人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

バボラーク+日本フィルでベートーヴェン「交響曲第3番」他を聴く~フェスタサマーミューザ

2016年08月08日 07時53分27秒 | 日記

8日(月).わが家に来てから680日目を迎え,未確認 未飛行物体に遭遇し,どう対処すべきか考えているモコタロです

 

          

                                君はいったい何者だ? 笑えばいいってもんじゃないぜ!

 

  閑話休題  

 

昨日,ミューザ川崎で日本フィルの「オーケストラの醍醐味 バボラークの『英雄』」公演を聴きました これは7月23日から8月11日までミューザ川崎で開かれている「フェスタサマーミューザ」の一環として開かれた公演です.プログラムは①ウェーバー「歌劇”魔弾の射手”序曲」,②クーラウ「ピアノ協奏曲 ハ長調」,③ベートーヴェン「交響曲k第3番変ホ長調”英雄”」です ②のピアノ独奏は仲道郁代,指揮はホルンの第一人者で有名なラデク・バボラークです

 

          

 

午後3時からの本公演に先立って,午前11時半から同じ会場で公開リハーサルが開かれました 2階センターブロックの前方に座りました.指揮者も楽員もラフなスタイルでリハーサルに臨みます プログラム順に最終の仕上げをするようです.ステージ中央には2曲目のピアノ協奏曲に備えてグランド・ピアノが置かれています

最初にウェーバーの歌劇「魔弾の射手」序曲を演奏します 序盤のホルンの入りが揃いませんでした 本番では修正してくるでしょう.バボラークはホルンのスペシャリストということもあって,ホルンに演奏上の指示を出します

次いで仲道郁代がワンピース姿で登場,2曲目のクーラウ「ピアノ協奏曲」のリハーサルに入ります ピアノ椅子を見ると後ろの脚にゲタを履かせて高くしてあります.つまり演奏者は自然に前かがみになるように設置されています 演奏中,仲道はさかんに椅子の高さを調整していました.座る位置が斜めになっているので調整が難しいのではないかと思います 最初から最後まで通して演奏します

15分の休憩を挟んでリハーサル後半に入ります.今度は2階の後方の席に座りホールトーンを確認しようと思いました 第1楽章から順番に第4楽章まで演奏しますが,長い曲なので,それぞれ途中で止めて修正の指示を出し,再度演奏して次に移ります そしてもう一度,第1楽章の冒頭を演奏して切り上げました.休憩を含めて2時間のリハーサルでした

 

          

 

さて本番です.会場は8割以上は入っているでしょうか 申し訳ないのですが,日本フィルはコンマスを含めて目の前で演奏している楽員の一人も知りません.コンマスは客員だと思います

オケの態勢は左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという配置をとります.バボラークがタクトを持って登場,早速ウェーバーの「魔弾の射手」序曲に入ります バボラークはタップリとしたテンポで音楽を進めます.終盤で一旦全休止がありオケが爆発するところがありますが,その休止のタイミングで,曲が終わったと勘違いした数人の聴衆が拍手をしたのは残念でした なぜ拍手を焦るのでしょうか.他の人が拍手をしてからでも決して遅くはないのに,と思います

2曲目はクーラウの「ピアノ協奏曲ハ長調」です.フリードリヒ・クーラウ(1786ー1832)はベートーヴェンとほぼ同世代の作曲家です 軍楽隊の息子としてドイツに生まれ,10歳の時に事故で右目を失明したそうです ベートーヴェンは耳の難聴でしたね.ナポレオン戦争の混乱期,24歳の時にデンマークに亡命し宮廷楽長になりピアノやフルートの作品を残したそうです このピアノ協奏曲は1810年の作曲ですが,ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番((1801年出版)の影響を受けていると指摘されています.この点について,プログラムのインタビューの中で仲道郁代が

「ベートーヴェンの『ピアノ協奏曲第1番』のアイディア,調性の変化など,今の時代だったら『真似した』と言われれてもおかしくないほど似ているのです

と語っています.

仲道郁代が茶系のシックなドレスで登場,ピアノに向かいます バボラークのタクトで第1楽章が開始されます.聴いていると,なるほど,ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番に似ているな,と思う箇所がいくつかあります しかし,曲想は異なります.ベートーヴェンよりも単純明快な感じを受けます やっぱり似ているな,と思ったのは第3楽章のロンドです.軽快でリズミカルな曲想はそっくりです

 

          

 

休憩後はベートーヴェン「交響曲第3番変ホ長調”英雄”」です この曲は第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」,第2楽章「アダージョ・アッサイ(葬送行進曲)」,第3楽章「スケルツォ」,第4楽章「フィナーレ(アレグロ)」から成ります

ご承知のように,この曲は当初,市民革命を進めるナポレオンを讃えてベートーヴェン(1770-1827)が1804年に作曲したのですが,ナポレオンが皇帝に即位したことを知った彼は激怒し献呈を取りやめたという曰くつきの交響曲です 第2番までの交響曲の世界を打ち破り,スケールの大きな大交響曲となっています

第1楽章冒頭はオーケストラ全体で力強い2つの和音が鳴り響いて曲を開始しますが,バボラークは調和のとれた美しい音楽を響かせることに注意を払っているように思われます 私としては,もっとメリハリを付けて力を入れて演奏してほしかったと思います ベートーヴェンは時に美しくなくても良い,なりふり構わない”前進あるのみ”のような唯我独尊的な演奏でも良いと思っています 

演奏としてはオーボエが素晴らしい そしてフルートとクラリネット

第2楽章「葬送行進曲」は,この楽章だけを取っても名曲です 昭和天皇が崩御された時,NHKーTVはN響の演奏によるこの楽章をずっと流していたことを思い出します この楽章でもオーボエが冴えわたっています.全体的に平板な音楽に,ティンパ二の炸裂がカツを入れます

第3楽章「スケルツォ」ではメリハリのある演奏が聴かれました ホルンのトリオも活躍しました.そして第4楽章「フィナーレ」を迎えます.ピッツィカートでテーマが奏でられ,変奏が続きます

この曲を聴くと,人間の一大ドラマを感じます.当初の想定がナポレオンだったからでしょう バボラーク+日本フィルはベートーヴェンの描いた一大ドラマを力強く再現しました 

コメント
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