人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

下野竜也 ✕ 篠崎友美 ✕ 新日本フィルでヒンデミット「白鳥を焼く男」、R.シュトラウス「メタモルフォーゼン」、フンパーディンク「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲他を聴く

2021年11月20日 07時45分50秒 | 日記

20日(土)。山形県鶴岡市に単身赴任している息子が大ぶりの「ラ・フランス」を送ってくれました 追熟期間が必要とのことで、冷蔵庫には入れず室温保存した上で、息子の誕生日の翌日の11月27日頃から食べられるようです さっそくお礼のメールを送っておきました 近々、誕生祝いにステーキ・セットでも送ってあげるつもりです

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2506日目を迎え、フィリピンのロクシン外相は18日、南シナ海でフィリピン軍に物資を運んでいた民間船2隻が中国海警局の船に妨害されたとして、中国を非難する声明を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     最高権力者としての延命を狙う習近平の覇権主義が  恥ずかしげもなく前面に出た

 

         

 

昨日、夕食に「2週間に一度の金曜日」のローテーション入りして久しい「鶏のから揚げ」を作りました 栗原はるみ先生のレシピによる「うまみ醤油」(ニンニク、ショウガの微塵切りと削り節を醤油に漬けて冷蔵庫で寝かせたもの)にまぶして揚げたので、とても美味しくできました また、10月8日以降の入退院以来、肋骨にひびが入っている関係で禁酒してきましたが、身体中の痛みも消え 胸のベルトも取れたので、43日ぶりにビールを解禁しました なんだかんだ言っても、唐揚げにはビールです

 

     

 

         

 

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「すみだクラシックへの扉  第3回定期演奏会」を聴きました プログラムは①フンパーディンク:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲、②ヒンデミット「白鳥を焼く男」、③リヒャルト・シュトラウス「メタモルフォーゼン~23の独奏弦楽器のための習作」、④フンパーディンク:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より「夕べの祈り ~ パントマイム」です 演奏は②のヴィオラ独奏=篠崎友美、指揮=下野竜也です

 

     

 

拍手の中、楽団員が入場し配置に着きます。弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び。コンマスは西江王子。その隣には読響からトラバーユしてきたゲスト・コンマスの伝田正秀が控えます

1曲目はフンパーディンク:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲です この曲はエンゲルベルト・フンパーディンク(1854-1921)が1890年から93年にかけて作曲、1893年12月23日にリヒャルト・シュトラウスの指揮によりワイマルで初演されたオペラの前奏曲です

この日、午前11時から開かれた小室敬幸氏による「60分ワンコイン講座」を聴いて初めて、フンパーディンクは1881年から82年にかけて「パルジファル」を制作中のワーグナーの手助けをするほど、ワーグナーに傾倒していたことを知りました 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」の「前奏曲」はホルン四重奏曲で演奏される「神への祈り」で開始されますが、確かにワーグナーの旋律を思い浮かべます ワーグナーは多方面に影響を及ぼしているということが分かります

2曲目はヒンデミット「白鳥を焼く男」です この曲はパウル・ヒンデミット(1895-1963)が1935年に作曲、同年アムステルダムで初演されたヴィオラと小オーケストラのための協奏曲(実質的なヴィオラ協奏曲)です 第1楽章「山と深い谷の間で」、第2楽章「さあ、親愛なる菩提樹よ」、第3楽章「変奏曲:お前は白鳥を焼く男ではないか?」の3楽章から成ります この曲の大きな特徴は、ヴァイオリンとヴィオラ(ソリストを除く)がいないことです

ヴィオラ独奏の篠崎友美は今年3月に新日本フィルを退団、現在東京都交響楽団の首席を務めています

第1楽章の冒頭は吟遊詩人を表すヴィオラがソロで民謡を弾き、オーケストラが加わります 第2楽章はヴィオラ独奏とハープによりアンサンブルが奏でられますが、もの悲しい旋律が印象に残ります 第3楽章は楽し気な旋律が奏でられますが、小室氏の解説によると、この楽章はナチスへの皮肉が込められているといいます こういうことはレクチャーをしてもらわないとなかなか解らないものです その意味で、小室氏の事前講座は本当に参考になります

会場のみならずかつての仲間である新日本フィルの面々からも大きな拍手を浴びた篠崎友美は、チェロ首席の長谷川彰子とともにヒンデミットが1934年に作曲した「ヴィオラとチェロの二重奏曲(スケルツォ)」を鮮やかに演奏し、再び大きな拍手に包まれました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はリヒャルト・シュトラウス「メタモルフォーゼン ~ 23の独奏弦楽器のための習作」です    この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)が1944年から45年にかけて作曲した単一楽章の作品で、1946年にチューリヒで初演されました

この曲はヴァイオリン10,ヴィオラ5,チェロ5,コントラバス3という小規模な編成により演奏されます

曲は「変容」を象徴する主題で開始され、ヴィオラがベートーヴェンの「運命の動機」と「英雄の葬送行進曲の主題」を提示します タイトルに「独奏弦楽器~」とあるように、例えば第1ヴァイオリンを例にとると、全員が同じメロディーを弾くのではなく、前列の3人だけが弾いて、残りの7人は休んでいるというように、弾く者、休む者がセクションごとに厳密に区分けされています 各楽器の細かい組み合わせにより、流麗な弦楽アンサンブルが途切れなく流れることになります 下野のドラマティックな曲作りは鮮やかで、弦楽器だけによるアンサンブルの美しさが前面に出ていました

最後の曲はフンパーディンク:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より「夕べの祈り ~ パントマイム」です   この曲は歌劇の第2幕を締めくくる楽曲です 小室氏のプログラムノートによると、「ヘンゼルとグレーテルが夜道で迷子になると、眠りの精がやってきて兄妹を眠気に誘う・・・そういう状況の中で祈りの旋律(ライトモティーフ)に載せて自分たちを落ち着かせるように歌うのが『夕べの祈り』。続けて演奏される『パントマイム』は、眠る兄妹のもとに14人の天使が訪れて見守る幻想的な場面」です 私はこれまでフンパーディンクの音楽を聴く機会がほとんどありませんでしたが、この曲はとても親しみやすく、メロディーが美しい作品です 自分にはまだまだ知らない素晴らしい作品が数多くあるな、と思い知らされました

 

     

 

開演前と休憩時間に、久しぶりにパトロネージュ部の登原さんとお話しましたが、開口一番「しばらくブログを拝見していなかったので全然知らなかったのですが、久しぶりに見てびっくりしました」と言われました。私が10月8日の「クラシックへの扉」公演の帰りに頭を打って救急車で曳舟の病院に運ばれ、頭部を5針縫って入院した件です 怪我をした時の状況や入院中のことなどを簡単に説明し、現在は順調に回復していることをお話ししましたが、「あの頃、曳舟の近くに(仕事で)頻繁に行っていたんですよ 大事に至らなくて良かったです これから寒くなると傷が痛むかもしれないので注意してください。くれぐれも階段には気を付けてくださいね」と念を押されました 余計な心配をおかけしてしまったようです その後、11月下旬の定期公演に客演するはずだったシャルル・デュトワがコロナに感染し来日できなくなった件や、緊急事態宣言解除後、在京オーケストラの各公演に客足が戻りつつあることなどについてお話ししました 現在コロナは落ち着いていますが、油断しているとまたぶり返して再びコンサートの入場制限が課せられる恐れがあります 個々人がこれまで通りマスク着用・手指の消毒に務め、コロナ対策を怠らないようにしたいと思います 次に新日本フィルのコンサートを聴くのは11月29日のサントリー定期(指揮者がシャルル・デュトワ ⇒ 井上道義に変更)なので、絶対に転んで怪我をしないように気を付けて過ごそうと思います

