人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

梨木香歩著「ほんとうのリーダーのみつけかた 増補版」を読む ~ 「あなたの本当のリーダーはあなた自身である」「大切なのは客観視と揺らぎない主体性」

2022年07月22日 07時21分45秒 | 日記

22日(金)。わが家に来てから今日で2749日目を迎え、ウクライナの原子力企業エネルゴアトムは20日、ロシア軍が欧州最大級のザポリージャ原子力発電所の施設内に兵器を運び入れることを要求してきた、とSNSで明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     原発を基地にすればウクライナから攻撃を受けずに攻撃できるからね 最悪な奴らだ

     

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました ローテでは隔週金曜日が「唐揚げの日」なのですが、コンサートがあるため1日繰り上げました 唐揚げだけは娘とビールを飲みながら食べるのが習慣となっています。もちろんビールはサッポロCLASSIC「ゴールデンカムイ」缶です 唐揚げもビールも最高でした

 

     

     

         

 

梨木香歩著「ほんとうのリーダーのみつけかた」(岩波現代文庫)を読み終わりました 梨木香歩は1959年生まれ。作家。小説に「西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集」「冬虫夏草」など多数 本書は2020年7月に岩波書店から刊行された単行本を、岩波現代文庫への収録にあたり、新たな章を増補し、書名を変更したものです

 

     

 

本書は次の4つの文章から構成されています

①ほんとうのリーダーのみつけかた

②今、「君たちはどう生きるか」の周辺で

③この年月、日本人が置き去りにしてきたもの

④引っ掛かる力、そして新しいXさんの出現を

著者は①の中で、「あなたの、ほんとうのリーダーは、あなた自身である」という趣旨のことを語っています それは「自分のなかの目」のことで、「自分のなかの埋もれているリーダーを掘り起こす」ことの大切さを説きます 「掘り起こす」には「自分でも受け入れ難いことをやってしまったとき、ああ、やっちゃったよーとか、自分を客観視する癖をつけること。批判する力をつける。さまざまに批判する力をつけるなかで、自分自身にももちろん、批判する目を向ける その目が、あなたのリーダー的役割をするものになる」と述べています

②では、吉野源三郎著「君たちはどう生きるか」が広く受け入れられている理由は、大まかに言って「客観視」とそれに伴う「主体性の揺らがなさ」だと語っています 「最近 『インスタ映え』が流行っているが、リポートする側に自分の主張があるものは少なく、大部分が ただ事実を羅列して受け取り手の反応を待つ 『発信する』という行為が、だれでもなしうる日常的なものになってしまった。これは『君たちはどう生きるか』のコペル君風に言えば『見られている自分』を『見ている自分』と言うことになるかもしれない しかし、それとコぺル君と叔父さんの間で語られる『世界を客観視すること』との間には決定的な違いがある 『インスタ映え』という言葉には、人目を引くことに価値を置き、他者に評価してもらって初めて安心する、極めて主体性の希薄な日常が透けて見える ほとんどが他者に消費されて消えていく」と指摘しています

③では、「日本人が置き去りにしてきたもの」はヒューマニズムとしか言いようのないものであると語っています

④では、石川皐月著「村八分の記」(1952年)を取り上げています 石川さんが当時17歳の高校2年生だった時の出来事を扱っています。石川さんは村役場ぐるみで行われた国政選挙での組織的な選挙違反を巡り、朝日新聞静岡支局に、真相の調査を依頼するハガキを書きます それを基にした記事により関係者十数名が警察に出頭させられます それからというもの、隣近所からの露骨な嫌がらせの日々が続いたといいます その後、この事件の顛末が朝日の全国版に載ると、石川さんを応援する声が寄せられる一方で、あることないこと書き立てるメディアも現れ、石川さん一家は大きく翻弄されることになります 同じ高校に通う生徒の中には「少なくとも同じ村に住んでいる村民を罪に落とす者は人間ではない 村に平和を破壊するような者がいるのは実際不愉快だ」という意見を学校新聞に投書した生徒もいたといいます 著者は、「石川さんはそれを『おかしい』と言わなければならなかった。そうでなければ自分の魂を殺すことになった」と書いています。そして、石川さんの行動は「引っ掛かる」力が根底にあった、と述べています 「たいていの人間は、最初一瞬疑問を持ったにしても、そういうものかなと問題を棚上げにし、あるいはことを荒立てたくない大人たちに言いくるめられていくうち、疑問を持ったことすら忘れてしまう けれど彼女たちは言いくるめられない。ありとあらゆる手練手管を使った欺瞞にもごまかされず、疑問の本質を追求していく 自分が『引っ掛かった』ことに対して誠実なのだ。そういう引っ掛かる力が、社会全体を牽引していくのだろう」と述べています

著者は2022年3月付の「岩波現代文庫版あとがき」に次のように書いています

「こうして『あとがき』を書いている今、第三次世界大戦前夜のような危機感を抱きながら、ウクライナ情勢を見つめています 世界はもっと、寛容でありうるはず このささやかな本が、世界中の同じ祈りとともに在り、そして同じ働きのなかに在りますように

ロシアによるウクライナ侵略が激化する中、「客観的な物の見方をし、主体性を持って自分の頭で考え行動する」ことの大切さを教えてくれる本です 大人、子供を問わずお薦めします


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