人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「JAZZ IN 藝大2013」を聴く~マルタ+エリック・ミヤシロの共演も!

2013年07月28日 07時25分29秒 | 日記

28日(日)。昨日、上野の東京藝大奏楽堂で「JAZZ IN 藝大」公演を聴きました このコンサートは「藝大から巣立ったジャズメン Part1」と題されている通り、東京藝大を卒業して音楽界で活躍するジャズメンが一同に会した公演です MALTA(サクソフォン)、美野春樹(ピアノ)、藤井美智(トランペット)、山崎千裕(トランペット)、山本正治(クラリネット)、古賀正治(トロンボーン)、藤本隆文(ヴィブラフォン)たちですが、私が知っているのは山本正治氏だけです。この人はクラシックの人ですから

もともとこのコンサートのチケットを買った動機はゲストにトランペットのエリック・ミヤシロが出演するからです 彼の演奏は数年前に有楽町マリオン朝日ホールで「侍ブラス」を聴いて、その炸裂するパワーがすっかり気に入って、その後気になる存在になっていたのです

 

          

 

自席は1階11列12番、左ブロック右通路側のかなり良い席です 会場は8~9割方埋まっている感じです。薄暗い照明のもと、マルタとその仲間、そして藝大ビックバンドMANTO VIVOの面々が配置に着きます。左サイドにピアノ(スタインウエイ)、ギター、ドラム、ベースがスタンバイし、右半分にビックバンド(トランペット、トロンボーン、サクソフォン、クラリネット)が控えます。後方中央にはエリック・ミヤシロがデンと構えています ちなみにエリックはハワイ生まれ、高校卒業後バークリー音楽大学に奨学金で招かれ入学、ウディ・ハーマンなどのビッグバンドにリード・トランぺッターとして招かれ、世界中を公演旅行した経験のある実力者です。という訳で東京藝大卒ではありません

進行役の東京藝大演奏芸術センター教授・松下功氏が登場、

「この企画は2004年からスタートしたもので、『邦楽とジャズ』『クラシックとジャズ』『語りとジャズ』と様々な切り口で実施してきたが、今回は東京藝大卒のジャズメンを集めてのコンサートを企画した 卒業生に声を掛けたところ是非出演したいというジャズメンが多かったので、取りあえず今回は”Part 1”とした」

として、藝大卒で一番有名なジャズマンのマルタを紹介しました。思ったより小柄な人です。松下教授とのやりとりは掛け合い漫才のようで軽妙洒脱です

マルタが指揮をしながらサックスを演奏するスタイルで、第1部の1曲目のジェローム・リチャードソンの「グルーヴ・マーチャント」が始まります。陽気な音楽です

そして2曲目、お馴染みのウィリアム・クリストファー・ハンディの「セントルイス・ブルース」、3曲目、サイ・オリヴァーの「オーパス・ワン」がご機嫌に演奏されます。マルタの主導でノリノリの演奏が続きます

ここで、いったん配置換えがあり、その間に進行役の松下教授がマルタにインタビューします

松下教授:「どうですか、後輩たちの演奏は?」

マルタ :「昨日までボロボロだったじゃないですか(笑)。でも今日はさすが 本番に強い(会場・笑)」

 

          

 

次は美野春樹トリオにより「シンディス・キャンディ」が演奏されます。ピアノは先ほどのと代わりますが、やはりスタインウエイです。クラシックもジャズもピアノはスタインウエイなのでしょうか

再び配置換えがあり、元の配置に戻ります。チャック・マンジョーネの「フィール・ソー・グッド」が、トランペットの藤井美智のソロを中心に演奏されます この人の演奏はポエムがあります。次いでランディ・ブレッカーの「サム・スカンク・ファンク」が、トランペットの山崎千裕のソロを中心に演奏されます この人の演奏は吹き抜けた明るさとパワーがあります。両曲ともサクソフォンのマルタとのコラボが何とも爽快です ほんの短い間、金髪で黒のバンダナがトレードマークのエリック・ミヤシロのソロがありますが、会場は拍手喝さいです 知ってますね、本物を

ここで進行役の松下教授がビールの入ったジョッキ を片手に登場、「夏はジャズにビールが合いますね。皆さん、ホワイエでビールを販売しています。どうぞお買い求めください。飲んじゃおっと」と言って一口飲んで、ジョッキを持たないマルタと「カンパーイ」と言って引っ込みました。この教授、相当な宣伝部長です

休憩後、再び登場した松下教授は「皆さま、お陰様でビール が相当売れたようです。ありがとうございました」とお礼を言っていました。

 

          

 

第2部の最初はグレン・ミラーの代名詞のような曲「ムーンライト・セレナード」です グレン・ミラーって本当にいいですね 次いで、同じ作曲家による「ペンシルバニア6-5000」が演奏されました。これもご機嫌な曲です。グレンはツアーの途中でいきなりヘレンに電話をかけ、「明日ニューヨークに来てくれ。結婚しよう。着いたらペンシルバニア6ー5000に電話してほしい。迎えに行くから」とプロポーズをしたという背景のある曲です マルタの合図で客席は手拍子で演奏に参加しました クラシックで言えばウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートにおける「ラデツキー行進曲」のようなものでしょうか

次いで、マルタ自身が作曲した「タズックスマニア」と「マンハッタン・イン・ブルー」が、マルタを中心に熱く演奏されました。いつかどこかで聴いたことのあるような、なかなか良い曲です

次にウディ・ハーマンの「フォー・ブラザーズ」とパディ・リッチの「ビッグ・スイング・フェイス」がソリストを代えながらご機嫌に演奏されました ここまでくると、聴衆は身体をスイングさせ、手や足で拍子を取っています。これがジャズの良いところでしょう

そして、最後にライオネル・ハンプトン=マルタによる「サクラ’81」が、最初は厳かに、途中からパワー炸裂で展開しました

 

          

 

最後の曲が終わっても拍手が鳴り止まないので、マルタが「アンコールないから、帰ってください」(笑)と叫びました。が、聴衆はアンコールがあるはずだとして帰りません マルタは「それじゃ、テイク・ジ・Aトレイン」と言って、出演者全員を登場させ、「A列車で行こう」をノリノリで演奏しました フィナーレではわれらのエリック・ミヤシロが、2階最後部席に突き刺さるような、誰も吹けない超高音でトランペットを吹き鳴らして曲を閉じました

本当に楽しいコンサートでした 来年もPart2をやるそうです。絶対に聴きに行きます 最後に私が作った格言を一つ・・・・・・

「ジャズは身体を解放し、クラシックは心を解放する」

たまにはジャズも良いものです が、いい気になってコンサートのジャンルをジャズまで広げると、今でも過密なコンサート・スケジュールが超過密になって、過労死する恐れがあります。”たまに”がちょうど良いのかもしれません

 

          

 

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