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新国立オペラ、ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を観る ~ トーマス・ヨハネス・マイヤー、ギド・イェンティンス、アドリアン・エレート、林正子とラストの演出にブラボー

2021年11月19日 01時28分16秒 | 日記

19日(金)。わが家に来てから今日で2505日目を迎え、新日本フィルによると11月27日、29日の定期演奏会に出演予定の指揮者シャルル・デュトワが新型コロナウイルスに感染したことから来日できなくなり、代わりに井上道義が指揮することになった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     デュトワはワクチン2回接種したらしい  チケット購入者にとって副反応より痛い

 

         

 

昨日午後4時から、新国立劇場「オペラパレス」でワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」のプルミエ(初日)公演を聴きました 出演は、ハンス・ザックス=トーマス・ヨハネス・マイヤー、ファイト・ポーグナー=ギド・イェンティンス、クンツ・フォーゲルゲザング=村上公太、コンラート・ナハティガル=与那城敬、ジクストゥス・ベックメッサー=アドリアン・エレート、フリッツ・コートナー=青山貴、バルタザール・ツォルン=秋谷直之、ウルリヒ・アイスリンガー=鈴木准、アウグスティン・モーザー=菅野敦、ヘルマン・オルテル=大沼徹、ハンス・シュヴァルツ=長谷川顕、ハンス・フォルツ=妻屋秀和、ヴァルター・フォン・シュトルツィング=シュテファン・フィンケ(トミスラフ・ムツェックの代演)、ダーヴィット=伊藤達人、エーファ=林正子、マグダレーネ=山下牧子、夜警=志村文彦。合唱=新国立劇場合唱団、二期会合唱団、管弦楽=東京都交響楽団、指揮=大野和士、演出=イェンス=ダニエル・ヘルツォークです

私が新国立オペラで「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を観るのは2005年9月に次いで2度目です

 

     

 

「ニュルンベルクのマイスタージンガー」はリヒャルト・ワーグナー(1813-1883)が1862年から67年にかけて作曲、1968年にミュンヘンで初演された楽劇です 実在の靴屋の親方であるマイスタージンガーのハンス・ザックス(1494-1576)をテーマに扱い、彼の新しい民衆的芸術の理念がワルターによって実現されるという内容です

騎士ヴァルターは金細工の親方ポーグナーの娘エーファに一目ぼれする ヴァルターは、エーファが翌日の歌合戦で勝利者の花嫁になることを知り、自分も参加しようとするが、歌合戦の資格試験に落第してしまう しかし、靴屋の親方ハンス・ザックスだけは彼の歌の自由な精神と才能を認める やもめのザックスも密かにエーファに想いを寄せていたが、若い二人のために身を引く決心をする ザックスの教えによって、ヴァルターはライバルのベックメッサーを退け見事歌合戦で優勝する 一同はザックスを讃える

 

     

 

新国立オペラの場合、オーケストラ・ピットに入るのは通常 東京フィルと東京交響楽団で、都響が入るのは珍しいのではないかと思います 大野和士氏が新国立劇場のオペラ音楽監督であるとともに都響の音楽監督も務めている関係で指揮を執ることになったと思われます 会場は初日公演ということもあってか かなり埋まっています

大野和士の指揮で前奏曲の演奏に入りますが、限られた人数にしては迫力のある分厚い管弦楽が聴けました    これは期待できそうだ、と思いました

このオペラは登場人物が多いうえ、語るような歌唱が休むことなく延々と続くので、はっきり言って疲れるのですが、全体を引き締めていたのはハンス・ザックスを歌ったトーマス・ヨハネス・マイヤーです    ドイツ生まれのバリトンですが、新国立オペラでは「さまよえるオランダ人」のタイトルロールなどを歌いました    今回も優れた歌唱力に加え、圧倒的な存在感で本公演を支配しました

ベックメッサーを歌ったアドリアン・エレートはウィーン生まれのバリトンですが、「ドンジョバンニ」タイトルロール他を歌っており日本の聴衆にはお馴染みです    今回も”悪役”に挑戦しましたが、演技力・歌唱力ともに申し分ありませんでした

ヴァルターを歌ったシュテファン・フィンケはドイツ出身のテノールですが、無理のない歌唱で高音が良く伸びました

ポーグナーを歌ったギド・イェンティンスはドイツ出身のバスですが、親方らしい演技と歌唱で聴衆を魅了しました

エーファを歌った林正子は東京藝大大学院を経てジュネーヴ音楽院ソリスト・ディプロマ取得のソプラノですが、新国立オペラでは「魔笛」パミーナ他を歌っています 今回も美しく伸びのある歌声で存在感を示しました

今回 若手で頑張ったのはダーヴィットを歌った伊藤達人です     新国立劇場オペラ研修所第14期修了生ですが、研修生の頃から聴いている者にとっては嬉しいものです

新国立劇場合唱団と二期会合唱団は期待通りの素晴らしいコーラスを聴かせてくれました     特筆に値するのは大野和士指揮東京都交響楽団の演奏です。ワーグナーらしい勇壮な音楽づくりが強く印象に残りました

 

     

 

演出面では、最後のシーンが強烈に印象に残りました 第3幕の歌合戦シーンでは参加する親方達の大きなポートレートが並べて飾られるのですが、ヴァルターが優勝して彼を描いたポートレートが渡されると、「マイスタージンガー」の称号を受けないと言ってポートレートを破いてしまいます これに対しハンス・ザックスが「マイスタージンガー」の芸術の価値を説いてヴァルターをいさめると、彼は納得します 再び新しいヴァルターのポートレートが授けられますが、隣にいたエーファが複雑な表情をしています。私は彼女を見て「ああ、こうなれば面白いのになぁ」と期待していると、彼女はその通りのことをやってくれました それを見たハンス・ザックスが大笑いして幕が下ります

満場の拍手の中、1階左サイドやや後方席から「ブーイング👎」が出ましたが、保守層の気持ちは分からないでもないです しかし、ワーグナーはドイツの伝統を守ろうという高い意識の一方で、既成概念にはとらわれずに革新的な音楽を開拓してきた点に焦点を合わせれば、ヴァルターやエーファがやったことの方が正しいと言えるのではないか、と思います 2回の30分休憩を挟んで6時間になろうとしているオペラのラストを迎えた時点でこの演出を見て、眠気が覚める思いがしました この演出がなかったら「なが~いオペラだったなあ  せめて半分くらいの長さにしてくれないかなあ」で終わっていたかもしれません 繰り返されるカーテンコールが終わり、席を立ったのは22時10分を過ぎていました

 

     

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新日本フィル「室内楽シリーズ」でモーツァルト&ブラームス「クラリネット五重奏曲」を聴く ~ マルコス・ペレス・ミランダの熱演と、読響に移る中館壮志の新日本フィル最後の演奏

2021年11月18日 10時29分12秒 | 日記

18日(木)。わが家に来てから今日で2504日目を迎え、18日の都議会運営委員会で、一連の問題をめぐる公開質疑が実施される予定だった木下富美子都議が、「体調不良のため」欠席すると発表され、ネットでは批難轟々となっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     体調不良は議員を辞職しない限り治らないと思う  議員報酬はまた寄付するのかね

 

         

 

