人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ミシェル・プラッソン+東京交響楽団・第88回名曲全集を聴く

2013年07月15日 07時15分31秒 | 日記

15日(月)。昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで東京交響楽団・第88回名曲全集コンサートを聴きました プログラムは①ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、②同「交響詩”海”」、③ショーソン「詩曲」、④ラヴェル「ツィガーヌ」、⑤同「ボレロ」で、指揮はミシェル・プラッソン、ヴァイオリン独奏は成田達輝です

先日のブログにも書きましたが、この日(14日)と今日(15日)の東京オペラシティシリーズのプログラム・出演者は同じなのです どちらか一つに絞ろうかと悩みましたが、生演奏は何があるか分からないので、取りあえず1日目のミューザに出かけたのでした

          

          

 

コンマス水谷晃のもとチューニングが終わり、ミシェル・プラッソンが大儀そうにゆっくりと登場します 1933年生まれといいますから今年満80歳。動作はゆっくりですが、まだまだ指揮者としてはやっていけます

1曲目のドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」は、象徴派の詩人マラルメの詩「牧神の午後」に触発されて1892~94年に作曲されました 「真昼の暑い野原で眠りから覚めた牧神(半獣神)が葦の笛を吹き、ニンフと戯れたくて追いかけるが逃げられ、疲れて夢想しながらまどろむ」という内容の詩です

冒頭、相澤政宏のフルートが、けだるいような眠いような旋律を奏でます。思わず聴いているこちらも眠くなってきます

2曲目のドビュッシー「交響詩:海」は、作曲者が音の色彩によって海と波の表情を描いた描写的な音楽です プラッソンは次々と変化する海の表情をオケから引き出します。東響の面々もしっかりと指揮者に応えます

休憩後の最初はショーソンの「詩曲」です。ショーソン(1855-1899)はバリ音楽院でマスネやフランクに師事した作曲家です。この曲は1896年夏に完成、ベルギーの名ヴァイオリニスト、イザイに捧げられています

2012年エリーザベト国際コンクール第2位の成田達輝がプラッソンとともに登場します。最初にオーケストラが神秘的な音楽を奏で、次いでヴァイオリンが悲しげな旋律を紡いでいきます。そしてカデンツァ風のパッセージを弾きます。ロマンティックな曲です

ハープが指揮台の正面に置かれ、2曲目のラヴェルの「ツィガーヌ」が始まります。ツィガーヌとは”ロマ”という意味ですが、”ロマ”というのは”ジプシー音楽”のことを意味します

成田は冒頭、渾身の力を込めてヴァイオリンを弾き込みます。そしてエキゾチックな旋律を奏でていきます 途中、ピチカートに移ったところでヴァイオリンの弦が切れました(あるいは外れました)。よほど力を入れて弾いたのでしょう。成田は慌てず、演奏を中止して指揮者と聴衆に本体から外れた弦を示し、直してくると合図して舞台袖に引っ込みました。数分後、拍手に迎えられた成田は再び演奏を再開、後半にはオケのサポートを受けながら、見事に全曲を弾き切りました

プラッソンは右に成田の肩を左にハーピストの女性の肩を抱え、いっしょに会場に一礼しました。ハープの女性は「いえ、わたし、そんなんじゃないんですけど・・・・」というような戸惑った様子でしたが、プラッソンはお構いなしに成田と女性を引き立てます フランス人らしい粋な振る舞いに聴衆は大喜びで惜しみのない拍手を送ります

再度登場した成田は、会場一杯の拍手に応えパガニーニの「24のカプリース」から第1番をアンコールに選び、超絶技巧で弾き切りました。なかなかの青年ですぞ。将来が楽しみです

最後は弦楽器も管楽器も大幅に追加されてラヴェルの「ボレロ」ですスペイン=アラビア風の二つの旋律が違う楽器に受け継がれながら永遠に続いていくような曲です。最後は楽器も大幅に増え、音量が最大になり、どんでん返しで急に終結します

プラッソンは、小太鼓と握手、次いでソロを吹いた楽器をフルートから順に一人一人立たせて拍手を求めました 何度も舞台に呼び戻され、「しーっ」と指を口に当てて振り返り、ラヴェルの「マ・メール・ロワ」から「妖精の国」を夢見るように演奏し、拍手喝さい を浴びました。会場の左右、後ろにも投げキッスをするプラッソンはサービス精神旺盛な”好々爺”です

生演奏は何が起こるか分からない・・・・・その通りこの日何かが起こりました 今日は会場こそオペラシティですが、同じ演奏者で同じプログラムを聴きます。さて、何が待っているのか

 

          

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする