人生の目的は音楽だ!toraのブログ

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寺島しのぶ主演「キャタピラー」「赤目四十八瀧心中未遂」を観る~新文芸坐

2016年02月14日 09時08分14秒 | 日記

14日(日)その2.よい子は「その1」から見てね

昨日、池袋の新文芸坐で「キャタピラー」と「赤目四十八瀧心中未遂」を観ました 現在、新文芸坐では「毎日映画コンクールに輝いた女優たち」というシリーズを上映していますが、その中の2本です

パンフレットには2回目の上映時間が「キャタピラー」13:50開始、「赤目~」15:55開始となっていたのが、実際に行ってみたら「キャタピラー」が30分繰り上がって13:20となっていました 私はいつも余裕をみて早めに会場に着くようにしているので十分間に合いましたが、当初の時間通りに来た人は2回目の「キャタピラー」上映が観られなかったはず 上映時間を繰り上げるのは(しかも30分も)常識では考えられません。観られなかった人に成り代わって、映画館側に猛省を促したいと思います

さて、「キャタピラー」は、若松孝二監督による2010年の作品で、寺島しのぶが女優主演賞を受賞しました

四肢を失って戦地から帰還した夫に対し戦時下の日本は「軍神」という名誉を与えた しかし、実際に手も足もない夫を”食べさせて、下の世話をして、寝かせる”妻としては、何も出来ない夫に対し「何が軍神だ」と思っている。彼女は「軍神」である夫に軍服を着せ、勲章を付け、リヤカーに載せて村中を引いて回る。それが「軍神」に対する抗議であるかのように

 

          

          

この映画は寺島しのぶがすごい。まさに体当たり演技です 「軍神」と崇められた夫に対する葛藤を見事に演じています

 

          

 

2本目は、車谷長吉原作、荒戸源次郎監督による2003年の作品です。寺島しのぶは女優主演賞を受賞しています

この映画を観たいと思ったのは、原作が車谷長吉だったからです 本当は本で読んでから映画を観たかったのですが、せっかくのチャンスなので観ることにしました

この世に居場所がないと思っている生島(大西滝次郎)は流れ流れて尼崎にたどり着いた。焼鳥屋「伊勢屋」の女主人・勢子ねえさん(大楠道代)から古いアパートを当てがわれ、串1本につき3円、1日に1000本を鶏肉に指して糊口をしのぐようになる 同じ古アパートに住む綾(寺島しのぶ)と知り合うようになり、関係を持つが、彼女は刺青師(内田裕也)の若妻だった 彼女の背中には夫が彫った刺青があった。綾は自分を連れて逃げてほしいと生島に懇願する。生島は綾とともに尼崎、天王子、赤目四十八瀧をさ迷う 二人は死にきれず大阪に戻るが、綾はひとり博多へ向かうことになる

 

          

 

生きる気力のない生島は、多分、作者の車谷長吉自身なのだろうな、と思います 彼は数年前に朝日新聞の「悩みのるつぼ」コーナーの回答者の一人でしたが、回答はいつも「人生に救いはない。愚かな自分を自覚して生きよ」といったものでした

寺島しのぶの女優主演賞は分かりますが、生島を演じた大西滝次郎の愚直で寡黙な演技が光っていました また、勢子ねえさんを演じた大楠道代は「ツィゴイネルワイゼン」の時と同様、存在感が抜群でした 

 

          

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