昨夕、すみだトリフォニーホール(小)で新日本フィル「室内楽シリーズ 第145回  芸術の秋に・・・岸田晶子プロデュース編」を聴きました プログラムは①モーツアルト「クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581」、②ブラームス「クラリネット五重奏曲 ロ短調 ”シュタードラー” 作品115」です 演奏はクラリネット=仲舘壮志、マルコス・ペレス・ミランダ、ヴァイオリン=岸田晶子、堀内麻貴、ヴィオラ=脇屋冴子、チェロ=サミュエル・エリクソンです

 

     

 

会場は大入り袋が出たのではないかと思うほどで、ほぼ満席です プログラムの妙か、出演者の魅力か、それとも両方か?  いずれにしても結構なことです

1曲目はモーツアルト「クラリネット五重奏曲 イ長調  ”シュタードラー” K.581」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1789年にクラリネットの名手アントン・シュタードラーのために作曲しました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「メヌエット ~ トリオ1・2」、第4楽章「アレグレット・コン・ヴァリアツィオー二」の4楽章から成ります

この曲では岸田が第1ヴァイオリンを務め、その右に堀内、脇屋、エリクソン、中館という並びで演奏します

中館のクラリネットは温かみがあり中庸の良さが前面に出ていました 特に素晴らしかったのは、第2楽章のラルゲットと第4楽章のアレグレットで、「長調の曲なのにどこか悲しい」というモーツアルトの特性がよく表れていました 4人の弦楽奏者のアンサンブルも美しく響きました 岸田さんのプレトーク(「えーと」の連発は止めた方がよいと思います)によると、中館氏は「読響のオーディションに受かってしまった」ので、このコンサートが新日本フィルの仲間とは最後となります オーボエの金子亜未さんに次いで読響に移ってしまうわけで、寂しい限りです

 

    

 

プログラム後半はブラームス「クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が、名クラリネット奏者ミュールフェルトに触発されて1891年に作曲した作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アンダンティーノ ~ プレスト・ノン・アッサイ、マ・コン・センチメント」、第4楽章「コン・モト ~ ウン・ポコ・メノ・モッソ」の4楽章から成ります

この曲では、堀内が第1ヴァイオリンを務め、右に岸田、エリクソン、脇屋、ミランダという並びで演奏します。チェロとヴィオラが入れ替わりました

ミランダのクラリネットは振幅の大きい演奏です 彼の一番の魅力は低音部の深みのある演奏です 第2楽章は弱音が美しく、晩年のブラームスの寂寥感が良く出ていました 第3楽章、第4楽章ではクラリネットと4人の弦楽奏者とのやり取りが聴きごたえありました 晩秋の今、しみじみと聴くのに相応しい演奏でした

アンコールは2人のクラリネット奏者を交えた6人で、チェコの作曲家ライヒャの「協奏的大二重奏曲ニ長調」から第3楽章「メヌエット」を楽し気に演奏しました 二人のクラリネット奏者が別々に同じフレーズを独奏する場面がありましたが、中館は弦楽器とバランスよく「協奏曲風に」、ミランダは弦楽器と丁々発止の「競争曲風に」演奏し、それぞれの特徴を発揮しました こういうアンコールは大歓迎です

 

     

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アルフォンソ・キュアロン監督「ROMA ローマ」を観る ~ Netfrixオリジナルドラマ

2021年11月17日 22時22分39秒 | 日記

17日(水)。10月8日に錦糸町で階段から転げ落ち、頭部を打って救急車で東京曳舟病院に搬送され、5針縫って9日間入院しました その際の経費については、すでに全額支払い済みだと思っていたら、株式会社Eというところから請求書が届きました 驚いて明細を見ると、入院患者用のパジャマ、歯ブラシ、タオルなどのレンタル料であることが判りました 念のため曳舟病院の診療明細書を確かめたら、レンタル料は計上されていませんでした。二重請求でないことが判ったので支払うことにしました

ということで、わが家に来てから今日で2503日目を迎え、三色旗(トリコロール)として知られるフランス国旗の青色の部分がマクロン大統領によって、明るい色から濃紺に変更されていたことがわかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     まだ青だからブルーになるくらいで済んだ  てっきり真黒んに変えたかと思ったよ

 

         

 

夕食に「豚の生姜焼き」「生野菜と釜揚げシラスのサラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 生姜焼きは小麦粉をまぶして肉を焼いたらフライパンにこびりついて困りましたが、柔らかくできました

 

     

 

         

 

アルフォンソ・キュアロン監督による2018年製作メキシコ・アメリカ合作映画「ROMA  ローマ」(モノクロ・135分)を観ました

物語の舞台は1970年代初頭のメキシコシティ。医者の夫アントニオ(フェルドナンド・グレディアガ)と妻ソフィア(マリーナ・デ・タビラ)、そして4人の子どもたちと祖母が暮らす中産階級の家で家政婦として働くクレオ(ヤリッツァ・アパリシオ)は、子どもたちの世話や家事に追われる日々を送っていた そんな中、クレオは同僚の恋人の従兄弟である青年フェルミン(ホルヘ・アントニオ・ゲレーロ)と恋に落ちる やがてクレオは妊娠し、その事実をフェルミンに伝えるが無視される。クレオはソフィアに相談し生むことを決意するが、流産してしまう 一方、アントニオは長期の海外出張へ行くと言い出すが、その実態は国内で愛人と暮らすことだった アントニオが荷物を引き取りに来る日、ソフィアは子どもたちと祖母、そしてクレオを伴って海にドライブに行くが、二人の子どもたちが溺れかかってしまう それをクレオが助けたことからソフィアは一人で4人の子どもたちを育て、クレオを引き続き雇い続ける決心をする

 

    

 

本作はNetfrixオリジナルドラマとして製作された映画です アルフォンソ・キュアロン監督が、自身の幼少期の体験を交えながら、政治的混乱に揺れる1970年代のメキシコを舞台に、ある中産階級の家庭に訪れる激動の1年を若い家政婦の視点から描いています

この映画を観ていて最後まで分からなかったのは、タイトルがなぜ「ローマ」なのか、ということです 後で調べてみたら物語の舞台がメキシコシティの「コロニアル・ローマ」という土地だからということが分かりました

ところで、クレオが胎児の父親であるフェルミンに会いに郊外の武術訓練場に行って訓練を見学するシーンがあります ここで指導者が日本語で、イチ、ニー、サン・・・と掛け声をかけると訓練生たちが武術の型を決めていくのですが、なぜか、ジュウシチ、ジュウハチ、ジュウクウの次がサンジュウになっていました この辺はメキシコらしくおおらかです

この映画を観ていて気が付いたのは、クレオが働く家では犬を飼っていますが、あらゆるシーンに犬が出てくることです 70年代のメキシコは犬だらけだったのだろうか

それと、この作品は監督の思い出を忠実に再現したいという強い思いがモノクロ画面に表れています また、この本作にドキュメンタリーのようなリアリティを感じるのは、会話の時の顔のアップがないことです 台詞を言うたびに顔をアップするのは極めて不自然ですが、この作品ではカメラワークが自然です

さて音楽です キュアロン監督はベルリオーズが好きなようで、本作では2曲が使用されています 1曲目はアントニオが車で帰って来て車庫入れするシーンでカーラジオから流れてくる「幻想交響曲」の第2楽章「舞踏会」のワルツです もう1曲は、フェルミンとクレオが観ていた映画のエンドロールで流れた歌劇「ファウストの劫罰」の「ラコッツィー行進曲」です

本作は2018年の第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で最高賞に当たる金獅子賞を受賞、第91回アカデミー賞でも外国語映画賞、監督賞、撮影賞を受賞しています 観終わった後、温かい気持ちになるとても良い作品でした

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天海祐希主演「老後の資金がありません!」を観る ~ お金も大切だが、もっと大切なものがある

2021年11月16日 19時17分38秒 | 日記

16日(火)。ケーキの予約をしてきました 娘が12月25日のクリスマス生まれなのでバースデー・ケーキですが、実態はクリスマス・ケーキです 娘は苺のショートケーキが好きなので、地元 巣鴨の FRENCH  POUND  HOUSE で 一番小さい4号のホールケーキ・ルージュ(お酒入り)を注文しました 息子は山形にいるので、2人分としては十分です

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2502日目を迎え、米国務省は15日、ロシアが人工衛星に対するミサイル攻撃実験を行い、自国の衛星を破壊した結果、1500個以上の宇宙ゴミが発生したと明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアは宇宙ゴミを東京都の基準に従って「分別ごみ」に出すべきだ  どこか変?

