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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ミロ・クァルテットでベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番~第6番」を聴く

2015年06月09日 07時01分05秒 | 日記

9日(火).昨日は伯母の葬儀に参列するため,休暇を取って埼玉県K市のキリスト教会に行ってきました 従兄がクリスチャンなので教会での葬儀になったもの,とばかり思っていたら,何と本人もクリスチャンだったのです 会葬のお礼のあいさつで従兄が語ったところによると,数年前に90台後半の母親に「洗礼を受けるかい?」と尋ねたところ「昔,洗礼を受けているよ」という返事が返ってきてビックリしたとのこと 従兄夫婦はクリスチャン同士で40年も前に結婚したのに,つい数年前まで自分の母親が洗礼を受けていたことを知らなかったのです 私はその方がビックリしました.昔というのは伯母が女学校時代のことだよと,もう一人の従兄が教えてくれました 伯母は私の亡父の姉ですが,父は生前,姉が洗礼を受けたことがあると語ったことはありません.私自身も伯母が生まれ育った同じところで生まれ育ちましたが,近くにキリスト教会はありませんでしたし,今でもありません.いったいいつどこで伯母は洗礼を受けたのか,大きな謎です その伯母は,2年前の”100歳を祝う会”では誰よりも大きな声で讃美歌を歌って,皆を驚かせたそうです.40年以上前,伯母が江東区月島に住んでいた頃,何度かお邪魔しましたが,江戸っ子のようなシャキシャキした話しぶりが記憶に残っています あらためて故人の冥福をお祈りします 

ということで,わが家に来てから243日目を迎え,おやつを漁るモコタロです 

 

          

             じゃがりこって何よ? ちょっと味見したいなぁ・・・・・

 

  閑話休題  

 

7日(日)午後2時からサントリーホール”ブルーローズ”で「ミロ・クァルテット ベートーヴェン・サイクルⅠ」を聴きました これはサントリーホールが主催する「サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン2015」の一環として開かれた公演です.毎年演奏団体を変えてベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を演奏するという企画で,今年は1995年結成のアメリカの四重奏団,ミロ・クァルテットが選ばれました

 

          

 

ミロ・クァルテットのメンバーは第1ヴァイオリン=ダニエル・チン,第2ヴァイオリン=ウィリアム・フェドケンホイヤー,ヴィオラ=ジョン・ラジェス,チェロ=ジョシュア・ジンデルという面々です

ベートーヴェン・サイクル第1回目のこの日は弦楽四重奏曲第1番から第6番までの初期の作品が演奏されますが,演奏の順番は第3番,第2番,第1番,第5番,第4番,第6番となっています これは楽譜の出版順ではなく曲の完成順ということです ヴィオラ奏者のジョン・ラジェス(上の写真の右から二人目)がかなりの理論家で,こういう順番にしたようです プログラム上は第3番,第2番ー休憩ー第1番,第5番ー休憩ー第4番,第6番という構成になっています

弦楽四重奏曲第1番~第6番は1800年(ベートーヴェン30歳の時)に一気に書かれましたが,この2年前には”悲愴ソナタ”が,3年後の1803年~04年には”ワルトシュタイン・ソナタ”,第3交響曲「英雄」が書かれています この頃のベートーヴェンは田舎町のボンから大都市ウィーンに出てきて,ハイドンやサリエリに就いて音楽を学んだこともあり,ピアニストとしてかなりの有名人で,ノリにノッていた時期です

 

          

 

自席はRb2列6番,センター右ブロック,左から3つ入った席です.会場はほぼ満席 拍手の中ミロ・クァルテットのメンバーが登場します.舞台袖でチューニングを済ませているので,いきなり本番に入ります ここ数日,私はイタリア弦楽四重奏団のCDで予習をしてきたので,ある程度各曲のメロディーは頭に入っています

まず第3番ニ長調,次いで第2番ト長調が演奏されますが,あらためて感じるのは第2番の素晴らしさです 全体的な曲想としてはハイドンの影響があるのではないかと感じるのですが,第4楽章では交響曲第5番ハ短調の”運命の動機”が聴かれます この曲の7年後の1807~08年に作曲された”運命”の萌芽がすでに表れていることが確認できるのです.4人は白熱した演奏を展開しました

休憩後の第1番ヘ長調の第4楽章では,後に作曲した英雄交響曲の一部のテーマが現われます 第5番第1楽章冒頭は,親しい友人に語りかけるような親しみのあるメロディーで始まります.そして第3楽章は彼の七重奏曲のような魅力的な音楽が展開します

2回目の休憩の後,まず第4番ハ短調が演奏されますが,6曲の中でこの曲だけが短調です.その冒頭はデモーニッシュと言うべき音楽で,モーツアルトの短調の曲のように”疾走”しています モーツアルトと違うところはベートーヴェンには”強い意志”があるということです ハ短調という調性が第5交響曲”運命”と同じであることがその証明です

最後の第6番変ロ長調の第1楽章を聴いて,随分速いなと思いました と言うのは,予習で聴いてきたイタリア弦楽四重奏団の演奏が,どちらかと言うと伸び伸びした演奏だったのに対し,ミロ・クァルテットの演奏は相当スピード感があったからです 1960~70年代の古き良き時代の演奏とジェット旅客機時代の現代の演奏との違いを感じます こういう風に感じることが出来たのも,予習をしておいたお陰です

 

          

 

この日の公演は15分休憩を2回挟んで3時間半を上回る長時間コンサートでしたが,ミロ・クァルテットのアンサンブルの素晴らしさを実感しました ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全16曲のうち最初の6曲を聴いたわけですが,まさに18世紀から19世紀への変わり目の1800年の1年間に,立て続けに傑作を16曲書いたわけです それだけでもベートーヴェンの”多様性”に驚くのに,次の公演で聴く第7番~第9番(”ラズモフスキー第1番~第3番”)では,ベートーヴェンはさらに上の境地に達することになります それは次回のお楽しみですが,ミロ・クァルテットにはその魅力を十分に引き出す力があると確信しています

 

          

 

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