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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

エリーナ・ガランチャ「ミート&グリート」 / リヒテル「ソフィア・リサイタル」(旧ソ連のリヒテルが初めて西側で開いたピアノ・リサイタルのライブ公演) ~ 日経「名作コンシェルジュ」を読んで

2025年06月11日 00時01分08秒 | 日記

11日(水)。今日から5日連続コンサートなので、昨日は腰痛悪化防止のため家でベッドに横になって、今週のコンサートの予習CDやリヒテルのCDを聴きながら読書をして過ごしました

ところで、6月17日(火)に東京オペラシティコンサートホールで開かれる「エリーナ・ガランチャ リサイタル」を聴きに行くのですが、主催者のテイト・コーポレーションから、チケット購入者に対し「ミート&グリート」開催のお知らせ(下のハガキ)が届きました

ガランチャとの写真撮影、サイン入りパンフレット、来日記念CDなど魅力的な特典が書かれていますが、驚いたのは参加費です。な、なんと10万円です

それでも、価値を認める人は参加するのでしょう 下の方に赤字で「受付期間内に於いて所定申込み数に達した時点で受付を終了します」と書かれていますが、いったい何人の参加を見込んでいるんでしょうね ガランチャは好きですけど、これは私にはムリです

ということで、わが家に来てから今日で3802日目を迎え、米西部カリフォルニア州ロサンゼルスで起きた移民摘発に対する抗議デモを巡り、トランプ大統領は9日、当初の2千人に加えて、さらに2千人をの州兵の派遣を命じ、また米軍も約700人の海兵隊員を派遣すると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

州知事を無視したトランプ政権の軍隊派遣は 市民に対する挑発行為だ  無軌道政権が暴走してる

         

昨日、夕食に「鶏肉と茄子の炒め物」「生野菜とモッツアレラチーズのサラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました 今回もピリ辛で美味しくできました

         

8日(日)付の日経朝刊「STYLE/Culture」に掲載の鈴木淳史氏による「名作コンシェルジュ  Music」で、リヒテル「ソフィア・リサイタル」を取り上げていました これは、旧ソ連を代表するピアニストのリヒテルが、鉄のカーテンの東側から初めて西側に出て、ブルガリアのソフィアで1958年2月25日に開いたリサイタルのライブ録音CDです 収録されているのはムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」がメインで、あとはラフマニノフ、シューベルト、ショパン、リストの小品が収録されています

スヴヤトスラフ・リヒテルは1915年に現在のウクライナで生まれました 10代から劇場などでピアノを弾き、20代に入ってからモスクワ音楽院で学び、幅広いレパートリーで世界中で活躍し、1997年にモスクワで死去しました

鈴木氏は冒頭、次のように書いています

「旧ソ連を代表するピアニストとして最初に西側で脚光を浴びたのはエミール・ギレリスだった そのパフォーマンスを絶賛された彼は『その賛辞は、リヒテルの演奏を聴いてからにしてほしい』と言ったという

これは、いかにリヒテルが凄いピアニストであるかを物語るエピソードです

鈴木氏はムソルグスキー「展覧会の絵」の演奏について「脳天を直撃するような壮絶さなのだ」と書いています

実際にCDを聴いてみると、「なぜそれほど先を急ぐのか」と言いたくなるほど速いテンポで弾かれる最初の「プロムナード」から、音が襲いかかって来るような「バーバ・ヤーガの小屋」に至るまで、強烈な表現力で弾き倒します 現代のピアニストであれば、テクニック的には同じくらい凄い演奏をする人もいるかもしれませんが、1950年代後半にこのような爆演を聴いた聴衆は度肝を抜かれたことでしょう また、ショパン「練習曲第3番作品10-3”別れの曲”」もタダ物ではないと思わせます 冒頭の枯れた味わいの演奏と、中間部の嵐が来たような演奏のコントラストには、思わず息を呑みます

一時期、リヒテルばかり聴いていた時期がありましたが、その頃聴いていたCDを録音が古い順に並べてみました

やっぱり膨大なレパートリーを誇っていたことが分かります これを機会に、またボチボチ聴いてみようかと思っています

         

今年も「サントリーホール  チェンバーミュージック・ガーデン」の季節がやってきました 今日はサントリーホール「ブルーローズ」で開かれるシューマン・クァルテットの「ベートーヴェン・サイクルⅠ」を聴きに行きます

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平野啓一郎原作・石井裕也監督「本心」を観る ~ 自死を選んだ母親の本心を知るためヴァーチャル・フィギュアの母を創り会話する男の物語

2025年06月10日 00時02分08秒 | 日記

10日(火)。わが家に来てから今日で3801日目を迎え、トランプ米大統領は7日、関係が決裂した実業家のイーロン・マスク氏に対し、野党・民主党の候補に資金援助すれば「深刻な結果を招く」と警告し、「彼は大統領への敬意を欠いている」と述べた一方、マスク氏は「『アメリカ党』という中道を代表する新党を作る時がきた」とXに投稿した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

国家権力を私物化するトランプと 利権を貪ろうとして失敗した金持ちの痴話喧嘩は 世界の笑いもの

         

昨日、夕食に「ひき肉と野菜のドライカレー」を作りました 野菜はトマト、ナス、ピーマン、玉ねぎです。今回も美味しく出来ました

         

早稲田松竹で石井裕也監督による2024年製作映画「本心」(122分)を観ました 本作は平野啓一郎の同名小説を原作に、デジタル化社会の功罪を鋭く描写したヒューマンミステリーです

工場で働く石川朔也(池松壮亮)は、同居する母・秋子(田中裕子)から「大切な話をしたい」という電話を受けて帰宅を急ぐが、豪雨で氾濫する川べりに立つ母を助けようと川に飛び込んで昏睡状態に陥ってしまう 1年後に目を覚ました朔也は、母が”自由死”を選択して他界したことを知る 勤務先の工場はロボット化の影響で閉鎖しており,朔也は激変した世界に戸惑いながらも、カメラを搭載したゴーグルを装着して遠く離れた依頼主の指示通りに動く「リアル・アバター」の仕事に就く ある日、生前のパーソナルデータをAIに集約させて仮想空間上に任意の”人間”を創る技術「VF(バーチャル・フィギュア)」の存在を知った朔也は、母の本心を知るため、開発者の野崎将人(妻夫木聡)に母を創ってほしいと依頼する その一方で、母の親友だったという三好彩花(三吉彩花)が台風被害で避難所生活を送っていることを知り、接触して母のVFも交えて一緒に暮らすことになるが、VFは徐々に朔也の知らない母の一面を曝け出していく