 

         

 

夕食は「寄せ鍋(海鮮中心)」にしました 材料は牡蠣、タラ、ホタテ、エビ、鶏肉団子、豆腐、シメジ、エノキダケ、人参、白菜です。温まりました

 

     

     

 

         

 

TOHOシネマズ上野で前田哲監督による2021年製作映画「老後の資金がありません!」(115分)を観ました

家計に無頓着な夫の章(松重豊)、フリーターの娘まゆみ(新川優愛)、大学生の息子・勇人(瀬戸利樹)と暮らす平凡な主婦・後藤篤子(天海祐希)は、憧れのブランドバックも我慢して、夫の給料と彼女がパートで稼いだお金をやりくりしながらコツコツと老後の資金を貯めてきた 篤子の唯一の贅沢は月謝5000円のヨガ教室に通うことだけだった。しかし、亡くなった舅の葬式代400万円!、パートの突然の解雇、娘の結婚相手が地方実業家の御曹司で豪華な結婚式を折半で負担、さらには夫の会社が倒産して退職金が不支給と、節約して貯めた老後の資金を目減りさせる出来事が次々と降りかかる そんな中、章の妹・志津子(若村麻由美)との話し合いの中で、篤子は毎月9万円の仕送りを免除してもらう代わりに、施設に入居している夫の母・芳乃(草笛光子)を引き取ると口走ってしまう 芳乃を加えた生活が始まるが、元・老舗和菓子屋の女将だった芳乃の奔放なお金使いで予期せぬ出費が嵩み、篤子はさらなる窮地に追い込まれてしまう さらに、芳乃はあろうことか”生前葬”をしたいと言い出す。篤子のストレスはピークに達する 篤子はこの重圧から抜け出すことができるのか

 

     

 

この映画は垣内美雨の同名小説を前田昭監督が映画化したコメディーです 一つピンチが襲うと、それに連鎖するように次々とピンチが襲うのが世の常ですが、後藤家のピンチは半端ではありません 中でも夫婦そろって失業するという事態は最悪です。映画だから笑って済ますことが出来ますが、現実の世界の話だったらそうはいきません

本作では、老親の面倒を誰が看るかという切実な問題や、オレオレ詐欺に引っかかって大金を失うという問題、親が死亡しているのに引き続き年金を受け取るケースがあるという問題など、「老後の資金」以外にも老後に係る問題が多々あることを、笑いをまぶして警告しています

最終的に、章の妹・志津子が芳乃を引き取ることになり、章と篤子は住家を売り払ってシェアハウスで暮らすことになります 夫婦だけで暮らすよりも他人同士ながら複数の家族が同じ屋根の下で、プライバシーを守りながら一緒に食事をしたり雑談をしたりした方が楽しいだろうと結論を出したのです 「老後はお金だけが大切なのではない。人と人との繋がりも大切だ」ということに気が付いたのです ただ、映画なので同居人はみな良い人に見えますが、現実はどうなのでしょうか

役作りでは、何といっても主役の篤子を演じた天海祐希が素晴らしい 彼女の素晴らしいところは喜劇的な役柄でもシリアスな役柄でも、何の違和感もなく自然に演じられるところです 驚いたのは芳乃を演じた草笛光子です 篤子のヨガ仲間・神田サツキ(柴田理恵)に頼まれて、失踪した父親の身代わりになって役人による身元調査に応じることになるのですが、志村けんも真っ青な”変なおじさん”そのものです そうかと思うと、生前葬のシーンでは「ラストダンスは私に」を歌ったりして、まったく死にそうもない、現役歌手も真っ青な歌唱力を発揮していました 二人の会話で面白かったのは、篤子が「私も宝塚に入りたい」と言うと、芳乃が「あなたには宝塚は無理ねぇ」と反応し、篤子が複雑な表情を見せるシーンです 言うまでもなく、篤子を演じる天海祐希は元・宝塚の男役トップスター、草笛光子は元・松竹歌劇団(SKD)のトップスターです

さて、音楽です 本作ではクラシック音楽が何曲か使われていますが、一番目立ったのは、芳乃が、サツキの失踪した父親の身代わりになって役人による身元調査に応じているところに、本物の父親(毒蝮三太夫)が帰ってきて、「お前は何者だ!」と怒って日本刀を振り回して篤子と芳乃を追いかける時に流れるヨハン・シュトラウス2世の「美しき蒼きドナウ」です 刃傷沙汰の殺気立ったシーンに のんびりしたウィンナ・ワルツを流す手法は、アンビバレント効果を狙ったのではないか、と思います

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「第11回音楽大学フェスティバル・オケ」のチケットを取る ~ 下野竜也の指揮でブルックナー「交響曲第4番」他 / Netfrixで「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」を観る

2021年11月15日 18時55分53秒 | 日記

15日(月)。来年3月27日(日)午後3時から東京芸術劇場で開かれる「第11回音楽大学フェスティバル・オーケストラ」公演のチケットを取りました プログラムは①三善晃「祝典序曲」、②ブルックナー「交響曲第4番 変ホ長調 ”ロマンティック” 」(ハース版)です このオーケストラは首都圏の音楽大学から選抜された学生たちによる臨時編成オケですが、毎年楽しみにしています

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2501日目を迎え、ドナルド・トランプ前米大統領の一族が経営するトランプ・オーガニゼーションが、首都ワシントンにある高級ホテルのリース権を3億7500万ドル(約430億円)で投資ファンドCGIマーチャント・グループに売却することで合意したが、ホテルの運営企業は2016年の開業時から20年8月までに7100万ドル(約80億円)を超える損失を計上、一度も黒字にならなかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     赤字経営しか出来ないトランプに大統領は務まらない  それとも税金逃れで赤字に?

