人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

バッハ・コレギウム・ジャパンでJ.S.バッハの音楽劇「急げ,渦巻く風よ」BWV201を聴く~世俗カンタータの傑作!

2016年09月24日 08時43分15秒 | 日記

24日(土).わが家に来てから726日目を迎え,キューバ訪問中の安倍首相が経済援助を約束したというニュースを見て,今後の両国の関係を懸念するモコタロです

 

          

              北朝鮮対策の キューバしのぎの援助じゃないだろうね?

 

  閑話休題  

 

昨夕,東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)の第119回定期演奏会を聴きました プログラムは①J.S.バッハ:音楽劇「さあ,晴れやかなトランペットの高らかな音よ」BWV207a,②同・音楽劇「急げ,渦巻く風よ~フェーブスとパンの争い」BWV201です ソリストは,ソプラノ=ジョアン・ラン,アルト=ロビン・ブレイズ,テノール=ニコラス・パン,中嶋克彦,バス=ドミニク・ヴェルナー,クリスティアン・イムラー,指揮は鈴木雅明です

 

          

 

実は,私がバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏を初めて聴いて のめり込んだきっかけとなったのは2000年7月9日(日)に東京オペラシティコンサートホールで聴いた,今回のプログラムにあるBWV201の音楽劇「急げ,渦巻く風よ」でした この曲を初めて聴いた印象は「まるでオペラのようだ」というもので,聴いていて「しかめつらのバッハもこんなに楽しい曲を書いたのか」と新鮮な驚きを感じ,それから間もなくB.C.Jの定期会員になりました 月日の経つのは速いもので,あれから16年になります

 

          

 

開場時間の30分前に会場入口の片隅にあるプログラム売り場でプログラムを1,100円で買い求め,片っ端から読みました.プログラム冊子を買うのは久しぶりです 

客の入りは,会場の後方の席に空きが目立ち,ちょっと寂しい感じがします 「マタイ受難曲」のような大曲の時はビッシリ埋まるのですが,残念です

オケのメンバーが登場し,コンマス・寺神戸亮の音頭でチューニングを開始します 弦楽奏者は立ったままなので,おやっ?と思ったら,立ったまま行進曲風の音楽を始めました 後で分かったのですが,これは1曲目のバッハ「さあ,晴れやかなトランペットの高らかな音よ」の最後の合唱のメロディーを管弦楽で演奏したものでした コンサートのオープニングに相応しい明るく華やかな曲です このメロディーに乗ってコーラス陣が入場,次いで指揮者の鈴木雅明が登場します

1曲目の音楽劇「さあ,晴れやかなトランペットの高らかな音よ」BWV277aは,1726年に作曲したカンタータ「鳴りかわす弦の競いつつ相和する響きよ」BWV207のパロディーです ザクセン選帝侯兼ポーランド王アウグスト3世の1735年8月3日の聖名祝日用に作曲したものです.テノール,アルト,ソプラノ,バス,そして合唱によってアウグスト3世を讃える歌が,トランペットをはじめとする管弦楽の祝祭的な演奏に支えられながら歌われます

 

          

 

休憩時間にロビーに出ると,壁に据え付けられたモニター画面に,次に演奏する音楽劇「急げ,渦巻く風よ」の物語をアニメ風の紙芝居仕立てにした映像を映し出していました.これは物語を短時間で把握するのに最適なツールでした

休憩後は,待ちに待った音楽劇「急げ,渦巻く風よ」BWV201です ステージの左サイドにはヴァイオリン,ヴィオラ,トランペット,チェンバロ1,ティンパ二が,中央にはチェロ,ファゴットが,右サイドにはオーボエ,フラウト・トラヴェルソ,チェンバロ2がスタンバイします

この音楽劇はギリシャ神話を基にしたもので,次のようなストーリーになっています

「牧神のパン(ドミニク・ヴェルナー)と太陽神アポロのフェーブス(クリスティアン・イムラー)は,どちらも自分の歌が一番美しい,と譲らない そこで,疑心暗鬼の神モムス(ジョアン・ラン)は,彼らをけしかけて歌合戦をすることにした 山の神トゥモルス(中嶋克彦)はフェーブスのサポーターに,フリギヤ王ミダス王(ニック・パン)はパンのサポーターになってそれぞれの歌を誉めちぎる フェーブスは高貴な賛歌を歌い,一方のパンは陽気な歌を歌う.ライプツィヒの守護神でもあるメルクリウス(ロビン・ブレイズ)が現れて,フェーブスの高貴な歌に軍配を挙げると,フェーブスは,通俗的なパンの歌を擁護したミダス王に「おまえの耳は,ロバになれ!」と叫び,王様の耳をロバの耳に変えてしまった