【以下、ネタバレ注意】

どこまでが原作通りなのか不明ですが、物語の舞台の2025年夏は「自死を選ぶとお金がもらえて税金も安くなる」という社会になっています この設定は早川千絵監督による2022年公開映画「PLAN75」を思い起こさせます 高齢者人口を少なくするため75歳を超えて自死を選ぶとお金が支給され安楽死ができるという内容です ただ、「本心」の方はそうした制度を批判的に描いているわけではありません。朔也は高校時代に好きだった女生徒を悪く言う教師を挟殺した過去を持っていましたが、その女生徒と彩花はそっくりでした 朔也はバーチャル・フィギュアの母や彩花との会話を通して、母親はレズビアンで子どもが産めなかったことから、人工授精で朔也を生んだことを知ります 朔也は困惑します。そんなことを知るために300万円もかけてバーチャル・フィギュアの母親を創ってもらったのか、と しかし、仮想空間の母親は朔也に「あなたを産んで良かった。今はとても幸せよ」と語ります。それが母親の本心でした

この映画を観て思ったのは、「バーチャル・フィギュアでも何でもよいから、母親や自分の過去の本当のことが知りたい」という気持ちは分からなくもないが、「人間は誰でも表の顔と裏の顔を持って生きている 時には裏の顔を知らないで付き合った方が、お互いにとって幸せなことがある」ということです   ヒミツを持っているのはアッコちゃんだけではありませんから

早稲田松竹では筒井康隆原作「敵」との2本立てですが、もうすでに一度観たし、腰痛悪化防止が本心なので、1本だけ観て帰ってきました

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ミケーレ・マリオッティ ✕ マキシム・ミロノフ ✕ ハスミック・トロシャン他 ✕ 東響コーラス ✕ 東京交響楽団でモーツアルト「交響曲第25番」、ロッシーニ「スターバト・マーテル」を聴く

2025年06月09日 00時01分03秒 | 日記

9日(月)。昨日の日経朝刊「The  STYLE / Culture」の「My  Story」に彬子女王が登場していました 彬子(あきこ)女王は”髭の殿下”として親しまれた故・三笠宮寛仁の長女です。記事の大見出しは「文化を守る『種』をまく」です リード記事には次のように書かれています

「プリンセスの日常が面白すぎる・・・。SNSで『バズった』英国留学記は、30万部を超えるベストセラーとなった 女性皇族として公務に臨む傍ら、執筆や公演など日本文化を伝える活動に力を注がれる三笠宮家の彬子さま。その原点には父、寛仁さまの言葉があった

彬子女王が髭の殿下から言われてきた言葉は2つです 一つは将来の”指針”となった「皇族っていうのは国民の中に自ら入っていて、国民が求めることをするのが仕事なんだ」という言葉 もう一つは呪文のように言い続けた「おまえはオックスフォードに行くんだ」という言葉です

彼女は父上の期待通り、学習院大学卒業後、通算6年にわたり英オックスフォード大学マートン・カレッジに留学し、女性皇族として初の博士号を取得しました その頃の生活を描いたのがSNSでバズった「赤と青のガウン」(PHP研究所)です 等身大の女王の生活が描かれていて皇室に対する親近感を覚えます 本書を読んだ感想は2024年7月15日付toraブログに書きましたので、興味のある方はご覧ください

ところで、同じ皇室でも「おまえはオックスフォードに行くんだ」と言って欲しかったケースが最近ありましたね まあ、これからでも遅くありませんから、彬子女王のように”実力”でチャレンジしてみてはどうかと思いますが

   

ということで、わが家に来てから今日で3800日目を迎え、斎藤元彦知事をめぐる内部告発問題で揺れる兵庫県で、今夏の参院選兵庫選挙区に、昨秋の知事選で斎藤氏を応援する「2馬力選挙」を展開し、選挙期間中のSNS投稿や県議の自宅兼事務所前での演説が問題視されたNHK党の立花孝志氏が立候補し、内部告発問題に関する自身の主張を訴える構えでいる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

日本中の選挙区を荒らし回り 兵庫で名誉棄損で訴えられた 選挙区民は馬鹿じゃないと信じてる

         

昨日、サントリーホールで東京交響楽団「第731回定期演奏会」を聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第25番 ト短調 K.183」、②ロッシーニ「スターバト・マーテル」です 演奏は②のテノール独唱=マキシム・ミロノフ、ソプラノ独唱=ハスミック・トロシャン、メゾソプラノ独唱=ヴァルドゥイ・アブラハミヤン、バス独唱=マルコ・ミミカ、合唱=東響コーラス、指揮=ミケーレ・マリオッティです

ミケーレ・マリオッティはイタリア・ペーザロ生まれ。2008年にボローニャ歌劇場首席指揮者、その後音楽監督に就任 2016年にはイタリアの批評家賞であるプレミオ・アッピアーティ賞(最優秀指揮者賞)を受賞 2022年11月よりローマ歌劇場の音楽監督を務める

【訂正】6月9日午後2時33分

メゾソプラノ独唱はダニエラ・バルチェッローナの誤りでした。読者のクラシックファンさんからご指摘いただきました。お詫びの上訂正いたします

オケは12型で 左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置 コンマスはブレブ・ニキティンです

1曲目はモーツアルト「交響曲第25番 ト短調 K.183」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1773年にザルツブルクで作曲しました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

マリオッティの指揮で第1楽章が弦楽器のシンコペーションで開始されます 短調特有の「シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒濤)」の激しい音楽が展開します この冒頭の音楽を聴くといつも思い出すのはピーター・シェーファー原作、ミロス・フォアマン監督による1985年公開映画「アマデウス」です この映画ほど「第25番」の第1楽章が有効に使用された作品はありません 荒木健太のオーボエが哀しみを助長させます。全体を通して、マリオッティは気負うことなく、肩の力を抜いて軽快に演奏している様子が窺えました

プログラム後半はロッシーニ「スターバト・マーテル」です この曲はジョアッキーノ・ロッシーニ(1792-1868)が1832年に作曲(第1稿)、1841年に第2稿を作曲、1841年1月7日にパリのイタリア劇場で初演されました 第1曲「導入」、第2曲「アリア(テノール)」、第3曲「二重唱(ソプラノ、メゾソプラノ)」、第4曲「アリア(バス)」、第5曲「合唱とレチタティーヴォ(バス)」、第6曲「四重唱(ソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バス)」、第7曲「カヴァティーナ(メゾソプラノ)、第8曲「アリア(ソプラノ)と合唱」、第9曲「四重唱(ソプラノ、メゾソプラノ、テノール、バス)」、第10曲「終曲」の10曲から成ります 

「スターバト・マーテル」は十字架に磔にされたイエスの傍らで嘆き悲しむ聖母マリアを主題とする宗教曲です

東響コーラスの男女混声合唱 約130名がオケの後方にスタンバイし、ソリスト4人がマリオッティと共に登場し、ステージ中央にスタンバイします

マリオッティの指揮で演奏に入りますが、全体を通して感じたのは歌手陣が歌うアリアや重唱は、「まるでオペラのアリアやデュオのようだ」ということです これはほとんどモーツアルト「戴冠式ミサ曲」の世界と同じではないか

歌手陣は総じて絶好調でした

テノール独唱のマキシム・ミロノフはロシア・トゥーラ生まれ ドイツの国際声楽コンクール「ノイエ・スティメン」で優勝 ベルカント・テノールとして世界の歌劇場で活躍中 第2曲のアリアを中心に、良く通る輝けるテノールで聴衆を魅了しました

