針山地獄は午後やってくる。まあ、姥捨て山在住では次の行き先は閻魔様と決まっているから夢も希望も無いのだが今はもう秋、芋もゴボウもあって美味しい。冷凍のイトメは池のタナゴとドジョウに与えても水面まで上昇しなくなったし、すぐに姿を見せる事も無くなった。既に冬ごもり体制なのだ。
作業衣も冬の衣装を用意しボチボチ着用する時期になったのだが手直ししなければならない部分が出来た。今までガラケーだった時のポケットではスマホが入らないのである。作業ズボンの後ろポケットや太腿のサイドポケットでは作業姿勢や作業で落ちやすいし傷つけ易いから胸ポケットにせにゃならん。待っていれば取り換えられて目の前に置いてある生活とは無縁の姥捨て山、小野田さんや横井さんのように自己完結せにゃならぬ。
しかしリフォームしてから10年は経過していると共布が無い。作業衣なのでパッチは気にしないものの「デザイン性」もあって、我が審美眼に適うかどうかが難問なのだ。新たに端切れを購入に走る事でも無いので薄くなって破れたパジャマや作業衣の糸目をほどいて使える部分からパーツを作った。午前は作業に出かけ昼食もそこそこに窓際に椅子を寄せリッパーで糸目を切り開く事、どんだけやっただろうか作業ズボン、パジャマ、上着と糸目を追い切り続けて一枚布にまでにする。
裁ち鋏でジョキジョキやっても差し支えないのは理解していても生まれも育ちも貧乏米作農家育ち故か、そういうやり方は出来ないのだ。と言うより空気を読むタイプなのでSDGsへの同調動機が高じる。さて、パーツを取ったボロ切れも次の当て布用に「取っておくべきか、捨てるべきか⁉」と迷う小生である。捨てられない止められない〇ビの端切れ作戦・・・。
さてさて次は糸目と格闘しアイロンの出番、そのあと直接布に製図してウンチャラナンチャラと細かい作業が続く。リフォームをやって理解したのは「アイロンかけ」と「待ち針を打つ」事の大切さで、横着して省くと出来上がりはそれなりでしかない。まあ、他の人なら用立ても使用もしない衣服のリフォームだけれど小生にとっては作業を快適にするサポートでもあって欠かせないリフォームなのである。
今回、リフォームしたのはスマホが入るポケットに交換、上着の半袖化、ズボンをオールインワン化、更にもう使い道がないキャラクター生地で薬局に通う薬入れも作ってみた、と何時もより多様化したし量も多かった。糸目地獄の後はアイロン地獄で、待ち針地獄が続きミシン地獄に至った。ホント、地獄とは遍路みたいに移動せねばならんのだのう。まるで就職生のワークショップ、体験活動みたいになったわい。