 

         

 

夕食に「麻婆茄子」「生野菜サラダ」「エノキダケの味噌汁」を作りました 麻婆茄子は久しぶりですが、秋は茄子が美味しいですね

 

     

 

         

 

Netfrixでテリー・ギリアム&テリー・ジョーンズ共同監督による1975年製作イギリス映画「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」(92分)を観ました

この作品はイギリスの代表的なコメディ・グループ「モンティ・パイソン」によるイギリスのアーサー王伝説をもとにしたパロディ映画です 限られた予算で短期間で製作する制約から、城のセットに本物の城跡を使用したり、実写の代わりにアニメを用いたりと工夫を凝らしています

 

     

 

物語の舞台は932年のイングランド。アーサー王(グレアム・チャップマン)と従者パッツィー(テリー・ギリアム)は旅を続けていた 最初に訪れた城でココナッツの議論に振り回された後、疫病に苦しむ村や、やたらと政治を批判する農民、腕や足を切られても「痛くない」と言い張る黒騎士などに出会う その後、魔女の正体を見抜いたベディヴィア卿(テリー・ジョーンズ)の腕を認め、円卓の騎士にする そして、ガラハッド卿(マイケル・ペイリン)、ランスロット卿(ジョン・クリーズ)、ロビン卿(エリック・アイドル)などがアーサー王に忠誠を誓い、円卓の騎士が揃う 彼らは神の命を受けて聖杯を探すことになる しかし、最初に出会ったフランス人の城からは侮辱の言葉を浴びせられ、「トロイの木馬」を真似た「木ウサギ」作戦も失敗する そこでいきなり現代の映像が入り、歴史学者がアーサー王について語るが、突然騎士に斬り殺される アーサー王一行は手分けして聖杯を探すことにする。ロビン卿は三頭の騎士に出会うが、すぐに逃げる ガラハット卿は若い美女ばかりが暮らす「アンスラックス城」で誘惑される ランスロット卿は、無理やり結婚させられる王子のSOSの手紙を女性のものと勘違いし、城に飛び込んで大殺戮を行う アーサー王とベディヴィア卿は聖杯のありかの手がかりをつかむが、森の中で「ニッ」の騎士に出会い、盆栽を持ってくるように命令される 盆栽を持って行った後も無茶な命令をされるが、「それ」という言葉が弱点の「ニッ」の騎士を「それ」だらけの会話で撃退する 合流したアーサー王一行は、妖術師ティムに出会う。ティムと共に聖杯の手がかりのある「カルバノグの洞窟」へ行くが、洞窟の入口を守る白うさぎが実は凶暴な動物で、何人もの騎士が命を落とす 「聖なる手榴弾」でどうにか白うさぎを撃退し、洞窟の中に入ると、壁に「聖杯が置かれている城の名前はアアアア」と書かれているのを発見する その直後に伝説の野獣アーッが出現し襲われるが、アニメ作家(ギリアム本人)が心臓発作に倒れてアニメの怪獣も消えてしまう アーサー王たちは最後の試練である「死の橋」へ向かう。番人の老人が出す3つの問いに答えられないと渡れない橋で、ランスロット卿は渡った(直後に逮捕)が、ロビン卿とガラハット卿は地獄の谷に落ちて死ぬ アーサー王の機転で老人を倒し、橋を渡ることが出来たアーサー王とベディヴィア卿は、ついに聖杯のある「アアアアの城」にたどり着く ところが、そこには以前出会ったフランス兵が陣取っていた またも侮辱されたアーサー王は、聖杯を奪還するため兵を集め城に突撃しようとするが、突然パトカーが現れ、警官によって一行は歴史学者の殺人容疑で逮捕されてしまう そのシーンを撮影されていることに気づいた警官はカメラを塞ぎ、アーサー王たちがどうなったか分からないまま映像は途切れてしまう

 

     

 

「ココナッツの議論に振り回された」というのは、本来アーサー王は馬に跨って旅をするのですが、予算の関係で馬を用意することが出来ないので、馬を手綱で操るしぐさをしながら(上の写真)自分で走ることになります その際、パッツイが2つのココナッツの実を使って馬が走る時のような音を出します ラジオの伝統的な効果音の手法ですが、モンティ・パイソンは映像で裏の側面を見せてしまうわけです これを見た相手の兵士が「本物の馬に乗っていないじゃないか」と揶揄すると、アーサー王は「いや、本物の馬に乗っているのだ」と答えるところからココナッツに関わる議論が始まるのです

アーサー王の物語なのに、途中で歴史学者が出てきたり、最後にはパトカーまで登場してアーサー王が逮捕されてしまったりと、ストーリーがハチャメチャですが、モンティ・パイソンのメンバーの一人であるテリー・ジョーンズは中世の歴史研究家で、コメディ映画にもかかわらず、装飾性を配した騎士たちの衣装はアーサー王伝説を扱った映画の中で最も時代考証が正しい映画と言われているそうです

「モンティ・パイソンらしいな」と思ったのは、決闘シーンや城に乗り込んで大虐殺したりするシーンでは、切り落した腕が飛んだり、血が噴き出したりと派手な映像が見られるところです ブラックユーモアこそ「モンティ・パイソン」の神髄です また、フランス兵が城の上からアーサー王に向かって牛や鶏を投げ下ろすシーンには笑ってしまいました ひょっとして昔の戦争は、本当に動物を投げたのかもしれないと思ったりしました

懐かしいのは、1970年代中頃に東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放映されていた「空飛ぶモンティ・パイソン」です イギリス人が製作しているのにイギリス人をおちょくったり、残酷なシーンを平気で流したりして、よく英国の国営放送BBCで放送したなと思いました 国内では日本語吹き替え版で放映されていましたが、広川太一郎の「とかなんとか言っちゃって~」という独特のセリフ回しが今なお耳について離れません とにかく理屈抜きで「モンティ・パイソン」は面白いです

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「コンクールに思う」~ 朝日の記事から / 「伊藤悠貴 チェロリサイタル」のチケットを取る ~ 芸劇ブランチコンサート / 「ムンバイのヴァイオリン弾き」を観る ~ Netfrix配信映画

2021年11月14日 19時24分16秒 | 日記

14日(日)。昨日の朝日新聞朝刊のコラム「多事奏論」に同社編集委員・吉田純子さんによる「コンクールに思う 音楽の本質 競争でなく個性」という見出しの記事が載っていました エッセンスだけご紹介すると次の通りです

「この秋のショパン国際ピアノコンクールほど、メディアが試行錯誤を強いられたイベントはかつてなかったと思う 一般の人々が先に、リアルタイムの配信を通じ、最初の予選から本選までの詳細な情報を共有していたからだ(略)この地殻変動は、順位を権威化してきた従来の音楽ビジネスの在り方にも大きな発想の転換を促すことになるだろう スターを生成する『装置』だったコンクールが、盛大なエンタメとして大衆の手のうちに入り、旧態依然とした商業主義のシステムの内側でもはやコントロールできなくなったからだ アーティストの多様かつ繊細な個性にあらためてどう向き合うか。音楽業界は初心に立ち返らねばならないと思う(略)若手たちがそれぞれの歩幅で多様に成熟を重ねられるよう、私もこれまで以上に真剣に伝えていかねばならないと思う。芸術は本来、競い合うためにあるのではないということを。日本の楽団や演奏家が今、どれほど凄いレベルに達しているかということを。そして、現実の劇場にこそ、コンクールを超えるスリリングな精神の冒険の桃源郷が待っているということを

吉田さんは同様の趣旨の持論を何度か書いていますが、確かに今年のショパン・コンクールは「コンクールの在り方を変えた」、「演奏する側と聴く側の意識を変えた」と言えるかもしれません その一方で、何かで読んだ記憶があるのですが、「日本国民全体の中に占めるクラシック愛好家の人口は約1%に過ぎない」という実態を鑑みると、今回のショパン・コンクールを巡る国内での大騒ぎも、ほんの一握りの人々の中での出来事に過ぎない、と言えなくもないでしょう 言うまでもなく、1%を2%に挙げるのは至難の業です

ということで、わが家に来てから今日で2500日目を迎え、NHKは13日、大河ドラマ「青天を衝け」の7日放送(第34話)で、オランダ、ロシア、英国の国旗の向きを上下逆さまにして放送する誤りがあったと番組の公式サイトなどで謝罪したと  いうニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     NHK(日本反転協会)にとっては「青天の霹靂」だったか  今度は「雨天を衝け」

 

         

 

