人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

リーズ・ドゥ・ラ・サールのピアノ・リサイタルを聴く~もう一度聴きたいピアニスト

2013年05月28日 07時00分07秒 | 日記

28日(火)。昨日午後、当ビル脇の広場で消火器操作訓練を実施し、約40名のテナント社員の皆さんが参加されました 防災センターの若手隊員による消火器の種類の説明、模範操法の後で参加者の皆さんに水消火器を操作して的を狙ってもらいました 良い経験になったのではないかと思います。ただ、残念だったのは、何本かハンドル部分に不具合があり、うまく消火活動に移れない消火器があったことです そこで、訓練の最後に私から次のように挨拶しました

「本日はお忙しいところ、消火器操作訓練にご参加いただきありがとうございました 消火器の一部に不具合があり、消化不良を起こしました。次回は太田胃酸を混ぜて消火不良を起こさないようにしたいと思います

辺りの様子を窺ったのですが特段の反応はなく、大多数の人が馬耳東風で聞き流しているようでした天災、もとい、天才は時に一般大衆から理解されないようです。なんちって

 

  閑話休題  

 

昨夕、紀尾井ホールでフランスのピアニスト、リーズ・ドゥ・ラ・サールのピアノ・リサイタルを聴きましたこの公演は「プロジェクト3×3」の一環として開かれるコンサートです。これは一人の若手アーティストを3年連続でコンサートを開き成長を見守るという中期的な企画で、彼女は3年目になります 実は1年目も2年目も他の公演と重なっていて聴けず、今回やっと念願が叶ったのです

 

          

 

リーズ・ドゥ・ラ・サールはフランスのシェルブール生まれ。パリ国立高等音楽院で学び、2001年から大学院課程でブルーノ・リグットに師事しました これまでにシュターツカペレ・ドレスデン、ミュンヘン・フィル、ウィーン響、ボストン響など世界の主要オーケストラと共演している実力者です

1.ラヴェル「鏡」、2.ドビュッシー「前奏曲集」より①音と香りは夕べの大気の中に漂う(第1集第4曲)、②妖精たちはあでやかな舞姫(第2集第4曲)、③帆(第1集第2曲)、④花火(第2集第12曲)⑤亜麻色の髪の乙女(第1集第8曲)、⑥西風の見たもの(第1集第7曲)、3.プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」から10の小品、というのが当初発表されていたプログラムです

ところが、会場に行ってみると掲示があり「前奏曲集」のうち③帆と④花火の代わりに③デルフィの舞姫(第1集第1曲)、④パックの踊り(第1集第11曲)を演奏するというのです せっかくミケランジェリのCDで予習してきたのに、どーしてくれんのよ と思いましたが、彼女の考えるところあっての変更でしょう。仕方ありません

 

           

         

自席は1階20列6番、センターブロック後ろから2列目通路側席です。2階席はセンターのみでバルコニー席には聴衆を入れていません。1階席は9割くらいの入りですが、8割以上が男性です。こういうコンサートも珍しいと思います

会場の照明が落ちて、リーズ・ドゥ・ラ・サールがノースリーブの黒のドレスで登場します。小柄ですが、腰まで届く長い金髪が印象的です

1曲目のラヴェル「鏡」が演奏されます。①蛾、②悲しい鳥たち、③海原の小舟、④道化師の朝の歌、⑤鐘の谷の5曲から成ります。第4曲「道化師の朝の歌」がフォルテで堂々と終わるので、会場から拍手が起きました 彼女はピアノに対峙したまま、拍手の鳴り終わるのをじっと待ちます。そしておもむろに最後の「鐘の歌」を始めます 彼女のピアノは高音部はもちろんのこと、低音部も非常に美しく響きます。そして表現が豊かです

次にドビュッシーの「前奏曲集」から6曲が演奏されます。「帆」と「花火」が演奏されなくなったのは残念ですが、幸い「亜麻色の髪の乙女」が残されていました。ビレッジ・シンガースじゃありませんよ、そこのオトーサン

彼女は演奏中、身体を大きく揺らすことはしません。最小限の動きで最大の効果を発揮します 彼女の演奏を観て聴いていると、もう一人のリーズが高いところから自分自身の演奏を観ている、という感覚に捕らわれます 一言でいえば非常に冷静なピアニストではないかと思います。そして1曲1曲がまったく異なる表情で再現されていきます

前半の演奏を聴いただけで、このピアニストは将来性があると確信したので、ロビーのCD売り場で彼女のCDを買い求めました 何種類かあったのですが、①ショスタコーヴィチ②リスト③プロコフィエフの各ピアノ協奏曲第1番を収録した2006年録音のCDを買いました

プログラム後半はプロコフィエフ「ロメオとジュリエット」から10の小品です。最初の「民衆の踊り」からいきなりリズムの饗宴です 前半のラヴェル、ドビュッシーの世界から180度転換して別次元に突入したような感覚に陥ります 彼女の演奏で聴くと、この曲がバレエのために作曲されたということがすんなりと理解できます

彼女は第6曲「モンタギュー家とキャビュレット家」で迫力ある演奏を展開したかと思うと、次の第7曲「僧ロレンツォ」では一転、しみじみと聴かせます。そうかと思うと次の第8曲「マーキュシオ」では超高速演奏で疾走します

そして最後の第10曲「別れの前のロメオとジュリエット」のフィナーレでは、静かに、静かに音を閉じます。音が消えても聴衆はだれも拍手をしません。彼女が手を下ろして初めて会場割れんばかりの拍手が舞台に押し寄せます こういうのが生演奏の醍醐味でしょう。聴衆にブラボーです コンサートによっては、演奏が終わるや否や大きな拍手をして、余韻を楽しみたい多くの聴衆を困らせるヤカラがいますが、この日は最高でした

 

          

 

彼女は、何度も舞台に呼び戻され、アンコールにシューマンの「献呈」を、これぞロマン派 というような表情豊かな演奏で弾き切りました。それでも拍手が鳴り止まないので2曲目にショパンの「ノクターン第19番”遺作”」をしみじみと演奏しました それでも、それでも帰らない客のためにラフマニノフの「前奏曲作品23-7」を圧倒的な迫力で弾き切りました

4曲目のアンコールはないだろうと判断し、すぐに会場を出てサイン会の列に並びました。こういう時に後ろから2列目の通路側席は有利です サインの順番は4番目です。後ろを見るとロビーの奥の方まで行列が出来ていました

 

          

 

そのコンサートが良かったかどうかの基準の一つは「もう一度その演奏家の演奏を聴きたいかどうか」ということですが、今回のリーズ・ドゥ・ラ・サールのコンサートは、もう一度と言わず二度も三度も聴きたいと思ったコンサートでした

せっかくのチャンスなのでサイン姿のリーズを写メしときました

 

          

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