7日(火).昨夕,初台の東京オペラシティ・コンサートホールで読売日本交響楽団のコンサートを聴きました これは2012都民芸術フェスティバルの一環として開かれた演奏会です.指揮は1990年のブザンソン国際指揮者コンクール優勝者・沼尻竜典.ストラヴィンスキーの3大バレエ音楽①火の鳥②ベトルーシュカ③春の祭典が演奏されました.コンサートマスターは藤原浜雄です
自席は1階17列32番,真ん中よりやや後ろの右端です.客の入りは8割くらいでしょうか.これがストラヴィンスキーでなく古典派,ロマン派の名の通った曲であれば満席だったでしょう
28歳のストラヴィンスキーはロシアのバレエ興行師・ディアギレフにバレエ「火の鳥」の音楽の作曲を依頼されます.1910年に初演された「火の鳥」は大成功を収め,その翌年に初演されたバレエ音楽「ペトルーシュカ」も好評を博し,1913年に初演されたバレエ音楽「春の祭典」は音楽界を揺るがす大センセーショナルを巻き起こしました そのストラヴィンスキーの3大バレエ音楽を一夜に聴けるチャンスです.
この3曲のうち「火の鳥」と「春の祭典」の2曲はディズニーのアニメ映画「ファンタジア」で使われていました バレエ音楽なので曲想が”絵”になりやすいのでしょうね
最初の「火の鳥」(1919年版)では,沼尻は譜面なしで指揮をしました.ストラヴィンスキーの音楽は色彩感豊かです 第3曲「魔王カスチェイの凶暴な踊り」の冒頭のフォルテッシモで,臨席のおじさんがビクッと身体を震わせました.寝てましたね,あなた
ペトルーシュカは,ピアノが活躍する曲です.ピアノはパリ国立音楽院でピアノを学んだ経験のある永野英樹.色彩感豊かな曲に一層の彩を添えていました 沼尻はこの曲から譜面を見て演奏します.暗譜は無理でしょう
「春の祭典」を初めて聴いたときはビックリしました.ズービン・メータ指揮ロサンゼルス交響楽団の演奏によるLPです 音楽の3要素がリズム,メロディー,ハーモニーとすれば,まさにリズムを基調とした変拍子の曲です.その原始的なリズムの魅力に圧倒されました
小節ごとに曲想が変わり,見ているだけでも演奏するのが相当難しそうです.沼尻の指揮は,後姿を見ていると,まるで”阿波踊り”を踊っているような(失礼!)感じを受けます 言ってみれば”指揮する格好はどうでもいい”,”楽譜に書かれている音楽を忠実に演奏するのが自分の使命だ”と主張しているように見えます.つまり,決して”格好いい指揮”ではないのですが,懸命に楽譜の音をつむぎ出すことに集中する姿が聴く側の心を打ちます
読響は管楽器,弦楽器,打楽器とも,沼尻の指揮のもと,複雑なスコアからストラヴィンスキーのエッセンスを紡ぎ出していました
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