バス独唱のマルコ・ミミカはクロアチア生まれ ヨーロッパの歌劇場を中心に活躍中 第5曲のレチタティーヴォを中心に力強く 低音の魅力を発揮しました

ソプラノ独唱のハスミック・トロシャンはアルメニア・エレバン生まれ    アルメニア共和国コンクール第1位をはじめ、国内外のコンクールで数多くの賞を受賞   アルメニア国立オペラ・バレエ劇場の首席ソリストとして活躍中 第8曲のアリアを中心に、豊かな声量でドラマティックな歌唱を繰り広げ、圧倒的な存在感を示しました 4人のソリストの中では突出していました

メゾソプラノ独唱のダニエラ・バルチェッローナはイタリア・トリエステ生まれ 数多くのコンクールで優勝した後、1999年にペーザロのロッシーニ・オペラ音楽祭で「タンクレーディ」のタイトルロールでデビュー 以来、ズボン役で世界のオペラハウスで活躍中 第7曲の「カヴァティーナ」を中心に、深みのある豊かな歌唱により存在感を示しました

特筆すべきは、終始暗譜により圧倒的な迫力の合唱を歌い上げた東響コーラスの皆さんです あらためて、アマチュア合唱団の中でも東響コーラスはトップクラスであることを証明しました

また、東京交響楽団はマリオッティの卓越した統率力のもと、終始 弛緩することなく集中力に満ちた演奏を展開しました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました 掛け値なしの素晴らしいコンサートでした

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ファンホ・メナ ✕ ユリアンナ・アヴデーエワ ✕ NHK交響楽団でR.コルサコフ:歌劇「5月の夜」序曲、ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲」、チャイコフスキー「交響曲第6番」を聴く

2025年06月08日 00時11分20秒 | 日記

8日(日)。9月3日(木)19時からサントリーホールで開かれる「第34回Kissポートクラシックコンサート」のチケットを取りました プログラムは①グリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調」、②モーツアルト「レクイエム  K.626」です   演奏は①のピアノ独奏=岡田奏、②のソプラノ独唱=小林沙羅、アルト独唱=金子美香、テノール独唱=鈴木准、バリトン独唱=池内響、合唱=ミナトシティコーラス、管弦楽=東京交響楽団、指揮=大友直人です

ということで、わが家に来てから今日で3799日目を迎え、米ワシントンの連邦控訴裁は6日、トランプ政権がホワイトハウスの大統領執務室などでの取材から、AP通信を締め出すことが出来ると判断した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

トランプ政権にとって都合の悪い記者は 取材させないなんて アメリカの民主主義も 地に落ちたな

         

昨夜、NHKホールでNHK交響楽団6月度Aプロ定期演奏会(1日目)を聴きました Aプロは2日目公演の会員ですが、東響定期とダブっていたのでN響の方を1日目公演に振り替えました 主催者側で用意した席は1階L12列12番、左ブロックの通路から一番奥に入った席で、私の一番苦手な席です しかもすぐ前の席が座高の高い男性のため視界が遮られ、ステージの右半分が見えません 「まいったな~、この人 別の空席に移動してくれないかな~」と思っていたら、何とその呪いが、もとい願いが通じたのか、一つ右の席に移ってくれました 普段の心がけがいいからね、と根拠のない自画自賛に興じました

この日のプログラムは①R.コルサコフ:歌劇「5月の夜」序曲、②ラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」、③チャイコフスキー「交響曲第6番 ロ短調 作品74 ”悲愴”」です   演奏は②のピアノ独奏= ユリアンナ・アヴデーエワ、指揮=ファンホ・メナ (体調不良により来日不能となったウラディミール・フェドセーエフの代役)です

ファンホ・メナはスペインのバスク地方ビトリア・ガステイス生まれ 地元音楽院やマドリード王立音楽院で研鑽を積み、ドイツでセルジュ・チェリビダッケから8年間にわたり薫陶を受ける 1999年にビルバオ交響楽団の首席指揮者兼芸術監督に就任。その後、BBCフィルのチーフ・コンダクターなどを歴任、世界の著名オーケストラに客演を重ねる

オケは14型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び。コンマスは郷古廉です

1曲目はR.コルサコフ:歌劇「5月の夜」序曲です この歌劇はリムスキー・コルサコフ(1844-1908)がゴーゴリ原作による物語に基づき1879年に作曲、1880年1月9日にサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で初演されました

そもそも、フェドセーエフがなぜこの曲を選んだのか分かりませんが、魅力に乏しい曲です 指揮者が代わったのだから、挨拶代わりの第1曲くらいもっとポピュラーな曲に差し替えても良かったのではないかと思います

2曲目はラフマニノフ「パガニーニの主題による狂詩曲 作品43」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1934年に作曲、同年11月7日に米ボルティモアでラフマニノフの独奏、レオポルド・ストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団により初演されました 主題はパガニーニの「24の奇想曲」の第24曲(イ短調)で、序奏と24の変奏から成ります

ピアノ独奏のユリアンナ・アヴデーエワは1985年モスクワ生まれ。モスクワの名門 グネーシン音楽学校で学ぶ。2003年からチューリヒ芸術大学で研鑽を積む 2006年にジュネーブ国際音楽コンクール ピアノ部門で1位なしの2位に入賞 2010年の「第16回ショパン国際ピアノコンクール」でマルタ・アルゲリッチ以来45年ぶりの女性ピアニストとして優勝し 一層名声を高めた

メナの指揮で演奏に入ります アヴデーエワは確かな技巧の裏付けのもと、テンポ・強弱を自由自在に変化させて演奏し聴衆を圧倒します 自席から彼女の指使いが見えますが、とにかく凄いとしか言いようがありません ひとことで言えば「大胆素敵」です。この曲一番の聴きどころ「第18変奏」はロマン溢れる演奏で魅了しました 

満場の拍手とブラボーにアヴデーエワは、チャイコフスキー「18の小品作品72」から第5曲「瞑想曲」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手に包まれました

下のCDは「第16回ショパン・コンクール」におけるアヴデーエワの予選から決勝までのライブ録音(2枚組)です 使用楽器はYAMAHAです

下のCDはアヴデーエワの来日時にサインをもらったショパン「前奏曲集」他を収録したCD(2014年録音)です

プログラム後半はチャイコフスキー「交響曲第6番 ロ短調 作品74 ”悲愴”」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1893年に作曲、同年10月16日にサンクトペテルブルクで作曲者自身の指揮により初演されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アレグロ・コン・グラツィア」、第3楽章「アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:アダージョ・ラメントーソ」の4楽章から成ります

