人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

鈴木優人 ✕ アントワーヌ・タメスティ ✕ 読売日響でヴィトマン「ヴィオラ協奏曲」、シューベルト「交響曲第5番」他を聴く ~ 読響 第626回定期演奏会:小森谷巧コンマス ⇒ 卒業

2023年03月10日 07時00分09秒 | 日記

10日(金)。わが家に来てから今日で2978日目を迎え、ウクライナ国防省機関の文書によると、ロシア当局は大学生を徴兵してウクライナの前線へ送り込む準備をしている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     かつて日本がやった”学徒動員”と同じだ  ロシアは着実に敗戦の一途を辿っている

 

         

 

昨日、夕食に「麻婆茄子」「アボカドのシラスおろしあえ」「ジャガイモの味噌汁」を作りました 「アボカド~」は新聞の「料理メモ」に載っていたレシピを参考に作りましたが、アボカドと大根おろしは結構 合いますね

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで読売日本交響楽団の「第626回定期演奏会」を聴きました プログラムは①鈴木優人「THE SIXTY」(読響創立60周年記念委嘱作品・世界初演)、②ヴィトマン「ヴィオラ協奏曲」(日本初演)、シューベルト「交響曲第5番 変ロ長調 D485」です   演奏は②のヴィオラ独奏=アントワーヌ・タメスティ、指揮=読響クリエイティブ・パートナー鈴木優人です

 

     

 

弦は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び コンマスは小森谷巧、その隣は長原幸太というダブルコンマス態勢を敷きます 木管、金管はもちろんのこと、打楽器群に様々な種類の楽器がスタンバイしていて賑やかです

1曲目は鈴木優人「THE SIXTY」(読響創立60周年記念委嘱作品)の世界初演です 本人のプログラム・ノートによると、60人のオケのための作品で、3つのセクションに分かれています 序奏部分は読響発足当時の60年前をイメージしたもの。第2セクションは読響の60年の持続力と力強さイメージしたもの。第3セクションは現在の読響の輝かしさをイメージしたもの、となっています

作曲者自身の指揮で演奏に入りますが、様々な楽器が鳴っている割にはヤマ場がなく、演奏時間が15分弱程度と短い割には冗長な印象を受けました 周年記念ならではの華やかな曲を期待してしていましたが、カタルシスがなく残念でした

 

     

 

2曲目はヴィトマン「ヴィオラ協奏曲」(日本初演)です この曲はドイツのクラリネット奏者イェルク・ヴィトマン(1973~)が2015年に作曲、同年10月にパリで初演され、初演独奏者のタメスティに献呈されました

ヴィオラ独奏のアントワーヌ・タメスティは1979年パリ生まれ。ミュンヘン国際コンクールなど、4つの国際コンクールで優勝を果たしている逸材です 鈴木優人と共演し「J.S.バッハ『ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ』」などのCDを出しています また、2013年から今井信子とともに「ヴィオラ・スペース」の企画・プログラミングに携わっています

オケの配置が大幅に変わります ステージ下手にはハープ2台、ピアノ、チェレスタ等が配置され、弦楽器はヴァイオリンからチェロまで10人が1列の弓状になって並び、その後方にフルート、クラリネットが左右に分かれて配置、舞台奥にファゴットと金管楽器、打楽器がスタンバイ、上手奥にコントラバス8人が控えます

指揮者は指揮台に上りますが、開始の合図を出しません すると、ステージ下手からヴィオラを携えたタメスティが弓を持たずに登場し、楽器を叩いたり、弦を指ではじいたりしながら楽員の間を歩き回ります。弓を持たずにヴィオラを演奏する・・・これを「特殊奏法」あるいは「演劇的手法」と言うのかどうか分かりませんが、タメスティの音楽表現力は並大抵のものではありません そのうち、鈴木の指揮によるオーケストラとの対話が始まりますが、オケを威嚇したり、逆にオケから脅かされたり、タメスティが「アーッ」と大声で叫ぶと、金管が「ガーッ」と応じるなど物語性に富み、「協奏曲」というより「競争曲」、あるいは「狂騒曲」と言った方が相応しいかもしれません そのうち、ごく普通の「ヴィオラ協奏曲」風の美しいメロディーが奏でられ、静かに曲を閉じます

実に面白い曲で楽しい演奏でした 私は基本的に”現代音楽”は嫌いですが、この曲のような作品でこの日のような演奏ならもっと聴きたいと思うくらいです 何よりタメスティの並外れた演奏力と演技力に感服しました 定期会員の方でこの日のプログラムを見て「テレビでWBCを観た方がいいや」として来場しなかった人がいたら、残念なことをしたと言わざるを得ません

カーテンコールが繰り返され、客席から作曲者のヴィトマンがステージに迎えられ、鈴木、タメスティとハグをし、3人で肩を組んで聴衆の声援に応えました タメスティと鈴木はステージ下手に置かれていたピアノの脇でアンコールに応え、J.S.バッハ「ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ第1番」より第1楽章「アンダンテ」をしみじみと演奏、満場の拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はシューベルト「交響曲第5番 変ロ長調 D485」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1816年に作曲、同年ウィーンで初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モト」、第3楽章「メヌエット:アレグロ・モルト」、第4楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

当時シューベルトが所属していた、ウィーン・ブルク劇場のヴァイオリン奏者を務めていたオットー・ハトヴィヒの楽団のために書いたと言われています この曲にはクラリネットもティンパ二も登場しませんが、私設楽団だったため作曲当時、オーケストラの団員に該当奏者がいなかったのだろうと思われます

オケは14型に拡大し、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置を採ります

鈴木の指揮で第1楽章に入りますが、快速テンポで演奏が繰り広げられます 倉田優のフルート、金子亜未のオーボエが素晴らしい 第2楽章は弦楽器による優美な旋律が印象的です 第3楽章のメヌエットはト短調で、モーツアルトのデモーニッシュな第40番の曲想を想起させます 速いテンポが一層、哀しさを際立たせます 第4楽章は弦楽器の渾身の演奏による疾走感が素晴らしい

満場の拍手にカーテンコールが繰り返され、この日が読響コンマスとして最後の公演となる小森谷巧氏に、楽団員を代表して第1ヴァイオリンの荒川以津美さんから花束が贈呈されました 小森谷氏は読響史上最長の24年間にわたりコンマスを務め、約1350回のコンサートに出演したとのことです

個人的には、3.11東日本大震災を機に始まった毎日小学生チャリティコンサート「がんばろう日本!スーパーオーケストラ」のコンマスを長年務められていた小森谷さんの姿がとても印象に残っています 毎日新聞と読売新聞はメディアとしてはライヴァル関係にありますが、「チャリティーのためなら」と、毎日系列のコンサートに読売系列の読響のコンマスが出演するという稀なコラボが実現しました 小森谷さんが音頭を取るのならと、毎年、全国のオーケストラの団員やフリーの演奏者が集まりました 小森谷さんの人徳のなせる業だと思います 長い間お疲れさまでした。素晴らしい演奏をありがとうございました 4月からは愛知室内オーケストラのソロ・コンサートマスター兼アーティスティック・パートナーとして活躍されるとのこと。これからも頑張ってほしいと思います

 

     


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