人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジョナサン・ノット ✕ 安川みく ✕ 東京交響楽団でラヴェル:歌曲集「シェエラザード」、同「道化師の朝の歌」、ショスタコーヴィチ「交響曲第4番」を聴く ~ 第704回定期演奏会

2022年10月16日 07時03分41秒 | 日記

16日(日)。わが家に来てから今日で2835日目を迎え、アメリカ連邦最高裁は13日、FBIがトランプ前大統領の自宅から押収した機密文書について、トランプ氏側が求めていた第三者による調査を認めない決定をした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これでトランプの「公私混同・やりたい放題・国を危険に晒した」証拠が暴かれる

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京交響楽団「第704回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ラヴェル「道化師の朝の歌」(管弦楽版)~「鏡」より、②同:歌曲集「シェエラザード」、③ショスタコーヴィチ「交響曲第4番 ハ短調 作品43」です 演奏は②のソプラノ独唱=安川みく、指揮=東響音楽監督ジョナサン・ノットです

 

     

 

オケは16型で左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置を採ります コンマスは小林壱成、その隣は水谷晃というダブル・コンマス態勢を敷きます

1曲目はラヴェル「道化師の朝の歌」(管弦楽版)です この曲はモーリス・ラヴェル(1875ー1937)が1904年から翌05年にかけてピアノ独奏用に作曲した「鏡」の第3曲を、バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)の主宰者ディアギレフの依頼により1918年に作曲者自身が管弦楽用に編曲したものです

ノットの指揮で演奏に入ります。オケはきびきびしたリズムにより道化師の動きを活写します 中盤における福井蔵のバスーンのソロが素晴らしい 終盤はカスタネットやタンバリンが活躍しスペイン情緒を醸し出し、管弦楽版ならではの色彩感溢れる演奏が展開しました

2曲目はラヴェル:歌曲集「シェエラザード」です この曲はラヴェルが1903年に作曲、翌1904年にパリで初演された作品です 第1曲「アジア」、第2曲「魔法の笛」、第3曲「つれない人」から成ります

ソプラノ独唱の安川みくは国立音楽大学卒業後、東京藝大大学院修士課程修了。2019年から英国と日本を拠点に宗教曲と歌曲のソリストとして活躍しています 現在、英国ギルドホール音楽院アーティストディプロマキース2年次に在籍。バッハ・コレギウム・ジャパンのメンバー。令和4年度文化庁新進芸術家海外派遣員です

安川みくが明るい色調のエレガントな衣装で登場、ノットの指揮で第1曲「アジア」の演奏に入ります 安川は美しいフランス語でアジアに対する夢と憧れを歌い上げました 希望を言えば、もう少し声量がほしいところです 第2曲「魔法の笛」は若い奴隷女が恋人の吹く笛の音を聴きながら恋の歌を歌います 安川の美しい歌声に相澤政宏のフルートが華を添えました 第3曲「つれない人」はハンサムな異国の若者が、声をかけられても誘いに乗らずに行ってしまうという内容の歌です この曲でもフランス語の美しさが際立っていました

実を言うと、東京交響楽団はこの曲を今年3月の「第698回定期演奏会」で沼尻竜典指揮、中村恵理ソプラノ独唱により演奏しています 共通点は美しいフランス語です

 

     

 

プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第4番 ハ短調 作品43」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906ー1975)が1935年から翌36年にかけて作曲、1936年5月20日に完成(作曲者29歳)しました 同年12月には初演される予定でしたが、数回のリハーサルの後、作曲者自身により初演が撤回され、以来26年間もの間、陽の目を見ることなく、やっと1961年12月30日にキリル・コンドラシン指揮モスクワ・フィルによって初演されました この26年にも及ぶ初演の延期が政治的な理由によるもので、当時激しく遂行されたソ連の文化界・芸術界への形式主義批判の大キャンペーン「社会主義リアリズム」の影響を受けたものであることは、現在よく知られています しかし、中田朱美さんのプログラム・ノートによると、「1934年の第1回全ソ作家同盟大会で唱えられた『社会主義リアリズム』は殊、音楽界においてはまだ空虚なスローガンであり、少なくとも戦前まで音楽的定義を伴っていなかった」とのことです それでもなお、ショスタコーヴィチはなぜ初演を延期したのか?・・・この作曲家は謎だらけです

