 
 


定期預金が7年ぶりの高水準

2009-07-21 20:02:33 | 経営全般
 個人マネーが生活防衛の動きを強めています。日本銀行によると、5月末の個人の定期預金残高(国内銀行)は195兆円と前年比で5%近く増し、約7年ぶりの高水準となっています。

 貯蓄志向を示す定期預金の伸びが顕著なのに対し、主に生活費に充てられる普通預金は160兆前後と横ばいの状況です。

 預金の元本がカットされることもあるペイオフの解禁や政府が「貯蓄から投資」を目標に掲げたことにより、株式や投資信託などのリスク資産に向かうマネーが創価していました。

 しかし、昨年秋以降の金融危機で逆流が起きました。2007年6月に280兆円に膨れ上がった家計に占める株式と投信の残高が、2009年3月に126兆円にはぼ半減しました。対照的に定期預金が増加しています。

 メガバンクでは定期預金の金利は金融危機前のほぼ半分の水準ですが、手元資金をある程度確保しておきたいという生活防衛意識が働き、1年未満の短期の定期預金に資金が流入しています。

 先行き不安の状況下では消費より貯蓄にマネーが回るのですが、これは消費回復の足かせになります。

 定額給付金が支給されましたが、その効果はいかほどだったのでしょうか。ほんとうに、手を変え品を変えて消費喚起を促す方策が取られますが、消費者はそう簡単に踊らされないというのが今の日本の現状だと私は思います。

離職者自立後押しする新たなセーフティーネット

2009-07-20 08:22:05 | 雇用・就職
雇用保険制度と生活保護制度の間をつなぐ「新たな安全網(セーフティネット)」の整備が進んでいます。

 昨年末からの雇用環境の急速な悪化に対して、特に雇用保険で対応できない人たちに対する支援策を政府は次々から整備しています。
 まず、雇用保険の失業給付を受けられない長期失業者に職業訓練を条件に生活費を支給する事業が7月からスタートしました。
 職と住居を失った失業者に住居手当を支給する緊急措置も10月から始まります。
 
 また、従来の低所得者を対象とした「生活福祉資金貸付」の融資条件を緩和し、連帯保証人がいなくても借りられるように10月から改正します。

 本来、雇用保険制度は、正規従業員を想定した制度です。しかし、今は非正規従業員が3分の1にもおよんでいます。そして、今の失業者の多くは、派遣切りなどと言われるように、この非正規従業員です。
 いままでは、この人たちを支援するセーフティーネットの整備がなかったのですが、今回の整備でまがりなりにもニーズにあった制度ができました。

 環境変化に対応して、ニーズにあった支援施策をタイムリーに実施していくことが今はほんとうに求められている時代です。

日本の課題「少子化」は座視できない課題である

2009-07-19 15:07:04 | 経営全般
 今日の日経新聞は、少子化問題を取り上げています。

 日本の少子化と高齢化は他国に類例をみないほどの高速で進んでいます。現在は、15歳未満の子どもは総人口の13%ですが、2059年には8%に激減します。そのときの高齢人口が41%、現役世代は51%となります。

 現役人口の減少は、消費者、生産者、納税者の減少と同義です。団塊の世代が後期高齢者になる15年後、年金や医療、介護制度を機能させ続けるための保険料率や消費税は何%あげなくてはならないのでしょうか。

 麻生首相は、衆議院対策もあり、新しい国家像を示すために「安心社会実現会議」を官邸に設けました。2か月程度のスピード審議を経てまとめた報告書は、少子化を「静かな有事」と形容しました。

 しかし、いわば未来像を示し、かじ取りをすべき「政府」「政治家」が今混迷をきわめています。私たちは、問題を先送りせず、子どもたちに苦労をさせないためにも、自分たちの責務を果たしていかなくてなりません。

 少子化対策には、国だけでなく、企業や自治体が、安心して子どもを生んで育てられる環境整備が求められます。その環境整備とは、育児所など充実のハード環境整備や育児法のより充実などの雇用環境整備です。

 そして、一番必要なのは「苦労しても子どもを育てることは、もしかしたら人としての一番の仕事」という意識を持つことと言ってしまうのは極論と言われてしまうでしょうか。

  

 

 

キリンとサントリー連合で世界目指す-日経ビジネス2009.7.20から-

2009-07-18 08:30:56 | 経営全般
今週号の日経ビジネスではキリンホールディングスとサントリーホールディングスの経営統合に関する記事を記載しています。両社は経営統合を視野に入れた交渉に入っていますが、もし実現すれば連結売上高で3兆8,000億円で、国内ではトップ、世界でもトップ5に入る食品メーカーが誕生することになります。