来年3月9日(水)午前11時から東京芸術劇場で開かれる芸劇ブランチコンサート「名曲リサイタル・サロン 第17回『全歌曲集から紐解くラフマニノフ』 伊藤悠貴」のチケットを取りました プログラムは下のチラシの通りです↓ 実は7月28日のリサイタル・サロンの際に、11月(福間洸太朗)、1月(藤田真央)、3月(伊藤悠貴)のチケットを取るはずだったのですが、この日は3時からミューザ川崎でN響コンサートが、7時から東京シティ・フィルのコンサートあり、慌てて芸劇を出て川崎に向かったので、チケット購入が頭からスッポリと抜け落ちてしまったのです その結果、11月10日の公演は聴けず、1月の藤田真央の公演は「予定枚数終了」ということで聴けません まあ、たまにはこういうこともあります

 

     

    

         

 

Netfrix配信映画「ムンバイのヴァイオリン弾き」を観ました 1時間程度の短編映画はないかな、と思ってNetfrixのメニューを検索していたら72分の映画がありました それが2016年製作の「ムンバイのヴァイオリン弾き」です 監督はBauddhayan  Mukherjiという人です

主人公は交響楽団のヴァイオリニスト。景気が良くないため仕事が少ない ある日、練習帰りに駅のホームで列車を待っているとき、自分をジッと見つめる白シャツの男がいた その男が近づいてきて「君はヴァイオリンを弾くのか?」と聞く。彼が「そうだ」と答えると、「自分は映画監督だが、音楽を演奏してほしいので すぐに来てもらえれば前金を払う」と言う    彼は白シャツ男に着いていくことにする。彼は見知らぬ街の汚い安アパートに連れていかれるが、そこは演奏用のスタジオではなく、パソコンやマイクがあるだけだった 白シャツの男は「合図をしたら西洋音楽を弾いてほしい」と言う。彼は「どんな映画なのか、どんな曲を弾いたらいいのか?」と聞くが、白シャツの男は答えてくれない 「映像を流すからそれに合わせて自然な感じで演奏すればいい」と言うだけ 納得がいかないまま、映像が始まるが、そのタイトルは「音楽のある浴室の風景」だった 明るい浴室でタオルを巻いただけの女が身体を洗っていると、ドアから男が入ってくるという映像だ 驚いて振り向いた女の顔のアップが映し出される。それはポルノビデオの収録だったのだ 男は驚いて一瞬演奏が止まってしまうが、演奏を再開すると、女が興に乗ってくる。目をつぶって演奏すると、白シャツの監督から「目を開けてちゃんと見ろ」と指示される 映像を見つめながら無我夢中で演奏すると、映画も演奏も最高潮に達する 映画が終わると、彼は悲しみに満ちたメロディーを静かに演奏し仕事を終える 監督は素晴らしい演奏だったと男を称え、残りの報酬を支払う 彼は納得のいく演奏ができたと物思いに耽りながら家路につく。帰宅すると不機嫌な妻が待っていた。実は映像の女は彼の妻だったのだ 男は一瞬、その朝ゴキブリを叩き潰したように妻の首を絞め、ヴァイオリンで叩き殺すシーンを想像するが、実際には妻を抱きしめたのだった そして、「今日は、ヴァイオリンをソロで弾いて最高の演奏ができた」と嬉しそうに報告し、妻も嬉しそうに受け止めるのだった

 

     

 

インド映画というと、お約束のように、いきなり人々が躍り出すシーンを思い浮かべますが、この映画はまったく種類が異なります 冒頭から中盤にかけてはほとんどミステリーと言えるほど緊迫感に満ちています 主人公の男が列車の中で、どんな音楽を弾こうかと想像するシーンがありますが、彼の頭の中で鳴っていたのはベートーヴェン「ロマンス」、モーツアルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、チャイコフスキー「白鳥の湖」といった定番の音楽でした また、映画の本番を迎えて、「西洋音楽」といっても何を弾けばよいのか迷った挙句 弾き出したのは「白鳥の湖」の「情景」でした

結局 主人公は、妻がポルノビデオに出ていたという予想外の衝撃と、感情を込めて弾いたソロの演奏が監督に認められたという喜びとが交錯して、複雑な心境になったに違いありません

映画の最後にパブロ・ピカソの「芸術は日常生活で汚れた魂を洗う」という言葉が現れます 主人公が自分で納得のいく演奏ができたからこそ、妻をゴキブリのように叩き殺すことはせず、抱きしめることができたのだと思います 芸術は妻の肉体を救い、夫の精神を救ったのです

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ウルバンスキ ✕ 弓 新 ✕ 盛田麻央 ✕ 町英和 ✕ 新国立劇場合唱団 ✕ 東響で シマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲」、オルフ「カルミナ・ブラーナ」を聴く / 東京フィル2022シーズン座席確定

2021年11月13日 23時47分16秒 | 日記

13日(土)。今日は東京フィルの2022シーズンに向けての座席変更手続き開始日だったので、朝10時から東京フィルチケットサービスに電話をかけまくりましたが、全然繋がりません 今やオーケストラはネット上で座席変更手続きできるご時世なのに、今だに電話でしか受け付けないのは時代遅れもいいところです と怒ったところで、3時10分頃にやっと繋がりました 現在は2階LD2列で若干ステージから遠いので、より近くの席を求めて2階Cブロック右サイド2列の席を押さえました なお、全8公演のうち3公演は同じ時間帯に別のコンサートが入っていたり、同じ日の別の時間帯にコンサートが入っていたりするので、東京フィル以外のオケの振替制度を利用して日にちをずらしたいと思っています

ということで、わが家に来てから今日で2499日目を迎え、トランプ政権のバノン元首席戦略官は1月の米議会襲撃事件を調査する下院特別委員会から証言を求める召喚状が出されていたが、出席を拒否していたことに対し、米司法省は12日、連邦大陪審が議会侮辱罪で起訴したと発表したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     バノンは事件前日に混乱が起きることを予告していた  黒幕は彼だった可能性あり

 

         

 

午後6時からサントリーホールで東京交響楽団「第695回定期演奏会」を聴きました プログラムは①シマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番」、②オルフ「カルミナ・ブラーナ」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=弓 新(ボムソリの代演)、②のソプラノ独唱=盛田麻央、カウンターテナー独唱=彌勒忠史、バリトン独唱=町英和、合唱=新国立劇場合唱団、児童合唱=東京少年少女合唱隊、指揮=クシシュトフ・ウルバンスキです

指揮をとるウルバンスキは1982年ポーランド生まれ。現在、米インディアナポリス交響楽団音楽監督、ノルウェー・トロンハイム交響楽団名誉客演指揮者、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者を務めています また、2013年から3年間、東響の首席客演指揮者を務めました

 

     

 

前回 10月度定期演奏会は入院中で聴けなかったので、東響定期は2か月ぶりです    コロナ禍に係る緊急事態宣言が解除されたせいか、はたまたウルバンスキ人気のせいか、会場はかなりの客入りです 徐々に”正常な状態”に戻ってくれるといいなと思います また、ホワイエのドリンク・コーナーのサービスも再開されました もっともコーヒー1杯が500円では手も足も舌も出ません

拍手に迎えられて東響の楽団員が配置に着きます 弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東響の並び。コンマスは水谷晃です

1曲目はシマノフスキ「ヴァイオリン協奏曲第1番」作品35です    この曲はカロル・シマノフスキ(1882-1937)が1916年に作曲、1922年11月1日にワルシャワで初演されました 曲は単一楽章形式ですが、大きく分けて5つの部分から成ります   ヴィヴァーチェ・アッサイ ~ アンダンティーノ ~ スケルツァンド ~ アレグレット ~ ヴィヴァーチェという構成です