オケは16型に拡大し、メナの指揮で第1楽章に入ります コントラバスとファゴットの重低音による「これ以上悲痛な音楽はない」というようなクライマックス(暗いMax)な演奏で幕が開きます その直後のヴィオラセクションの演奏が素晴らしい フルート、ファゴット、クラリネットといった木管楽器の演奏が冴えています 第2楽章は「音楽史上もっとも有名な5拍子の音楽」です 弦楽器の流麗な演奏が印象的です 第3楽章はスケルツォ風の行進曲です。スピード感あふれる演奏で一気に駆け抜けます ”定期”演奏会ではないコンサートでは、ここで拍手が起こることが まま あります 第4楽章は再び不幸のどん底のような悲しみに満ちた音楽が展開します 「ラメントーソ(嘆くように)」という記号はこの曲特有の指示です。たしかに、チャイコフスキーはこの曲の初演の1893年10月16日から9日後の25日に急逝してしまったので、自分の死を予感していたのではないか、という解釈もありました しかし、現代では「Pathetique」(日本では”悲愴”と訳されている)のロシア語本来の語意は「情熱的」という意味に近いことが人口に膾炙しています したがって、この曲を死と直接結びつけるのは正しくないでしょう

メナはN響の面々からドラマティックな演奏を引き出し、「ラメントーソ」を歌い上げました コントラバスの微かな響きの中、静かに音が消えていくラストは理想的な”余韻”を残しました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

    

    

    拍手は嬉しいけど  もう20時を過ぎたし シャワー浴びて一杯やりたいから 解放してちょ

参考までに、この日の公演の模様は6月26日(木)7:35pmからNHK-FM「ベスト オブ クラシック」で放送されます

         

今日はサントリーホールに東京交響楽団の定期演奏会を聴きに行きます

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藤岡幸夫 ✕ 戸澤哲夫 ✕ 安井みく ✕ 大西宇宙 ✕ 東京シティ・フィルでベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」、ヴォーン・ウィリアムズ:カンタータ「我らに平和を与えたまえ」を聴く

2025年06月07日 00時30分15秒 | 日記

7日(土)。9月15日(月・祝)15時から東京芸術劇場コンサートホールで開かれる「サラダ音楽祭  メインコンサート」のチケットを取りました プログラムは①モーツアルト:歌劇「魔笛」序曲、②同「ミサ曲 ハ長調 K.317」、③ぺルト「フラトレス~弦楽と打楽器のための」、④ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」第2組曲、⑤ラヴェル「ボレロ」です    演奏は合唱=新国立劇場合唱団、管弦楽=東京都交響楽団、指揮=大野和士です    なお ②のソリストは未定です。最大の目的はモーツアルト「戴冠ミサ曲K.317」をライブで聴くことです

ということで、わが家に来てから今日で3798日目を迎え、起業家イーロン・マスク氏が トランプ政権の減税法案を巡って「私がいなければ選挙に敗れていた」「恩知らず」などとトランプ大統領への批判を立て続けに投稿したことに対し、トランプ氏は「非常に失望している。イーロンと私は素晴らしい関係を築いていたが、今も良い関係かどうかは分からない」と述べ、2人の蜜月が一転 泥沼に陥った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

   

   民意を把握できない独裁者と 非情な金持ちの喧嘩別れは 政権発足直後から予想できてた

          昨日は諸般の事情により夕食作りはお休みしました 

         

昨夜、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第379回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」、②ヴォーン・ウィリアムズ:カンタータ「我らに平和を与えたまえ」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=コンマス就任30周年を迎えた戸澤哲夫、②のソプラノ独唱=安川みく、バリトン独唱=大西宇宙、合唱=東京シティ・フィル・コーア、指揮=藤岡幸夫です

藤岡氏はプレトークで、「戸澤哲夫の”哲”は哲学の”哲”で知的な印象ですが、実は彼は”鉄ちゃん”で、鉄道が大好きです 演奏旅行で地方に出かけた時など、我々が新幹線に乗るのに、彼は1時間に1本あるかないかくらいの鈍行列車に乗って遠回りしていました 彼は頭が良く、演奏も知的ですが、それだけでなく情熱的な面もあります そうした側面が皆さんに伝わるといいな、と思います」と語ります。さらに後半の曲について、「ヴォーン・ウィリアムズの曲は、イギリスでは頻繁に演奏されますが、日本ではほとんど演奏されません コンサートで取り上げるたびにチケットが売れないのですが、それを分かっていながら、素晴らしい曲なので楽団にやらせてくれ、と頼んでいます」と語ると拍手が起こりました 会場を見渡す限り9割くらいは埋まっていると思われます 「藤岡氏のイギリスもの」だからこそ、”売れた”のかもしれません

オケは12型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものシティ・フィルの並び コンマスは荒井英治です

1曲目はベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1806年に作曲、同年アン・デア・ウィーン劇場で初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「ロンド」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏を務める戸澤哲夫は東京シティ・フィルのコンサートマスターを務めて30周年を迎えます 荒井英治氏もメンバーである「モンゴーア・クァルテット」のヴァイオリン奏者としてアリオン賞などを受賞しています

藤岡の指揮で、ティンパニの4音連打により第1楽章が開始されます しばらくオーケストラの演奏が続き、やがて独奏ヴァイオリンがおもむろに入ってきます 予想していたより線が細い印象を受けます これは全楽章を通じて感じましたが、耳を傾けて聴いているうちに、美しい弱音を磨き上げて、ゆったりしたテンポでじっくり聴かせる演奏を目指しているのではないか、と思いました その一方で、カデンツァは知的な中にも静かな情熱を感じさせる見事な演奏でした 第2楽章ではいっそう繊細な演奏が展開し、第3楽章でも知的な演奏が繰り広げられました

満場の拍手とブラボーが飛び交うなか、カーテンコールが繰り返されました 戸澤はアンコールにJ.S.バッハ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番」から「ラルゴ」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手に包まれました

プログラム後半はヴォーン・ウィリアムズ:カンタータ「我らに平和を与えたまえ」です この曲はラルフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958)が1935年から36年にかけて作曲、1936年10月2日にハダースフィールドで初演されました。第1曲「アニュス・デイ」、第2曲「打ち響くがいい、太鼓よ!」、第3曲「融和」、第4曲「二人の退役兵のための哀歌」、第5曲「死の天使が飛び回っている」、第6曲「おお  大いに愛されている者よ」の6曲から成ります

ソプラノ独唱の安川みくは国立音楽大学、東京藝術大学大学院を経て、英国ギルドホール音楽院を最優秀の成績で修了 令和4年度文化庁新進芸術家海外研修員。ロンドン在住

バリトン独唱の大西宇宙(おおにし たかおき)はジュリアード音楽院修了。シカゴ・リリック歌劇場でデビュー 幅広いレパートリーで活躍中

オケは14型に拡大し、ハープ、パイプオルガンがスタンバイします 東京シティ・フィル・コーアの男女混声合唱 約100名がオケの後方にスタンバイします

白に銀をあしらった衣装の安川みくと、大西宇宙が指揮を挟んで左右に控えます

藤岡の指揮で演奏に入ります 冒頭から安川みくが透明感のある美しい声で「我らに平和を与えたまえ」と歌いますが、この歌唱が素晴らしい 次いで「打ち響くがいい、太鼓よ!」が東京シティ・フィル・コーアの合唱により力強く歌われますが、迫力満点でした 「融和」では大西が死者を哀悼する歌を深みのあるバリトンで歌いますが、この人の歌唱は説得力があります 管弦楽の演奏がクライマックスに達するのは「おお  大いに愛されている者よ」です 藤岡氏がプレトークで「まるでクリスマスのような賑やかな音楽」と表現した音楽がシンバル、トライアングル、鐘などの打楽器を伴って賑々しく演奏されます そして、最後はソプラノ独唱と合唱が「我らに平和を与えたまえ」を静かに繰り返し、消え入るように曲を閉じます