 以下は日経ビジネスの掲載内容です。
 
・キリンは上場企業で、サントリーは創業者が実権を握る非上場企業。業界でいち早くEVA(経済的付加価値)などによる緻密な収益管理を導入したキリンに対して、サントリーは1963年に参入したビール事業が45年間も赤字で、昨年ようやく黒字化したばかりの状況である。

・両社は事業の進め方や得意な手法が対照的な分、結果として事業や商品ポートフォリオは見事なばかり補完関係にある。

・ビール事業。キリンは今年上半期でシェア1位をアサヒから奪回、低価格の第3のビールでは「のどこし」、発泡酒では「麒麟淡麗」という圧倒的な定番商品を持っており、圧倒的な強さを誇っている。そのキリンも単価の高いプレミアム市場では出遅れており、それを補完できるのが、サントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」である。

・ビール以外の酒類では、キリンはチューハイで「氷結」という人気商品を持ち、ウイスキーやワインではサントリーが強く、本場のワイナリーも経営しており、日本の洋酒文化を作ってきた伝統を持つ。

・清涼飲料では、サントリーは国内シェア2位、キリンは3位で、競合関係にある缶コーヒーや緑茶を除けば、果汁飲料、乳製品で得意、不得意が分かれる。

・健康食品と医薬分野では、ゴマを原料にした「セサミン」などを持つサントリーが強く、医薬部門は2005年に第一製薬に売却し撤退。一方、キリンは昨年10月に共和発酵を傘下に収めて、医薬事業の拡大に乗り出している。

・補完関係が成立する個別事業で、統合効果が最も期待されるのが清涼飲料。清涼飲料の2位サントリーと3位キリンが統合すれば、シェア30%を超えて、米コカコーラを抜いてトップになる。資材調達た生産拠点・物流の共有化などでコスト削減が図れ、流通側に対するバイイングパワーに対しても対抗できる。

・統合によって、日本では頭一つ抜けるが、世界の食品メーカーと比較すれば、より大き企業が4社ある。世界最大大手のスイスのネスレは、売上高で2社連合の2倍以上の規模を誇る。

・キリン・サントリーが世界の食品メーカーと対抗するためには、得意とする飲料事業以外でシェアを拡大することが求められ、そのためには、他社のM&Aをを実施していくことになる。

 世界の企業は、生き残りを賭けて合併、吸収を繰り広げています。その典型が自動車メーカーであり、医薬品メーカーです。食品メーカーもキリン・サントリーの統合が実現すれば、他の企業の統合、吸収が急速に進むのではないでしょうか。

 世界の金融危機、ゼネラルモーターズやクライスラーの倒産20世紀の時代では予想もしなかったことが次から次えと起きています。キリンとサントリーの統合が実現すれば、食品メーカーでも大変革が起きるのではないdしょうか。
 

ホームレスの生活を厚生労働省が実体調査

2009-07-17 05:17:54 | 雇用・就職
厚生労働省は、今後の貧困対策を考えるため、低所得者やホームレスの生活の全容を把握するための調査に取り組む方針を決めました。

 来年度予算の概算要求に調査費を盛り込み、「派遣切り」にあった人たちに、住まいと職を失った経緯を聞き取り調査する見込みです。

 聞き取り調査に加え、所得や家計支出、就業状況、健康状態などを調査している「国民生活基礎調査」のデータから、一定の所得水準以下にある世帯のデータを抜き出して特徴を分析したり、専門家に調査研究を委託することなどを検討しています。

 6月に放送された「朝まで生テレビ」は日本の貧困問題でした。その番組の中で湯浅誠氏が、自民党議員に、日本の貧困について調査するように要望していました。今回はその発言に対応した結果でしょうか。
 いずれにしても、政府が、我が国の貧困の実態調査に乗り出すのは大きな進展ではないでしょうか。

 問題解決には、現状分析→問題点の把握→対応策というプロセスを取ります。今回の調査は、問題解決の端緒に立ったということです。

 文部科学省所管の統計数理研究所が5年ごとに実施している「国民性調査」では、今後の生活が「貧しくなる」と答えた人が57%でした。
 この調査は1953年から行われ、12回目ですが、今後の生活が「貧しくなる」と答えた人は、1978年が25%でした。1998年が50%でした。そして、今回は57%でした。年代別では最も増えているのは30年代の59%です。

 多くの予算を使い調査が実施されています。貧困問題は、調査事項を的確に分析して、早急な対応策の実現化が望まれると私は思います。