ヴァイオリン独奏の弓 新(ゆみ あらた)は2011年ヴィエニャフスキ国際コンクール最年少ファイナリスト特別賞を受賞、2018年ロン=ティボー国際音楽コンクール第5位入賞 現在、北西ドイツ・フィルの第2コンサートマスターを務めています

男性ファッション誌から抜け出てきたような長身・スリム・イケメンのウルバンスキが指揮台に上り弓 新の独奏で演奏に入ります    全体を通して聴く限り、超絶技巧を要する難曲で、目先がクルクルと変わります    一番印象に残ったのは最後のヴィヴァーチェにおける弓 新のカデンツァで、最高音から再低音まで、最強音から再弱音までの技巧を凝らした鮮やかな演奏で、半端ない緊張感を醸し出しました その後は、ウルバンスキのスケールの大きな曲作りでフィナーレを飾りました これほどの演奏ができないとドイツのオケの第2コンマスは務まらないのだろうな、と納得しました

 

     

 

プログラム後半はオルフ「カルミナ・ブラーナ」です この曲はカール・オルフ(1895ー1982)がバイエルンのポイロン修道院に所蔵されていた「詩」の写本の中からテクストを選び、1935年から36年にかけて舞台音楽として編成し、1937年6月8日にフランクフルトで初演された全25曲から成る世俗カンタータです 第1曲と第2曲が「序」として置かれ、第1曲と同じ最終曲(第25曲)で締めくくられる形をとり、その間に第1部「春に」(第3曲~第10曲)、第2部「居酒屋にて」(第11曲~第14曲)、第3部「求愛」(第15曲~第24曲)が挟まれる構成となっています

ステージ後方のP席には新国立劇場合唱団のメンバー(女声26人、男声22人)が、ステージ左サイドLAブロックには東京少年少女合唱隊のメンバー12人がスタンバイし、同時にオケのメンバーが再入場します

ウルバンスキの指揮で第1曲の演奏に入りますが、打楽器陣を含めたオーケストラ総力を挙げての熱演と、少数ながら大合唱団並みの力を発揮する新国立劇場合唱団による熱唱に冒頭から圧倒されます 第6曲は管弦楽のみによる演奏ですが、フルート首席の相澤政宏の演奏が素晴らしい 次の第7曲は失恋を歌った詩にもかかわらず明るい基調の音楽で、ウルバンスキは合唱団に身体を左右に揺らしながら歌うように求めていましたが、これはとても良い演出だったと思います 第11曲は居酒屋で己の愚かさを嘆く歌ですが、バリトンの町英和は演技力たっぷりに歌い上げました 第12曲は料理人に焼かれた白鳥の歌ですが、カウンターテナーの彌勒忠史(みろく ただし)は”歌で演技する”といった素晴らしい歌唱力を発揮しました 私が一番良かったと思うのは第21曲「In  trutina(揺れ動く、わが心)を歌った盛田麻央のソプラノです 高音が良く伸び、歌に生命力が宿っていました 彼女のソロは第15曲と第23曲でも聴けましたが、とくに後者の超高音による歌唱力は感動を呼びました 児童合唱は第15曲で大活躍しました 全体を通して新国立歌劇場合唱団によるコーラスの素晴らしさが目立ちました 少数精鋭というのは今回のような合唱を言うのでしょう

さて、今回の最大の貢献者は何といっても、指揮者のウルバンスキです 彼の前には楽譜もなければ譜面台もありませんでした つまり彼は最初から最後まで暗譜で指揮をしたのです 彼が東響に初めて客演したとき、リハーサルの段階から暗譜で指揮をとったので楽団員は舌を巻いたというエピソードがあるくらいなので、東響の会員は良く知っていることですが、それにしても、交響曲ではなく全25曲もある声楽曲を暗譜で通すというのは並大抵のことではありません 出演者によるカーテンコールの後、ウルバンスキだけがステージに呼び戻されたことは言うまでもありません 掛け値なしに素晴らしいコンサートでした

なお、映画「追憶」や「スター誕生」でお馴染みの女優・歌手のバーブラ・ストライザンドが第21曲「In  Trutina」を歌っています クラウス・オーガーマン指揮コロンビア交響楽団のバックで、ドビュッシー「美しい夕暮れ」、フォーレ「パヴァーヌ」などとともに、透明感のある美しいソプラノで歌っていて、心を洗われます

 

     

     

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ロリー・マクドナルド ✕ 南紫音 ✕ 東京シティ・フィルで ヴォーン・ウィリアムズ「揚げひばり」、シベリウス:交響詩「4つの伝説」他を聴く

2021年11月12日 23時22分03秒 | 日記

12日(金)。わが家に来てから今日で2498日目を迎え、10月末、徳島県つるぎ町の町立半田病院にサイバー攻撃が襲い、病院のシステムに侵入して情報を暗号化し、復旧と引き換えに金銭を要求するコンピューターウイルス「ランサムウエア」に感染した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     金銭を得るために病院を混乱に陥れる奴らは人間のクズだ  探し出して厳罰を科せ

 

         

 

夕食に「チキンステーキ」を作りました 2週間に1度のローテ入りしたレシピです。ちょっと目玉焼きを焦がしましたが大勢に影響はありません

 

     

 

         

 

午後7時から東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第346回定期演奏会」を聴きました 先月の定期演奏会は入院中で聴けなかったので、2か月ぶりに隣席のままははさんとお会いしました 仕事帰りということでスーツ姿が決まっていました 頭の怪我の話になり、お互いに階段は気を付けましょうと確認し合いました

さて、プログラムは①ティペット「チャールズ皇太子の誕生日のための組曲」、②ヴォーン・ウィリアムズ「揚げひばり」、③シベリウス:交響詩「4つの伝説」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=南紫音、指揮=ロリー・マクドナルドです

マクドナルドはスコットランド生まれの俊英です。ケンブリッジ大学でデイヴィッド・ジンマンに指揮を師事、アスペン音楽祭でヨルマ・パヌラに学びました。英国を中心に多くのオーケストラに客演しています

 

     

 

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東京シティ・フィルの並び。コンマスは荒井英治です

1曲目はティペット「チャールズ皇太子の誕生日のための組曲」です この曲はミシェル・ティペット(1905-1998)が1948年にBBCの委嘱により作曲した全5曲の組曲です 第1曲「イントラーダ(前奏曲)」、第2曲「ベルソース(子守歌)」、第3曲「行列と踊り」、第4曲「キャロル」、第5曲「フィナーレ」から成ります

全体を通して聴いた印象は、現代の音楽にしてはシンプルで分かりやすく祝祭感に満ちた音楽で、英国風の雰囲気に満ちていました

2曲目はヴォーン・ウィリアムズ「揚げひばり」です この曲はラルフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958)が1914年から20年にかけて作曲、1920年にロンドンで初演されたヴァイオリンとオーケストラのための作品です 楽譜に記されたジョージ・メレディスの詩「揚げひばり」のイメージが音楽化されています

ヴァイオリン独奏の南紫音は2005年のロン=ティボー国際音楽コンクールで2位入賞、さらに2015年にはハノーファー国際ヴァイオリン・コンクールで2位入賞を果たしています

全体を聴いた印象は、まるで全編を通してヴァイオリンによる自由自在のカデンツァを聴いているような感じでした 冒頭から南のニュアンスに満ちた弱音により、ひばりが舞い上がり、自由に飛ぶ姿が思い浮かびます 南のヴァイオリンは透明感に満ち、どこまでも優しく、温かく、澄み切っていました

 

