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八王子の与太郎河童、
つまづき、すべって転んで、たちあがり・・。
明日も、滑って、転んで・・。

金剛院・小説金閣寺放火犯の美。京都府舞鶴市。 

2023-08-18 20:48:58 | 関口文治郎/神社仏閣
 

「私」は生まれつき吃音(どもり)で、
彼女もできないほどの内向的な性格だった。
ただ一つ、僧侶であった父親から、
金閣寺の美について聞かされており、
「私」の中で未だ見たことのない金閣寺を、
究極の美として夢想していた。



「私」は、初恋の女・有為子(ういこ)に対して、
後ろからついていき、
有為子からひどく罵られ、
「私」は有為子の死を願うようになった。
有為子は、海軍からこの地に脱走してきた、
脱走兵と仲睦まじくなり、やがて妊娠した。
脱走兵を追いかけてきた憲兵は有為子を詰問し、
有為子は脱走兵の居所が金剛院であることを白状する。

👇金剛院本堂


 
夜になって、有為子は憲兵につれられて、
金剛院にやってきた。
有為子は、百五段の石段を上り、
御堂に隠れていた脱走兵に耳打ちする。
すると突然、脱走兵は石段の茂みに隠れていた、
憲兵に向け銃を放ち銃撃戦となった。
そして脱走兵は有為子の背中に向けて撃ち、
自らのこめかみも撃った。

金剛院の本殿のそこから左へ斜めに渡殿が架せられ、
神楽殿のような空御堂に通じている。
小説金閣寺で描かれた空御堂に、
脱走兵は隠れていて、



👇渡殿の傍で、有為子はかくまった脱走兵の銃弾に遭う。

私は、官能の有為子に侮蔑され、
金閣寺で僧となり、父に教えられた金閣寺の美は、
やがて戦争で、破壊される運命にあると、
金閣寺に放火した、小説「金閣寺」の主人公です。


 
👇《有為子一人が、石灰石の百五段の石段を昇って行った。
狂人のように誇らしく。……黒い洋服と黒い髪のあいだに、
美しい横顔だけが白い》小説金閣寺より






舞鶴市、松尾寺(前掲)作家水上勉さんは、
幼少の頃、祖母に連れられて、よく参詣したといい、
老いて、他所に住んでも心の在所にあるといい、
5キロばかりところの金剛院は、
作家三島由紀夫さんの文体を確立した小説「金閣寺」に、
昭和25年、金閣寺放火事件を元に、
主人公の故郷への旅に、金剛院を登場させた。



室町時代に建造された三重塔は国の重文であっても、
江戸時代、丹後の領主だった細川幽斎(前掲の和歌)
が造った庭も、
三島さんがスケッチに訪れた時は、
金剛院には住職はおらず、荒廃していたという。

個人を挟むなら、
この時、5月18日、
疲れの絶頂で胃の痛み、背中の痛みに、
105段の石段の強さに、
シャッターを押す気力が失せていて、
最近の顛末でした。











花は8月7日の箱根湿地園です
 
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4 コメント

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松尾寺。 (サッ チー)
2023-08-19 09:50:14
とよ様、おはようございます。
 少しは体調が良くなられたのでしょうか。
最初の美しい花は、レンゲショウマととは違って圧倒された瞬間でした。
「金閣寺」の舞台となった「松尾寺」金剛院
 劇的な小説の内容とともに、歴史の重みある
  金剛院の彫刻は圧倒されます。
 美しい花と彫刻。ドラマと共に心に響く素晴らしい
 ひとときでした。
返信する
体調はいかがですか ()
2023-08-19 12:11:07
いいですね・・画像と文面を拝読させていただき
NHKの遠きを訪れて・・のようなナレイシ-ョが
聞こえてくるような文面に感動致しました。
速やかに体調を整ていただき、素晴らしい画像の配信をお待ちいたしております・・
返信する
Unknown (とよ)
2023-08-20 05:36:27
祥子さん おはようございます
体調は良くなっていて、取引先からも容赦ない依頼です。
お寺の仏心とは違うイメージの存在は、訪れて物を思うのは亦、格別です。
まるで、映画監督気取りです。
いい思い出でした。
返信する
Unknown (とよ)
2023-08-20 05:40:29
鮎産さん おはようございます。
歴史、お寺の年代記記録だけを描くのではなく、
何処か、物語があればお寺の姿もまた違って見えて、
楽しいものですね。
こんなものに、ちょっと飢えてました。
これからもこんな調子でと思いますが、
それがなかなかで・・・。
返信する

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