演奏時間にして約40分ほどの作品ですが、素晴らしい曲だと思いました 初めて聴きましたが、プレトークで藤岡氏が語っていたように「戦争や紛争が絶えない現代社会だからこそ、演奏する意義がある」という点で訴えてくるものがありました これもひとえに藤岡氏の「ヴォーン・ウィリアムズ愛」がソリスト、合唱、オケに伝播したからだと思います

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました

これだけのお客さんが入るのですから、藤岡氏には これからもどんどん 得意の”イギリスもの”を取り上げてほしいと思います

         

今日はNHKホールにN響6月度Aプロ定期公演を聴きに行きます

本日、toraブログのトータル訪問者数が330万IPを超えました これもひとえに普段からご訪問くださっているフォロワーの皆様のお陰と感謝しております これからも毎日休むことなく書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

【忘備録】toraブログの2025年6月7日現在のトータルアクセス数・ランキング

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小泉和裕 ✕ 大木麻理 ✕ 東京都交響楽団で芥川也寸志「オルガンとオーケストラのための”響”」、モーツアルト「交響曲第31番」、R.シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」を聴く

2025年06月06日 00時10分22秒 | 日記

6日(金)。新国立劇場から「2025/2026シーズン オペラ公演」チケット10枚が送られてきました さっそく手帳の予定欄に記入しておきました

合わせて会員サービスのチケットホルダーも同封されていました 写真はグルック「オルフェオとエウリディーチェ」公演のものですね

    

ということで、わが家に来てから今日で3797日目を迎え、トランプ米大統領は4日、ロシアのプーチン大統領と電話で協議したと明らかにし、プーチン氏がウクライナがロシア領内で仕掛けた無人機(ドローン)攻撃について、「報復措置を取らざるを得ない」と強く主張したと語った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

そもそも ロシアが一方的にウクライナを侵略したんだから ”報復”というのはおかしいんじゃね?

         

昨日、夕食に「豚バラと茄子の甘味噌炒め」「生野菜と生ハムのサラダ」「モヤシの味噌汁」を作りました 和食はヘルシーで美味しいですね

         

昨夜、サントリーホールで東京都交響楽団「第1022回定期演奏会Bシリーズ」を聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲第31番 ニ長調K.297 ”パリ”」、②芥川也寸志「オルガンとオーケストラのための”響”」、③R.シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき 作品30」です 演奏は②のオルガン独奏=大木麻理、指揮=小泉和裕です

オケは14型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの都響の並び コンマスは水谷晃、その隣は矢部達哉という2トップ態勢を敷きます 弦楽各セクションのトップを見渡すと、第2ヴァイオリンが双紙正哉、遠藤香奈子、チェロが古川展生、江口心一、ヴィオラが鈴木学、石田紗樹、コントラバスが池松宏といった錚々たるメンバーです

1曲目はモーツアルト「交響曲第31番 ニ長調K.297 ”パリ”」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)がコンセール・スピリチュアルの支配人ルグロの依頼により1778年に作曲、同年パリで初演されました モーツアルトの交響曲で初めてクラリネットが使用されています 第1楽章「アレグロ・アッサイ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

小泉が指揮台に上がりタクトを振り降ろしますが、指揮のスタイルは全く変わっていません 足を肩幅に開き、その姿勢のまま両足を指揮台に固定し、演奏が終了するまで全く動かしません タクトを持たずに指揮をする指揮者が増えている中で、彼は必ずタクトを持って両腕を大きく振って指揮をします 両脚の固定を含めて 唯一無二の指揮スタイルです

そうかと言って、硬直した指揮ぶりかと言えば全くそんなことはなく、モーツアルトらしい軽快なテンポで素晴らしい演奏を引き出します 驚くのは弦楽セクションの比類のない美しさです とくにヴァイオリンセクションの美しいアンサンブルは唯一無二と言っても良いくらいです これが都響の”弦の伝統”なのだろうと納得します オーボエ、フルートといった木管楽器もよく歌います 優雅な第2楽章に続いて、第3楽章の冒頭では、初演時にパリの聴衆にバカ受けしたというシンコペーションが爽快に演奏され、初演時の聴衆に想いを馳せました 適切なテンポ設定といい、メリハリの利いた演奏といい、古典的な美しさといい、申し分のない素晴らしい演奏でした

2曲目は芥川也寸志「オルガンとオーケストラのための”響”」です この曲は2024年に生誕100年を迎えた芥川也寸志(1925-1989)が、1986年のサントリーホール落成記念委嘱作品として作曲したオルガンと管弦楽のための作品で、同年10月12日にウォルフガング・サヴァリッシュ指揮NHK交響楽団、オルガン=林佑子により初演されました

オルガン独奏の大木麻理は東京藝大大学院修了。リューベック国立音楽大学、デトモルト国立音楽大学で研鑽を摘む 第3回ブクステフーデ国際オルガンコンクールで日本人初の優勝 マインツ国際オルガンコンクール第2位。2018年よりミューザ川崎シンフォニーホール・オルガニストを務めている

この曲は今年4月19日に坂入健司郎指揮新交響楽団の演奏(サントリーホール)で聴いているので、今回が2回目です

2階正面のパイプオルガン席に大木麻里がスタンバイし、不動の小泉の指揮で演奏に入ります

変化に富んだ作品ですが、大木麻里のトッカータ風のカデンツァが迫力があって素晴らしかった また、中盤と終盤に現れるオスティナート(同じ音型の繰り返し)が、師匠の伊福部昭を想起させ、深く印象に残りました

プログラム後半はR.シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき 作品30」です この曲はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)がニーチェの作品に基づき1896年に作曲、同年11月27日にフランクフルトで初演されました 第1曲「序奏」、第2曲「背後世界の人びとについて」、第3曲「大いなる憧れについて」、第4曲「歓喜と情熱について」、第5曲「墓の歌」、第6曲「学問について」、第7曲「快癒しつつある者」、第8曲「舞踏の歌」、第9曲「夜にさすらう者の歌」の9曲が続けて演奏されます

小泉の指揮で演奏に入りますが、冒頭のオルガン他の重低音に乗せて吹かれるトランペットの演奏が素晴らしい この部分を聴くと必ず、スタンリー・キューブリック監督映画「2001年宇宙の旅」(1968年)を思い出します 神秘的で、実に効果的に使われていました もう一つのクライマックスは第8曲「舞踏の歌」です 水谷のソロが素晴らしく、また水谷&矢部のコンマスによるデュオは、R.シュトラウスの「ばらの騎士」のラストにおけるオクタヴィアンとゾフィーの二重唱のように甘美に響きました

