人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン「フィナーレ・コンサート」を聴く ~ キュッヒル・クァルテット、へーデンボルク・トリオ、小菅優、吉田誠など総出演

2021年06月28日 07時12分00秒 | 日記

28日(月)。山形県鶴岡市に単身赴任している息子が山形名産サクランボを送ってくれました 冷蔵庫で冷やしてからいただきましたが、とても甘くて美味しかったです

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2361日目を迎え、米国のトランプ前大統領が26日、一族の経営する企業が訴追の恐れに直面する中、退任後初の大規模集会をオハイオ州で開き、来年の中間選挙に向けた本格的な政治活動を再開した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     4年後に返り咲いて 大統領特権で 全ての悪事をチャラにしようとしてるんじゃね?

     

         

 

昨日、サントリーホール「ブルーローズ」でサントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン「フィナーレ・コンサート」を聴きました プログラムは①シューベルト「弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D.810 ”死と乙女” 」より第2楽章、第4楽章、②ベートーヴェン「ディッタースドルフの主題による14の変奏曲 変ホ長調 作品44」,③同「弦楽四重奏曲 第6番 変ロ長調 作品18-6」、④サン=サーンス「タランテラ 作品6」(フルート、クラリネット、ピアノ用編曲)、⑤メンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品49」より第1楽章(フルート、チェロ、ピアノ用編曲)、⑥シューマン「ピアノ四重奏曲 変ホ長調 作品47」より第1楽章、第3楽章、⑦藤倉大「Hop」クラリネット、チェロとピアノのための(2019:サントリーホール、ラジオ・フランス、アレイミュージックによる共同委嘱)、⑧サン=サーンス:オラトリオ「ノアの洪水」作品45より前奏曲、⑨サン=サーンス(山本祐ノ介編曲)「アレグロ・アパッショナート 作品43」、⑩ベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 作品130より」より第5楽章「カヴァティーナ」(弦楽アンサンブルによる演奏)です

演奏はヴァイオリン=原田幸一郎、ヴィオラ=磯村和英、チェロ=堤剛、毛利伯郎、ピアノ=小菅優、練木繁夫、有島京、フルート=セバスチャン・ジャコー、クラリネット=吉田誠、弦楽四重奏=キュッヒル・クァルテット、クァルテット・インテグラ、ピアノ三重奏=へーデンボルク・トリオ、弦楽合奏=サントリーホール室内楽アカデミー選抜フェローです

 

     

 

自席はC8列3番、センターブロック左から3つ目です。会場は9割方埋まっていると思われます ステージ中央には集音マイクが2本立てられていますが、ライブ配信用と思われます

1曲目はシューベルト「弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D.810 ”死と乙女” 」より第2楽章、第4楽章です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1817年に作曲した歌曲「死と乙女」のテーマを第2楽章に引用し 1824年に作曲しましたが、シューベルトの死後1833年にベルリンで初演されました

この日のトップバッターはクァルテット・インテグラです 2015年に結成されましたが、メンバーは第1ヴァイオリン=三澤響果、第2ヴァイオリン=菊野凛太郎、ヴィオラ=山本一輝、チェロ=築地杏里の4人です 今回の室内楽アカデミー選抜フェローに選ばれました

4人の演奏で第1楽章に入りますが、シューベルトの悲しみが伝わってくるような演奏でした 第4楽章では切羽詰まった緊張感に満ちた演奏を展開し、彼らの本領を発揮しました

2曲目はベートーヴェン「ディッタースドルフの主題による14の変奏曲 変ホ長調 作品44」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770‐1827)がボン時代の1992年に作曲したと推定されており、「主題」は当時流行していたディッタースドルフのジングシュピールの中から採ったものと考えられています

演奏はザルツブルク出身の3兄弟によるへーデンボルク・トリオ(長男・和樹=ヴァイオリン、次男・直樹=チェロ、三男・洋=ピアノ)です 和樹と直樹はウィーン・フィルのメンバーとして活躍しています

