世の中は落語ブームだそうだ。
落語会などへ足を向けると当日券が売り切れの場合が多く、「落語風情に前売りかいな」といささか庶民の芸とは離れたところに向かいそうだ。
NHK朝のテレビ小説も「ちりとてちん」という題名の女流落語家誕生の話のようで、落語ブームの底力を垣間見た瞬間だ。
落語がブームになるのには理由があるだろう。
その最大の理由は「若手お笑い芸人のつまらない一発ギャグに飽きてしまった」というのが一番大きいのではないかと私は思っている。
若手芸人の中には見ているこっちが恥ずかしくなるような芸もすくなくなく、これで金をとるとは言語道断だ、と怒る人もいるに違いない。
落語の面白さは伝統芸能というよりも、話の中で展開されるワンダーランドを頭の中で想像するという楽しさにあるのだと思う。
というのも、落語は噺家が高座に上って上半身の所作だけで演ずる芸能で、具体的な視覚的表現は無いと言っても過言ではない。
その所作が聞くもののの想像力を増幅し、聞き手の個々が持つその世界に一番ふさわしいイメージが展開されるので、脳の活性化も手伝って非常に面白く感じるのだと確信する。
落語にはそういったチョッピリ知的な楽しさがあるのだろう。
で、テレビや映画、マンガでは表現できない話の代表作が「さくらんぼ」。
「さくらんぼ」と聞くと10台20代の人は大塚愛の歌を思い出すかもしれないが、落語の「さくらんぼ」は奇想天外。
さくらんぼの種ごと食べたら頭から桜の木が生えてきて、そこで近所の人々が集まってお花見をする、なんてお話だ。
落語ブームの次はもしかすると読書ブームが来るのかもわからないな、と思っている今日このごろでございます。
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