謎めいた弱音の演奏で曲が閉じられ、小泉がタクトを降ろすと満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されました

小泉 ✕ 都響は終始、集中力に満ちたメリハリの利いた演奏を展開しました   小泉は最近特に良くなってきたように思います 特にドイツ・オーストリアものを指揮する時に本来の実力を発揮するように思います

    

         

今日は東京オペラシティコンサートホールで、東京シティ・フィルのコンサートを聴きます

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清水ミチコ著「カニカマ人生論」を読む ~ 鋭い観察眼と「自分で自分にツッコミを入れる芸」に彩られた笑劇のエッセイ集

2025年06月05日 00時04分31秒 | 日記

5日(木)。わが家に来てから今日で3796日目を迎え、トランプ米大統領の肝いりの大型減税法案について、起業家のイーロン・マスク氏が3日、「この巨大かつ理不尽で、バラマキだらけの議会の歳出法案は、非常に不快で忌まわしいものだ。こんな法案に賛成票を投じた者たちは恥を知るべきだ。赤字を減らすどころか、むしろ増やしてしまう」と痛烈に批判した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

   

   マスク氏の努力も水の泡  トランプ政権の下で 米国は衰退の一致を辿るのが既定路線

         

昨日、夕食に「真鯛のアクアパッツァ」「生野菜と生ハムのサラダ」「シメジの味噌汁」を作りました アクアパッツァのアサリは大きめのを使いました。とても美味しかったです

         

清水ミチコ著「カニカマ人生論」(幻冬舎文庫)を読み終わりました 清水ミチコは1960年岐阜県高山生まれ。タレント。1986年にライブデビュー テレビ、コンサート、CD制作など多方面で活躍中。エッセイに「私の10年日記」「主婦と園芸」「私のテレビ日記」などがある

この作品は2022年8月に幻冬舎より刊行されたものを文庫化したエッセイ集です

著者は「あとがき」で次のように書いています

「タイトルにある『カニカマ』は、安くておいしく、栄養豊富という優秀な食品。日本が誇るモノマネ芸の元祖だと思っています 私だって本物のカニになりたかった けれども淡白で安価なスケソウダラに生まれてきたからには、そこはあきらめましょう。でも、『カニみたい。まるで』という夢のような一瞬を味わいたかったのです

そして、この本に収録されたエッセイは「2020年あたりからのコロナ禍を経験する中で、死というものを身近に感じて、自分史をまとめておきたくなったことから連載を始めた」ものであると書いています

本書には著者の少女時代から現在に至るまでの46の小さなエピソードが収録されています

各エッセイに共通するのは著者の鋭い観察眼と「自分で自分にツッコミを入れる芸」です

例えば、彼女が「神」と崇める矢野顕子がNHKラジオ番組のレギュラーに選ばれたことに対して、「NHKラジオって見る目があるんだな」と思い、

「あのインテリ層のお爺さんたちが、このサブカル少女の良さを見抜き、レギュラーに選んだとはえらいもんだ、と感慨にふけりました(←偏見と上から目線)」。

と書きます この ( ) 内が突っ込みです。この手のツッコミがあちこちに現れて、思わず吹いてしまいます

芸能界に出てからは永六輔、タモリ、桃井かおりなど超人気タレントとの出会いや交流が紹介されていますが、可笑しいのは「永六輔さん」というエッセイです

ジァンジァンで初ライブを開いた時のこと。20数人の観客を前にガチガチに緊張してステージに立ってモノマネをしたが、一人だけ身をよじって大笑いをしていた人がいた それが永六輔さんだった 翌日連絡をもらい会って話を聞くと、褒めてくれるのかと思っていたら逆で、「礼儀がなってない そもそもモノマネの歴史を知っているのか」と注意の嵐に遭った 最後に永さんが残した言葉は、「とにかく、ひとことで言うとね。キミは芸はプロだけど、生き方がアマチュア」でした これには声を出して笑ってしまいました

このエッセイ集は面白いエピソードだけではありません 「ガムの味わい」というエッセイには次のようなエピソードが書かれています

20代の頃、何をやってもうまくいかないので、バイト先の女主人(裕福で美人、教養もある林さん)に「一生懸命やってるつもりなのに、何もかもうまくいかないんです」と弱音を吐くと、慰めてくれるかと思ったら、「どんな人だって幸せにはなれないようになっているのよ。世の中はむしろ、うまくいかないようにできていると知ってた方がいいですよ」というようなことをあっさり言われてビックリした 林さんは続けて、「だから、立てた予定が思い通りうまくいった時や、たまにいいことがあったなんて時には、うんと喜ぶようにするといいです」と語ったそうです 著者は「この言葉を、いまだに何年もガムのように噛んでいます」と書いています

笑わせえておいて、時にしんみりとさせる。笑いとペーソスのエッセイ集です 人生をエンジョイしている人、人生を悲観的に見ている人、人生をまともに考えたことがない人、幅広い読者にお薦めします

         

今日から4日連続コンサートです 9日ぶりのコンサートは サントリーホールで開かれる 都響Bシリーズ公演です

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白川尚史著「ファラオの密室」を読む ~ 紀元前14世紀の古代エジプトを舞台とした驚きのミステリーに脱帽

2025年06月04日 00時04分55秒 | 日記

4日(水)。わが家に来てから今日で3795日目を迎え、「わが巨人軍は永久に不滅です」の名文句を残し、読売ジャイアンツで選手・監督として活躍した「ミスタープロ野球」長嶋茂雄氏が3日午前、肺炎のため東京都内の病院で死去した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

   

   米国のトランプと ロシアのプーチンの ジャイアン的自己中気質は 永遠に不滅です!

         

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました 本来は隔週金曜日のローテですが、今週はコンサートがあるので娘の熱望により3日間繰り上げました 天つゆ(出し汁、醤油、みりん)を作り、大根おろしを乗せて食べましたが、”外カリカリ内ジューシー”に出来て美味しかったです

         

白川尚史著「ファラオの密室」(宝島社文庫)を読み終わりました 白川尚史(しらかわ なおふみ)は1989年神奈川県横浜市生まれ   東京都在住。弁理士。東京大学工学部卒業。2012年に株式会社AppReSearchを設立し、代表取締役に就任。2020年に退任し、現マネックスグループ取締役兼執行役    本作で第22回「このミステリーがすごい!」大賞・大賞を受賞し、本作で2024年にデビュー

物語の舞台は紀元前14世紀の古代エジプト 半年前に起こった王墓(ピラミッド)の崩落事故で命を落としてミイラにされた上級神官書記のセティは、心臓に欠けがあるため、冥界へ行く審判を受けることが出来ない 欠けた心臓を取り戻すために現世に舞い戻ったが、期限は3日だけ なぜ心臓が欠けたのか? セティは死の真相を探るうち、密室状態のピラミッドから先王・アクエンアテン王のミイラが消失するという大事件に直面する タイムリミットが迫る中、セティはミイラ消失事件の謎を解き明かし、審判を受けることが出来るのか