とにかく楽しい音楽です 最初に感じた「この曲はまるでオペラのよう」という印象はまったく変わりません 歌手陣は全員が絶好調でした B.C.J常連のジョアン・ラン,ロビン・ブレイズ,ドミニク・ヴェルナーは言うまでもなく完璧でしたが,ミダス王を歌ったテノールのニック・パンとフェーブスを歌ったバスのイムラーは今回初めて聴きましたが,声も良く通り,歌唱力も抜群でした

オーケストラで忘れられないのは,フェ―ブスが歌合戦で歌うバスのアリアのバックを務めたオーボエ・ダモーレの三宮正満とフラウト・トラヴェルソの菅きよみの素晴らしい演奏です これぞ芸術です また,三宮正満はトゥモロスがフェーブスを讃えて歌うアリアのバックの演奏でも抜群の冴えを見せていました

また,ロビン・ブレイズが歌うメリクリウスのアリアを支えたフラウト・トラヴェルソの菅きよみと前田りり子の演奏は,スピード感溢れる中に抒情を讃えた素晴らしい演奏でした

歌合戦が展開している間,オケも合唱も右半分のフェーブス派と左半分のパン派に分かれて応援する形を取るのですが,右のフェーブス派にいた前田りり子が,パンやミダス王が歌うたびに,あくびをしたり手を左右に振って「下手な歌」という仕草をしたりと,コメディアン的な一面を披露したのには驚きました 一見おとなしく真面目そうに見えるので,今回のパフォーマンスとの落差が大きく,”意外性の可笑しさ”を醸し出していました

終盤で,ヴェルナーの歌うパンが歌合戦に破れると,ロビン・ブレイズが歌うメリクリウスがロバの耳を頭から被せます 曲が終わるころ,今度は別のロバの耳が指揮者の鈴木雅明の頭に被せられ,会場の笑いを誘います

圧倒的な拍手とブラボーがステージに押し寄せます 鈴木雅明は頭のロバの耳を取ってコンマスの寺神戸亮の頭に着けます もうこうなったらババ抜きです でも,さすがは世界の寺神戸です.しばらくロバの耳を頭に着けて満足げな顔をしていました おぬし,嫌いではないな

16年ぶりに聴いた音楽劇「急げ,渦巻く風よ」は,やっぱりオペラのように楽しい音楽でした 見方によっては,この曲はバッハが作曲した唯一のオペラと言えるかも知れません

終演後,会場から出ると,「プログラムまたはCDをお買い上げいただいた方は,サイン会があります」という声が聞こえてきました.あとは帰るだけなのでサインをもらうことにしました 何と並ぶ順番が一番目でした 一番ですよ,奥さん こういう時は1階後方の通路側席は断然有利です ロビ―の片隅に設置されたテーブルに,鈴木雅明,鈴木優人,ドミニク・ヴェルナー,クリスティアン・イムラー,ロビン・ブレイズ,ニコラス・パン,ジョアン・ラン,中嶋克彦の順に並んでいます.プログラムの表紙に,鈴木雅明氏から順番にサインをしてもらうことにしました

 

          

 

鈴木雅明氏が金,鈴木優人氏が銀で(オリンピックのサイン会?),ほかのメンバーは黒のサインペンです ニコラス・パン,クリスティアン・イムラー,ロビン・ブレイズがどれだったか記憶が定かではありませんが,たぶん,パンは右下,イムラーは左中央,ブレイズは真ん中ではないかと思います

 

          

 

私はさっさと8人のサインをもらって退却したのですが,振り返って見たら,二番目の人が鈴木親子の次のところで話し込んでいたみたいで,後がつっかえていました サイン会というと必ずいますね.後ろに多くの人が並んでいるのに,おかまいなしに延々と話し込む人が 一番乗りは正解でした

バッハ・コレギウム・ジャパンはコンサートと並行して,演奏した曲をCD化していますが,この日演奏したBWV201はまだ発売されていませんでした.発売しだい購入したいと思います

この日のコンサートは,演奏曲目は16年ぶりの思い出の曲だったし,演奏は最高だったし,サインももらったし,今年聴いた中で最も思い出に残る素晴らしい公演の一つになりました

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