3人の演奏で最初に「主題」が奏でられますが、極めてシンプルな曲で、単純な演奏だったので拍子抜けしてしまいました しかし、そこは変奏が得意のベートーヴェンです。楽しいヴァリエーションが聴けました

3曲目はベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第6番 変ロ長調 作品18-6」です この曲はベートーヴェンが1799年から1800年にかけて作曲した6つの弦楽四重奏曲(作品18)の一つです 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ」、第4楽章「ラ・マリンコニア:アダージョ ~ アレグレット・クァジ・アレグロ」の4楽章から成ります

演奏はキュッヒル・クァルテットです 第1ヴァイオリン=ライナー・キュッヒル(ウィーン・フィル元コンマス)、第2ヴァイオリン=ダニエル・フロシャウアー(ウィーン・フィル楽団長)、ヴィオラ=ハインリヒ・コル(ウィーン・フィル元ソロ・ヴィオラ)、チェロ=シュテファン・ガルトマイヤー(ウィーン・フィル)というメンバーです。チェロを除く3人は立奏します

4人の演奏で第1楽章に入ります。キュッヒルのリードにより溌剌とした演奏が展開します 第2楽章でもキュッヒルのヴァイオリンが良く歌います 第3楽章は各楽器が饒舌です 第4楽章は前半の物憂げな曲想と、後半の活気あふれる曲想の弾き分けが見事です

 

     

 

休憩後のプログラム後半の1曲目はサン=サーンス「タランテラ 作品6」(フルート、クラリネット、ピアノ用編曲)です この曲はカミーユ・サン=サーンス(1835‐1921)が1857年に作曲したフルート、クラリネット、オーケストラのための作品ですが、今回はフルート、クラリネット、ピアノによる編曲版で演奏されます 演奏はフルート=セバスチャン・ジャコー(ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の首席奏者)、クラリネット=吉田誠、ピアノ=有島京(アカデミー選抜フェロー)です

有島の刻みに乗せて、クラリネットとフルートがエキセントリックなパッセージを高速で吹きます 片桐卓也氏のプログラムノートによると、「タランテラ」とはイタリアの音楽で、8分の3拍子、あるいは8分の6拍子の速いテンポの作品で、一説には、毒蜘蛛タランチュラに噛まれた後、その毒を抜くために踊り続けなければならないという迷信から生まれた音楽とも言われているとのことです まさにそんな感じの忙しい演奏でした

後半2曲目はメンデルスゾーン「ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品49」より第1楽章(フルート、チェロ、ピアノ用編曲)です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809‐1847)が1839年に作曲、同年ライプツィヒで初演されました 今回はフルート=セバスチャン・ジャコー、チェロ=毛利伯郎、ピアノ=練木繁夫により演奏されます

毛利伯郎のチェロがとても良く鳴っています ピアノもきれいに鳴っています その一方、フルートは演奏は良いのですが音がきつすぎて馴染めません 私はこの曲が大好きですが、やっぱりヴァイオリンで弾いて欲しいと思います

3曲目はシューマン「ピアノ四重奏曲 変ホ長調 作品47」より第1楽章、第3楽章です この曲はローベルト・シューマン(1810‐1856)が1842年に作曲した作品です 演奏はヴァイオリン=原田幸一郎(元東京クァルテット)、ヴィオラ=磯村和英(同)、チェロ=毛利伯郎(元読響ソロ・チェロ)、ピアノ=練木繁夫です

この曲のキモは第3楽章「アンダンテ・カンタービレ」です 4人の演奏を聴いて、これほどロマンに満ちた曲も少ないのではないか、と思いました 少なくともシューマンの作品の中では最良の作品と言っても過言ではないほど素晴らしい音楽だと思います ピアノと弦楽器とのアンサンブルはロマンティシズムの極致でした

4曲目は藤倉大「『Hop』クラリネット、チェロとピアノのための」です この曲は藤倉大(1977~)が2019年にサントリーホール、ラジオ・フランス、アレイミュージックの共同委嘱により作曲した作品です 演奏はクラリネット=吉田誠、チェロ=堤剛、ピアノ=小菅優です