この小説は、死んでミイラになった人物が探偵役となって謎を解くという奇想天外なミステリーですが、なぜか何の不自然さもなくすんなりと頭に入ってくるのが不思議です その要因の一つは、主要な登場人物のキャラクターが魅力に溢れているからだと思います

セティは書記長を務めるイセシの子ですが、本当の親子ではなく、イセシが奴隷だった子どもにセティと名付けて育て上げたのです セティは王墓の崩落事故で命を落としますが、幼馴染でミイラ職人のタレクによってミイラにされます タレクも奴隷出身でした。タレクによってセティの下半身は木製の義肢や義体に変えられ、差し歯や義眼が施されます。その過程でタレクはセティの秘密を知ることになります 一方、ハットウシャ生まれの少女カリは、誘拐されエジプトでピラミッド造りの奴隷として酷使されています タレクとカリが出会い、さらに現世に戻ったセティが加わり、先王のミイラ消失事件の謎を解明することになります

先王のミイラ消失事件の謎が解かれ、最後に審判の場でセティの秘密が明らかになります 爽やかなラストです

「解説」を2人の識者が書いているのも異例です 一人はエジプト考古学者・工学博士の吉村作治氏で「エジプト考古学者の想像の域を超えた斬新な切り口」と指摘しています もう一人はミステリー評論家の千街晶之氏で「この時期のエジプトでなければ成立しない、第一級の歴史ミステリー」と称賛しています

千街氏は本作を「日本で書かれた長編ミステリーとしては文明史上最古の時代を扱ったと思われる」と書いていますが、まさか、紀元前14世紀の古代エジプトを舞台としたミステリーがこんなにも面白いとは思いもしませんでした

マジで「このミステリーはすごい」と叫びたくなる傑作です 最近読んだ本では2022年本屋大賞を受賞した逢坂冬馬「同志少女よ、敵を撃て」以来の傑作です ミステリーファンに限らず、幅広い読者にお薦めします

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6月3日はモーツアルトの全作品目録を作ったケッヘルが死去した日 / 柚月裕子著「教誨」を読む ~ 幼女2人を殺めた女性死刑囚が最期に遺した言葉「約束は守ったよ、褒めて」の意味は?

2025年06月03日 00時01分04秒 | 日記

3日(火)。今日はオーストリアの音楽学者、作曲家、植物学者、鉱物学者、教育者だったルートヴィヒ・フォン・ケッケルが死去した日です ケッヘルは1800年1月14日に生まれ、1877年6月3日にウィーンで没しました 彼は1862年にモーツアルトの全作品目録を出版、そこで作品に振られた番号は「ケッヘル番号(K.〇〇)」として現在に至るまで使われています

今日はモーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番 K.493」が完成した日でもあります 今から239年前の1786年6月3日(モーツアルト30歳)に完成しました 当時、モーツアルトは歌劇「フィガロの結婚  K.492」が完成したばかりでした 前作(第1番 K.478)が演奏困難だったため、ホフマイスター社からの出版が不可能となり、アルタリア社から出版されました しかし、この曲もアマチュアには演奏が難しかったようで、1788年のウィーンの演奏会評は、「他の曲なら普通の演奏でも済むが、このモーツアルトに限っては、並のアマチュア演奏家やいい加減な演奏ではまったく聴けたものではない」と不満を述べています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「アレグレット」の3楽章から成ります

大好きなフォーレ四重奏団によるサイン入りCDを聴いて、モーツアルトの名曲を名演奏で楽しみたいと思います

ということで、わが家に来てから今日で3794日目を迎え、関税政策が思い通りにいかない状況を皮肉る「TACO」(Trump  Always  Chickens  Out = トランプは いつも びびって やめる」)という造語がアメリカ国内で生まれ、トランプ大統領が苛立ちを見せている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

 「とらや」の裏の工場のタコ社長がトランプに文句を言ってるよ カンゼー止めろ タコ野郎が!

         

昨日、夕食に「アスパラガスの豚肉巻き」「生野菜と生ハムのサラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました 娘が仕入れてきたアスパラを出来るだけ早く食べたいので、このメニューにしました 太いので茹でてから肉を巻いて焼きましたが、美味しくできました

         

柚月裕子著「教誨」(小学館文庫)を読み終わりました 柚月裕子(ゆづき ゆうこ)は1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー   13年「検事の本懐」で第15回大藪春彦賞を受賞。16年「孤狼の血」で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編部門)を受賞   他の作品に「ミカエルの鼓動」「風に立つ」などがある

吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚・三原響子から身柄引受人に指名され、刑の執行後に東京拘置所で遺骨と遺品を受け取る   響子は自分の娘・愛理を含む女児2人を殺めたとされ、死刑判決を受けた 事件当時、「毒親」と散々に報じられた響子と、香純の記憶にある響子とは全く重なり合わなかった 香純は響子の教誨師(きょうかいし)だった小平市・高圓寺の下間将人住職の力添えを受けて、遺骨を三原家の墓に収めてもらうために、菩提寺がある青森県相野町を単身訪れる 香純は、響子が日記に最期に遺した言葉「約束は守ったよ、褒めて」が気になっていた 響子は誰に向けてこのメッセージを残したのか?   どういう約束だったのか? 香純は、相野町・松栄寺の住職・柴原に津軽日報の記者・樋口純也を紹介され、彼の協力を得て生前の響子と関りがあった人々と会い、響子の残した言葉の意味を探るのだった

本書を読んで一番感じたのは狭い村社会における監視の目と、親子間における精神的・肉体的虐待の連鎖です 親は子に対し「あなたのためを思って」として干渉するが、実は自分の保身の為であることが往々にしてある それは別の言葉でいえば「洗脳」と言ってもよいかもしれない 親による子の束縛は次の世代に連鎖していく。そしてそこに不幸が生じる   響子は約束を守った。しかし、彼女は結局死刑になってしまった。約束に何の意味があったのか

これまで読んだ同じ著者の小説と違い、ストーリー的にちょっと無理があるのではないか、と思った箇所がいくつかあります 一つだけ挙げると、物語の終盤における響子の回想で、娘・愛理と一緒に かげろう橋の上にいるシーンです

「愛理を抱きしめていた響子は、異様な臭いに気がついた。腐ったなにかに酢をかけたような、吐き気をもよおす臭い。それは愛理からしてくる 服は食べこぼしと思われる染みだらけで、靴はボロボロだった。髪は汚れて、濡れたようにべっとりしている。響子はわが目を疑った。なぜ、愛理はこんな汚い格好をしているのか・・・

身体が辛い時だったので娘の世話も十分に出来なかったというのは想像できますが、それにしても、毎日同じ家で生活を共にしているのに、そんなことにも気が付かなかったのか・・・と不自然さを感じました

柚月ファンの一人としては残念ですが、次回作に期待したいと思います

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エリザベート王妃国際コンクールで久末航が2位、亀井聖矢が5位に入賞 / 朝日・吉田純子編集委員の「『対話を止めない』音楽家の闘い」を読んで / 中山七里著「棘の家」を読む ~ 家族全員が容疑者