     

 

プログラム後半はシベリウス:交響詩「4つの伝説」です この曲はジャン・シベリウス(1865-1957)が1893年から95年にかけて作曲(その後改訂)、1896年に作曲者の指揮、ヘルシンキ・フィルにより初演されました 第1曲「レンミンカイネンとサーリの乙女」、第2曲「トゥオネラの白鳥」、第3曲「トゥオネラのレンミンカイネン」、第4曲「レンミンカイネンの帰郷」から成ります

マクドナルドの指揮で第1曲の演奏に入りますが、弦楽器のうねりが凄い 第2楽章はこの曲の白眉です。イングリッシュ・ホルンの抒情的な演奏が心に沁みます 独奏チェロも素晴らしかった 「静謐な音楽」というのはこういう曲を言うのでしょう 第3楽章では弦楽器のトレモロが不気味に迫ってきます 第4楽章は一転、エネルギーに満ちた音楽が展開し、フィナーレはシベリウスらしい大団円で締めくくられます

この日の演奏を最後まで聴いて思ったのは、マクドナルドはバランス感覚に優れた素晴らしい指揮者だということです

 

     

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METライブビューイング2021-2022ラインナップ明らかに / 瀬戸内寂聴さん逝く / 森義仁監督「ボクたちはみんな大人になれなかった」を観る ~ Netfrix配信ドラマ

2021年11月11日 19時13分52秒 | 日記

11日(木)。瀬戸内寂聴さんが死去されました(享年99歳)。瀬戸内さんを身近で見たことが2度あります   1度目は2006年2月に、瀬戸内さんの台本に基づき三木稔が作曲したオペラ「愛怨(あいえん)」の世界初演の時です 会場は初台の新国立劇場ですが、袈裟を召されて私の定期会員席のすぐ2つ前の席に座って鑑賞されていました。2度目は新聞関係団体が主催して「活字文化を守ろう」という趣旨の講演会を開いたときにゲストで招いた時です 黄色系の袈裟を身に着けて会場に向かう瀬戸内さんの姿を見たらオーラオを放っていました あらためて瀬戸内寂聴さんのご冥福をお祈りいたします

ということで、わが家に来てから今日で2497日目を迎え、自民党の最大派閥・細田派は11日、党本部で総会を開き、安倍晋三元首相の新会長就任を正式に決定した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これで自民党の憲法改正論議が活発化しそうだね  他にやるべきことは数多くあるが

 

         

 

夕食に「サケのちゃんちゃん焼き」「生野菜サラダ」「豚汁」を作りました 「サケの~」は今朝の朝日新聞「料理メモ」に載っていたレシピで作りました はっきり言って味がいまいちだったのですが、娘が「マヨネーズをかけたら絶対美味しいと思う」と言うので、試しにかけて食べたら信じられないくらい美味しくなりました ちゃんちゃん焼きは味噌とバターを使っているので、マヨネーズと相性が良いのだと思います

 

     

 

         

 

「METライブビューイング2021-2022」のラインナップが明らかになっています METライブビューイング特設サイトによると全10作品のラインナップは次の通りです

(いずれの日程も金曜~木曜。東京都内は「新宿ピカデリー」「東劇」他)

①ムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」    1月21日~27日   指揮=セバスティアン・ヴァイグレ、歌手=ルネ・パーペ他

②ブランチャード「Fire  Shut  Up  in  My  Bones」  1月28日~2月3日   指揮=ヤニック・ネゼ=セガン、歌手=ウィル・リバーマン他

③オーコイン  「エウリディーチェ」     2月18日~24日    指揮=ヤニック・ネゼ=セガン、歌手=エリン・モーリー他

④マスネ    「シンデレラ」        3月4日~10日    指揮=エマニュエル・ヴィヨーム、歌手=イザベル・レナード他

⑤ヴェルディ  「リゴレット」          3月18日~24日     指揮=ダニエル・ルスティオー二、歌手=ピョートル・ベチャワ他

⑥R.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」  4月22日~28日   指揮=マレク・ヤノフスキ、歌手=イザベル・レナード他

⑦ヴェルディ  「ドン・カルロス」      5月13日~19日  指揮=ヤニック・ネゼ=セガン、歌手=エリーナ・ガランチャ他

⑧プッチーニ  「トゥーランドット」     6月10日~16日  指揮=マルコ・アルミナート、歌手=アンナ・ネトレプコ他

⑨ドニゼッティ 「ランメルモールのルチア」  7月1日~7日   指揮=リッカルド・フリッツァ、歌手=ネイディーン・シエラ他

⑩ディーン   「ハムレット」        7月15日~21日  指揮=ニコラス・カーター、歌手=アラン・クレイトン他

全10作品の中で、ブランチャード「Fire  Shut  Up  in  My  Bones」、オーコイン「エウリディーチェ」、ディーン「ハムレット」の3作品は観たことも聴いたこともない「未知との遭遇」だし、マスネ「シンデレラ」もあまり知られていません こういうところが進取の精神を誇るMETの特徴と言えます

1作目のムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」を振るセバスティアン・ヴァイグレは読響常任指揮者としておなじみです ヴェルディ「ドン・カルロス」はじめ3作品を振るヤニック・ネゼ=セガンはMET(メトロポリタン歌劇場)の音楽監督です

全10作品の中で一番人気はプッチーニ「トゥーランドット」でしょう ヒロインのトゥーランドット姫をMETを代表するソプラノ歌手アンナ・ネトレプコが歌います フランコゼフィレッリの華麗な舞台演出も大きな魅力です 私が一番期待しているのはヴェルディ「ドン・カルロス」です マシュー・ポレンザーニ、ソニア・ヨンチェヴァ、エリーナ・ガランチャ、エリック・オーウェンズと歌手陣が揃っています

なお、チケット代は一般:3700円、学生:2500円ですが、「ムビチケカード」3枚セットが9600円で販売されているとのことです

 

         

 

Netfrixで森義仁監督による2021年製作ドラマ「ボクたちはみんな大人になれなかった」(124分)を観ました

ボク・佐藤誠(森山未来)は1995年にかおり(伊藤沙莉)と出会い、生まれて初めて頑張ろうと思った 彼女の言葉に励まされ、がむしゃらに働くボクだったが、1999年、かおりは「今度CD持ってくるね」という言葉を残して去ってしまった ボクは志していた小説家にはなれず、ズルズルとテレビ業界の片隅で働き続ける 2020年、社会との折り合いを付けながら生きてきたボクは46歳になっていた。コロナ禍のもと、ボクはいくつかの再会をきっかけにもう還らない「あの頃」を思い出す

 

     

 

本作は、作家「燃え殻」が2016年に発表したデビュー作「ボクたちはみんな大人になれなかった」を映画化したものです 現在から過去へ遡っていく形で物語が進行し、最後にまた現在に戻るストーリー展開で進みます この作品を観て、何よりも驚くのは森山未来の若さです 20代から40代までを演じていますが、20代のボクを演じる森山は20代にしか見えません。この人は並みの役者ではないと思います

90年代半ばから20世紀の世紀末を挟んで展開する物語を観て懐かしく思ったのは、「タワーレコード」「WAVE」「HMV」といったCDメガストア(当時は都内のあちこちにあった)、渋谷の映画館「シネマライズ」(今はない)、そして「ノストラダムスの大予言」の大外れです 新宿や渋谷のタワーレコードにはよく通ったし、今でもたま~に顔を出します 六本木WAVE(今はない)には仕事の昼休みに地下鉄でCDを買い出しに出掛けたものです この映画にはそのころの空気感が良く出ています

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