とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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時代劇は番組品質のバロメーター

2008年01月03日 09時09分26秒 | テレビ番組
「いや~、まるでコント観ているみたいでゲンナリや」
と水戸黄門がフィルム撮影からビデオ撮影に変わったときに時代劇好きな私の友達はため息をついた。

昨夜、テレビ大阪で放送されていた長時間時代劇を家族が観ているのを横からちらっと見てその友人の言葉を思い出した。
まるで素人がテレビの演出をしているように感じてしまったのだった。

ドラマはちょうど室内でのシーン。
まるで蛍光灯が煌々と灯っているような明るさで、演者全員の姿と室内の風景がくっきりと映し出されていた。
「このドラマの監督は江戸時代の屋敷事情を調べたこともないんか」
と、ドラマの質に腹を立てたが、その前にこんなドラマを見ている家族に腹が立った。

時代劇が危ない。

と思った。

タイミング良く今日の産経新聞朝刊第一面に「テレビの時代劇離れ」なるコラムが載っていた。
考えていたことは皆同じだったようだ。

このコラムによるとテレビ放送される時代劇が激減しているのだという。
一時は15本も放送されてたゴールデンタイムの時代劇は今やNHKの3本と民放の2本だけ。
そのNHKも木曜時代劇を4月からは廃止して若者受けする現代ドラマに変更する予定なのだという。

確かにビデオ撮影化された水戸黄門ではないがテレビ時代劇の質が著しく落ちている。
いや、私はテレビをほとんどみないので断片的にしか確認していないのだが、とりわけ民放の放送する時代劇はテクニック以前に面白みに欠けるものが多い。
したがってチャンネルを合わせる前にテレビのスイッチを入れる気にすらならない。

ストーリーはどれもこれもほぼ同じ。
役者のくさ~い演技。
しかもビデオ撮り。
まるですっかり廃れた演歌歌手といった趣。

この低クオリティのドラマをいったい誰が見るというのだ。

「時代劇の主な視聴者は購買力に乏しい高齢者。視聴率をとってもスポンサーには魅力がない」
というのがテレビ局の本心だそうだ。
放送免許をもらって商売させていただいている特殊な身分でも金にならない番組は作らない。
だから、安易で低俗なバラエティ番組やコミックの焼き直しドラマばかり放送するのも頷ける。

思えば数年前までNHKも民放もなかなか良い時代劇を良質なドラマとして放送していた。

鬼平犯科帳
剣客商売
腕に覚えあり
清左衛門残日録
蝉しぐれ
などなど

脚本がしっかりしていて役者も一流。
テレビ番組なのに映画の技法を取り入れたりして凝った作りは私たち視聴者を魅了した。

一年に一度の正月時代劇を観るたびに品質レベルの低下が見て取られ、それ以外の例えばバラエティ番組や現代劇でさえ引きずられるように観るに堪えないものになっているのが、なんだか悲しい。