村山実は人気球団の阪神タイガースの内でも抜群の人気を誇り、ミスタータイガースと呼ばれていました。現代の様に投手分業制になってからは殆ど見られなくなりましたが、昔のエース投手は先発、抑え双方の役目を兼ねていました。特に村山実のリリーフ登板の場内アナウンスがされた際の、スタンドのファンから来るざわつき、どよめき、歓声は物凄いものがありました。球団の人気度の差はありますが、あの金田正一を上回るものだったと思います。又その人気は、同球団の2枚看板小山正明をも遥かに凌いでいました。長身細身の体型、非常に無理のない華麗な投球フォームから、軽いながらも伸び、キレに優れ、絶妙の制球力を誇り、常に表情を変えず投球する小山正明と、いつでも全力投球、表情豊かで、重い球質の村山実とは本当に対照的な投手でした。2人が同チーム在籍時の5年間では、小山正明の方が勝ち星が11勝多いにも関わらず、一般ファンの人気度でかなりの差があるのは、村山実のダイナミックな投球フォームと力を抜く事を知らない点にある様に思えてなりません。