この曲は第1楽章「アレグレット・ポコ・モデラート ~ プレスト」、第2楽章「モデラート・コン・モート」、第3楽章「ラルゴ ~ アレグロ」の3楽章から成りますが、第1楽章:約30分、第2楽章:約10分、第3楽章:約25分、合計約65分の大曲です ショスタコーヴィチの全15曲の交響曲の中で最大の楽器編成による作品である一方で、3楽章とも弱音で終わるという点が大きな特徴です この点が「社会主義リアリズム」に反すると批判される恐れがあるとして、ショスタコーヴィチが初演を自粛した大きな理由の一つになった、と言われています

ノットの指揮で第1楽章に入ります 冒頭の音楽から終結部まで何が起こるか分からない変化に富んだ音楽が、スピードを変えて次から次へと現れます 金管の咆哮があれば、ショスタコーヴィチ特有のアイロニカルなメロディーもあり、かと思うと突然内省的な音楽が立ち現れます 曲想こそ異なるものの、エキセントリックな性格はまるでマーラーです この楽章で凄かったのは、弦楽セクションによりフーガ的に演奏される超高速演奏です これ以上速く演奏することは不可能ではないか、と思われるほどのスピードです この演奏には戦慄を覚えました

演奏が始まって20分ほど経過した頃、ステージ上から ガタガタドサッ という大きな音が聴こえてきました ステージ上に目をやると、上手の第2ヴァイオリン(裏)の女性奏者が貧血を起こしたのか、前のプルトに倒れ込んでしまったのです 周囲の奏者が助け起こそうとしますが、気を失っているのか起き上がれません 舞台袖から男性スタッフが2人出てきて女性を抱えて引き上げていきました この間、ノットも事態に気が付いた様子でしたが、タクトを止めることなく演奏を続けました 単なる貧血や一時的な酸欠であれば良いのですが、心配です 私は学生時代から長年にわたりクラシックコンサートを聴いてきましたが、演奏途中に演奏者が倒れて運ばれるのを見たのはこれが初めてです 突発的なアクシデントにノットは演奏を止めるべきだったか?  微妙な問題ですが、演奏を続行したことを批判することは出来ないのではないか、演奏の最高責任者である指揮者の判断に任せるしかないのではないかと思います   いずれにしても、当該女性のご無事を祈るばかりです

第2楽章は実質的にスケルツォですが、マーラー的な響きや、この後に作曲される「第5交響曲」の響きも聴こえてきました 第3楽章は葬送行進曲あり、ワルツあり、ポルカあり、ギャロップあり、さらにはフルートによるモーツアルトの歌劇「魔笛」のパパゲーノの笛のパロディありと、まるでごった煮鍋の音楽です 先が読めないということでは第1楽章と同じです また、この楽章でも弦楽セクションによる超高速演奏が繰り広げられ、思わず耳を傾けました フィナーレは、それまでの喧騒がウソだったかのように静かに曲を閉じます しばしのしじまの後、ノットのタクトが静かに降ろされると、満場の拍手がノットと東響のメンバーに押し寄せました 金管の誰が良かったとか、木管の誰が冴えていたとかのレヴェルの話ではなく、東響の総力を挙げての凄い演奏でした 何度もカーテンコールが繰り返され、ノットは楽員を讃え、聴衆の拍手に応えていました

N響、日フィルに次いで、東響でもカーテンコール時のスマホ撮影が可能になりました 新日本フィルも近々解禁の予定とのこと 今回は東響の思う壺ですが、せっかくなので写メしました

 

     

     

     

 

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