樋口正蔵

昭和37年から46年迄、南海ホークスで活躍した左投げ左打ちの外野手です。私の記憶に残っているのは、彼のバント安打です。本当にバントが巧く、多分警戒されていたとは思うのですが、三塁手の前に絶妙に転がし、それなりに速い脚を生かして内野安打を多く記録していました。印象的には、常にバントをしている様な感じすらあります。残念ながらそれ以外の記憶は、あまり無いのですが、記録を見る限りパワーのあまりない巧打者というタイプでしょうか？とは言え通算打率0.281は立派だと思います。



通算成績　　　　1036試合　　　　800安打　　　　0.281 　　15本塁打　　　　212打点

遠井吾郎

昭和33年から52年まで、阪神タイガース一筋に活躍した、左投げ左打ちの一塁手です。やや太り気味の体型ながらも、打撃術は素晴らしく、特にミート力はかなりのものがありました。但し、懐がやや窮屈な打撃スタイルの為か、思い切って振り切る打法があまり出来ず、長打力に関しては期待された程の数字は、残せませんでした。自己最高の本塁打数が16本というのは、物足りないものでした。又残念ながら、彼は鈍足で有名になるほど、走力には全く優れませんでした。更に、一塁手としての守備に関しても平均点以下でした。典型的な指名打者向きの選手でしょう。とは言え20年間も現役を続けた事は賞賛に値すると思います。



通算成績　　　　1919試合　　　　1436安打　　　0.272 　　137本塁打　　　　688打点

中塚政幸

昭和43年の入団から57年の引退迄、大洋ホエールズ一筋に活躍した左投げ左打ちの外野手です。小柄ながらもがっちりとした体格から、結構巧い打撃を見せていました。打席での決して格好のよくない構え、及びややいかつい風貌からは、想像出来ない程の巧打をしばしば見せてくれたものです。又脚もそこそこ速く、昭和49年には生涯一度の盗塁王にも輝いています。守備も俊足を活かし、巧い方でしたが、肩は決して強くはなかった記憶があります。パワーのない打者に多く見られる様に、晩年は急速に力を落とし、引退を余儀なくされたものです。記録を調べて見ると入団2年目には、一塁手としてレギュラーを獲得しているのには、少し驚かされました。非常に個性味あふれる名選手だったと思います。



通算成績　　　　1643試合　　　1440安打　　　0.278 　61本塁打　　　　387打点

山内一弘（和弘）

昭和27年に毎日オリオンズに入団し、その後阪神タイガース、広島カープでも活躍した打撃の職人です。特にシュート打ちがもの凄く巧く、内角に食い込む球を、腕をたたみ腰をクルット回転させて、レフト前に運ぶ技術は素晴らしいものでした。現在の打者では、阪神の今岡誠、マリナーズの城島健司の技術が近いかと思います。オリオンズ時代には、ミサイル打線と呼ばれた強力打線の4番を務めMVPに輝きました。本塁打王にも2回なっていますが、基本的には中距離打者かと思います。巧く距離を測ったかの様に、外野席前列に打ち込む打球が多かった記憶があります。しかし晩年にはあれ程凄かった腰の回転も衰え、手打ちになりサードへのボテボテのゴロが多くなったものです。打撃のタイトル三部門とも獲得している稀有な存在の素晴らしい打者でした。



通算成績　　　　2235試合　　　2271安打　　　　0.295 　　　396本塁打　　　　1286打点

藤川球児

現在阪神タイガースの抑え投手です。昭和30年代の中頃から野球を見てきていますが、球の伸び、切れに関しては、過去から現在に至るまでの、数多くの大投手、好投手、快速球投手達を遥かに凌いでいるかと思います。バッテリー間の途中で一度もの凄く伸び、更に打者の手前で強烈に浮き上がり伸びる快速球は、驚異的としか言い様がありません。確かに、max155kmの彼の快速球より速い投手はいたでしょう？しかし彼ほどの伸び、切れのある投手を私は知りません。肘の撓りが抜群に凄いのと、重心を深く沈み込ませない投球フォームがいいのでしょう。阪神の監督には、今後是非酷使を避けていただいて彼の素晴らしい投球を見つづけていきたいものです。



通算成績　　　　217試合　　　16勝7敗　　　　2.23 　　　 404奪三振