2025年06月02日 00時07分28秒 | 日記

2日(月)。「ぶらあぼONLINE」によると、ベルギーのブリュッセルで開催されていたエリザベート王妃国際コンクール(ピアノ部門)は、現地時間の5月31日、6日間にわたるファイナルの全審査が終了、深夜に表彰式が行われ、久末航(ひさすえ わたる)が第2位に、亀井聖矢(かめい まさや)が第5位に入賞しました   なお、ファイナルで協奏曲のバックを務めたのは大野和士指揮ブリュッセル・フィルハーモニックでした ファイナルに進んだ桑原詩織、吉見友貴とともに、日本人コンテスタントにとっては力強い心の支えになったことでしょう

また、同じ情報筋によると、アメリカ・テキサス州で5月21日から開催されていた第17回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールは、3日間にわたる予選ラウンドに28名のピアニストが出場(2名は棄権)。審査の結果、クォーター・ファイナルに進出する18名が発表されたが、日本から参加した重森光太郎、山崎亮汰の両名は惜しくも通過はなりませんでした 次のチャレンジに期待しましょう

ということで、わが家に来てから今日で3793日目を迎え、米紙ワシントン・ポスト電子版は5月31日、ロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官が率いる「米国を再び健康に」委員会がまとめた報告書に、存在しない研究が引用されており、人工知能(AI)が使われた複数の痕跡があるとの分析を報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

トランプ政権らしいズサンな仕事ぶりだな  ケネディ氏は就任時から閣僚の資質を問われてたしね

         

昨日の朝日新聞朝刊のコラム「日曜に想う」に、吉田純子編集委員が「『対話を止めない』音楽家の闘い」という見出しのエッセイを寄せていました 吉田さんのエッセイの核心は、米トランプ政権による名門大学留学生の排除に対する批判と、ロシアの巨匠ピアニスト、アレクセイ・リュビモフ氏(80)の芸術家としての矜持です エッセイの概要は以下の通りです

「リュビモフ氏は『ロシアの芸術が真に豊かに発展するには、西側の知性との対話が不可欠だ 自分たちの論理の中に閉じ、時代を逆行している今のロシアを訪れるのは苦しいことだ それでも、私自身がこの地で育ててきた対話の潮流を、今止めることはできない』と語り、現在住んでいるパリから、教授を務めているモスクワ音楽院(古楽クラス)に頻繁に戻り、後進の指導にあたっている 一方、トランプ大統領が排外性を強めていた3月、ハンガリー出身のピアニスト、アンドラーシュ・シフ氏は米国での今季のツアーを中止するという声明を出した 『私たち芸術家は、社会から隔絶された象牙の塔に住んでいるのではない』と語る 留学生の排除は、国境も分野も越え、ともに世界を思考する知性の連係を分断することに等しい 人間性を顧みぬ社会の先には、AIに人間が支配される荒野しか見えない

トランプ大統領の名門大学留学生の排除政策については、白人の労働者層を中心的な支持基盤とする政権の「反知性主義」に基づくーという見方が多くの識者の見解のようです 要するに、「俺たちは名門大学出身のエリートたちに酷い目に遭わされてきたんだ 今こそ復讐する時だ」という考え方です こういう考えを植え付けて煽っているのがトランプ大統領というわけです

また、芸術と社会(政治・経済も)という関係でいえば、シフ氏の言葉通り「芸術家は、社会から隔絶された象牙の塔に住んでいるのではない」、つまり「芸術家は純粋な芸術活動だけやっていればよいということではなく、社会の出来事(政治や経済も含めて)と無関係ではいられない」ということだと思います

今年2月13日付日経によると、トランプ大統領は12日、SNSへの投稿で、米首都ワシントンの文化施設ケネディ・センターの理事長に就任したと発表しました 従来は超党派だった理事も自身の側近で固めました。リベラル派の価値観に近い公演内容に大統領が不満を持ったための措置であるとされています ケネディ・センターはケネディ元大統領を記念する施設で、1971年に開館、音楽や演劇など年間約2000の公演が開催され、約200万人が訪れています 米メディアによると、大統領が理事を任命し、予算はチケット収入や寄付、連邦政府の補助金で賄われています この人事は、明らかに「米国大統領はあらゆる権限を持ち、何でも出来る」という誤った信念に基づく独裁者トランプの独断的な行動以外の何物でもありません

シフ氏だって、「アメリカさえ良ければそれで良い」「オレが王様だ。オレ様の言うことを聞け」という独裁者が大統領の国に行ってまで、コンサートをする気にはならないでしょう

シフ氏以外の指揮者やアーティストもアメリカで演奏することを拒否すればよいと思います 音楽や演劇好きの国民には気の毒ですが、そうした行動によって、根本的な原因が、自分たちが選んだ大統領にあることを認識することに期待したいと思います

         

中山七里著「棘の家」(角川文庫)を読み終わりました 中山七里は1961年 岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し2010年にデビュー 著書に「連続殺人鬼カエル男」「御子柴弁護士」「刑事犬養隼人」「ヒポクラテス」「作家刑事毒島」各シリーズなど多数

クラス内のイジメにも目を逸らす”事なかれ主義”の中学教師の穂刈だが、彼の小学生の娘・由佳がイジメを苦に飛び降り自殺を図り、一転して被害者の親になってしまう 学校は隠蔽に走り、元教師の妻・里美は加害児童への復讐を誓う 一方、中学2年の息子・駿は穂刈を責め立てる 自身も怒りが収まらないが手詰まりの穂刈は、テレビ局の誘いに乗り加害児童の名前を告げてしまう テレビやSNSを通じて加害者家族の情報が拡散され、炎上沙汰になる  そうした中、加害児童・彩が小さな公園で絞殺死体で発見される 穂刈家の全員が殺人の動機を持っているなか、意外な人物が容疑者として浮上する

いつものことながら、最後まで真犯人が分かりませんでした 後で振り返ってみると、確かに伏線が巧妙に張めぐされています しかし、今回は「殺された被害者との関係からして、いくら何でも そこまでやるか?」と疑問に思ったことも確かです

この小説は犯人捜しのミステリーの形を借りた社会批判ではないか、と思います

それは著者の次のような言葉に表われています

「イジメの存在を学校側が隠蔽しようとするのは、それによって教育委員会における自分たちの評価が下落するからだ 各自治体の教育委員会は校長以下教員たちの人事権を掌握している。即ち、彼らから低い評価を下されたら僻地転任や降格など相応の処遇を覚悟しなければならない

「昨今、イジメ被害が社会問題化し、文部科学省はイジメをなくすのではなく正面から取り組む姿勢を明らかにした しかし、それはあくまで監督官庁の所信表明止まりであり、実際にはイジメが発覚した学校に対する有形無形のペナルティは未だに存続している 各学校の人事権を掌握する教育委員会の面々を刷新しなければ、取り組み方を一変させることなど無理に決まっている

また、マスコミによる事件の加害者、被害者への行き過ぎた取材についても、この作品に限らず批判を加えています

「中山七里は七人いる」と言われる中山の社会派ミステリー作品としてお薦めします

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