笑顔の小菅優がステージに現れると会場がパッと明るくなる印象があります。それほど彼女のからはプラスのパワーを感じます

3人の演奏で緊張感に満ちた曲想が展開します 初めて聴く”現代音楽”なので聴く側も緊張します 藤倉氏本人のプログラムノートによると、「この作品で僕は、チェロとクラリネットの音と、ピアノの音をリフレクション(反射)させることを思いついた それは、ボールが跳ねるイメージ。スーパーボールが平らじゃないところに当たって、期待通りに跳ね返らず、予想外の方向に飛んで行っちゃう、そんなイメージ」と書いています。そういうイメージを抱きながら聴いていると、なるほどそういう風にも聴こえてきます とにかくクラリネットも、ピアノも、チェロも超絶技巧なのです よくもあんなに速いパッセージを当たり前のように演奏できるものだと感心してしまいます 一番感心したのはチェロの堤剛氏です。日本の音楽界の中では大御所と言っても過言ではない偉大な存在ですが、このような現代音楽にも果敢に挑戦する姿は立派だと思います 正直言うと、私はかつて堤氏についてはあまり優れた演奏者ではないのではないかと思っていました しかし、あるコンサートで名前も知らない現代作曲家の作品にチャレンジしている姿を見て考えを改めました もちろん、演奏に感動したからです。この日の演奏も、吉田、小菅とともに素晴らしかったです

5曲目はサン=サーンス:オラトリオ「ノアの洪水」作品45より前奏曲です この曲は、旧約聖書の中の「ノアの方舟」の物語をオラトリオとして1875年に作曲したもので、1876年に初演されました 演奏するのはチェンバーミュージック・アカデミー・アンサンブルです コンミスはクァルテット・インテグラの第1ヴァイオリン奏者・三澤響果です。メンバーはクァルテット・インテグラの4人をはじめとする16人の研修生です

冒頭の堂々たる弦楽合奏に続き、ヴィオラから順にフーガ風の音楽が現れ、三澤のヴァイオリン独奏によって どこか郷愁を誘うテーマが奏でられます この演奏が素晴らしかった まさに新約聖書の物語の世界に連れていかれそうでした

6曲目はサン=サーンス(山本祐ノ介編曲)「アレグロ・アパッショナート 作品43」です チェロの堤剛が独奏を務め、チェンバーミュージック・アカデミー・アンサンブルの16人がバックを務めます 堤剛のチェロが良く歌い、バックの弦楽合奏がしっかり支えます 年代を超えた素晴らしいコラボレーションでした

最後の曲はベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 作品130」より第5楽章「カヴァティーナ」(弦楽アンサンブルによる演奏)です この曲はベートーベンが1826年に作曲、同年シュパンツィヒ四重奏団により初演された後期の弦楽四重奏曲の一つで、第6楽章は有名な「大フーガ」です

コンミスの三澤響果のリードでベートーヴェン屈指の緩徐楽章が奏でられます ベートーヴェンの本質は緩徐楽章にあり、と言いたくなるようなしみじみと素晴らしい演奏でした

16人のメンバーのうち10人の女性奏者は、思い思いの華やかな衣装で登場し、サントリーホール「ブルーローズ」の室内楽の庭(チェンバーミュージック・ガーデン)に色とりどりのたくさんの花を咲かせました

現在、東京フィルのコンマスを務めている依田真宣君も、ミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ三重奏部門で優勝した「葵トリオ」で活躍し、現在ベルリン・フィルのカラヤン・アカデミーで研鑽を積む小川響子さんも、このアカデミー研修生として「室内楽の庭」から巣立っていきました この日出演の研修生の中からも世界に羽ばたく人材が出てくること楽しみにしています

昨年はコロナ禍の直撃で中止となったチェンバーミュージック・ガーデンでしたが、今年は何とか ほぼ当初の予定通りのスケジュールで開催されました 来年こそマスクなしで安心して聴きたいと思います

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