
秋霖の季節でも無いだろうに雨降りお憑きさんが度々で「水難の相」があるかと鏡を見ても「女難の相」しか見えなんだ・・・。「ジョウナンでしょ!」なんて言われるだろうが、まあ、当たるも八卦当たらぬも八卦である。
女談はさておき、いかに退屈せず「毎日が日曜日の貧窮生活」を前向きに活きるかが姥捨て山小年金孤齢者が心がけ無ければならぬ終生を通した喫緊の課題なので、それだけは一途なのだが三途はしばらくは遠慮したい。欲は無いので一途でよい。脱線し易いのは左右鼠径部の脱腸で手術しなければならなくなった時からだと記憶しているが、物事は連動し因果の輪廻の中にあるようだ。しかし木久扇師匠の域までには道遠く、まだまだ無駄飯を喰わねばならん。
ガラス越しに雨降りを見つめていても楽しくはない。小野小町が通る訳もなくアサギマダラさえ「濡れて参ろう…」なんて事も無い。無い無い尽くしの折り、天の助けがあって「そーだソーイング!」の路が見え、工作の合間に準備だけ済ませておく。夕食を摂るのもそこそこにリフォームの開始である。
元の素材は倅が学校で使った「少林寺の胴着」で、新しさは残っているし生地も生成りでしっかりしている。捨てるには惜しく用途を考えようと残していた一着だ。今回、袖を外しスマホと財布を入れるポケットに作り替えて作業用の羽織、と言うか袖なしの作務衣風にしたのだ。
作業用のベストはアウトドア用も含めあるのだが丈が短く使い難い。作業衣としての上着も同じで着たくない服装になる。特に腰回りにベルトで小物を装着しなければならない時はアッパッパ振りが気に障る。少し長めでその上からベルトを装着できるくらいが良いのだがそうはいかない。そんな事から作務衣や甚平の上着を着用したりするのだが、冬場は薄手の故、防寒には非力。他のウインドブレーカーなどの衣料はカバーし過ぎて作業時には蒸れて堪らん。半袖か袖無しなら快適なのである。それで今回のリフォームと相成った。生成りの生地はしっかりしているから棘などにも十二分に強い。
ポケットの蓋は財布用にはボタン止めで、これは出し入れより保持を優先した結果で、スマホ用はマジックテープ止めだ。ボタンで揃えても良かったのだがボタンの固さがスマホへの圧力になるし、ひも付きにするから利便性を優先した結果である。まあ、電源を入れておいても着信など無いから無駄の極致なのだが万歩計代わりで、何かの時には位置は判明する。
袖の縫い目を切り離し見頃だけにして袖をポケットにして縫い付けて終わり。ポケットの角度が微妙で鏡を見ながら位置を決めなければならなかったのだが、鏡に現れる人物はあろうことか「鶴田浩二」張りのいい男だった。その上リフォーム品とは言え羽織風を羽織った姿は何とも言えない渋さがある。
これを着てフイールドに立てば雅なマユタテアカネがワンサカと寄ってくるだろう。あのコマーシャルのように「赤いトンボがお色気ある袖、無さ袖ワンサカワンサカ、ワンサカワンサカ・・・。違うか!。しかし好きなコマーシャルソングだったが惜しい。