今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

厄介なズイコーレンズの巻

2021年12月09日 13時30分00秒 | ブログ

何もズイコーレンズだけの事ではないのでしょうけど、私はズイコーレンズの作業が多いので感じることですが、特に20mm、25mm、などのレンズに曇りが多いですね。このレンズは20mm f3.5ですけど見事に曇っています。後玉は過去に開けようとした形跡がありますね。

前群も曇っています。

 

 

曇りやすいのはこのレンズで、コーティングの劣化曇りでガラス自体は曇っていません。

 

また、ヘリコイドが異常に重い状態でした。グリスを入れ替えて後玉も分解清掃をしてあります。

 

三段ロケット式の組立方式。

 

 

一番外側にあるレンズの劣化が大きいようです。コーティングが痛んでいます。

 

 

殆んどの方が異口同音に「防湿庫に入れてたのに」と言われます。防湿庫に長期保管するより、実用をした方が或は劣化が少ないのかもしれません。まぁ、厄介なレンズたちです。

 

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不調の61ダイバーの巻

2021年12月08日 18時20分00秒 | ブログ

以前に仕上げたセイコー61ダイバー6105-8110が不調で戻りました。歩度が30秒以上遅れ気味となるようです。搭載キャリバーは6105B(6振動)で基礎キャリバーは6106Aと61ファイブデラックスに搭載の機械ですから信頼性は高いですが・・オーナーさんからは自動巻きのローターの動きが悪いので巻上げが足りないのでは? とのご指摘ですので点検します。

確かにローターの動き始めの切っ掛けが少しスムーズではないか? とも思えますが、かと言って不良と言うほどでもありません。ベアリングの摩耗も影響があると思いますが、この機械はベアリングが伝エ受にカシメめられているのでベアリングのみの交換は出来ません。仮に出来てもベアリングがありませんけど・・今回は洗浄注油で組み直してみましたが、あまり変化はないようです。

タイムグラファーのグラフを見ると、アンクルの出ヅメのタイミングがきれいではありません。そこで、アンクルを取り出して洗浄をしてみました。しかし、改善はしません。あとはヒゲゼンマイを疑います。ヒゲ棒とヒゲの関係を調整したところグラフが安定しました。使用過程のショックなどで調整が外れたようです。

しばらく実用での歩度精度をテストして行きます。いつかは手に入れたいと思っていたセカンドダイバーですが、現在では相場が高騰しているようで入手は難しいでしょうね。

 

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ETAの電池交換の巻

2021年12月05日 15時00分00秒 | ブログ

最近、腕時計をやっていませんでしたが、近々予定があるので目を慣らす意味で電池交換をしています。

 

スイスのETA 980-163は小さなユニットですが15石が使われていて消耗品ではありませんね。よって電池交換だけではなく、受け石に注油をしておきます。針と文字盤を分離します。

 

両面に注油と巻き芯にも注油をしました。新しい電池を入れます。しかし、大きなケースにこの機械。

 

このキャリバーは現在、新品の入手が出来ないようです。オークションなどで、同じユニットが使われているジャンクを探しておいた方が良さそうです。

それと最近カメラ修理用でメガネを変えたのですが、腕時計には全く倍率が合いませんでした。メガネ装着用のキズミを新調しなくては・・

 

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リペイントPEN-Fの里帰りの巻

2021年12月04日 13時40分00秒 | ブログ

ご常連さんから、過去に私がリペイントをしたPEN-Fが戻って来ました。あぁ、当時はきれいに塗ってましたね。カメラはミラーアップ状態でしたが、巻上げテンションが足りない状態でした。

 

まず、2つの問題がありました。1つは巻上げたギヤが固定されずに僅かに戻ってしまう。この場合はシャッターが切れないはずですが、ギリギリのタイミングでは切れてしまうことがあります。点検するとギヤの逆転を止める爪のカムの調整が外れていました。本来は工場で調整後に緩み止めの目的でエポキシ接着をしてあるのですが、それが緩んだようです。

2つ目の問題は、シャッタースピードを制御するコントロールレバーが折れていることです。これはこのカメラの設計上の宿命で、右側のハンマーが反時計回転をしてコントロールレバーを叩いているので、経時的に金属疲労で折れてしまうのです。これは現存のどの個体にも必ず発生します。いずれこの部品の破損でPEN-Fは動かなくなるでしょう。ですから余計な空シャッターは切らないこと。

設計者の米谷さんからは、「交換部品を用意して使うこと」と言われています。メーカーさんは無理として、どこかでアフターパーツを作ってくれないでしょうかね? 今回の交換用ガバナーですが、折れたコントロールレバーのみ交換と思いましたが、本来はカシメで分解不可ですので、ASSYで交換しようと思います。

問題はスローガバナーが良品かです。こちらも設計の問題で、の左の薄いギヤが右のギヤを削ってしまい、低速で止まってしまう症状となります。僅かに摩耗はありますが、まずまず良い状態の方です。超音波洗浄後に注油をして組み込みます。

使用したスローガバナーは製造時期が近いためマッチングの問題はありませんでした。作動も良好です。

 

組立完成。トップカバーを取り付けます。

 

 

塗りのカバーは傷を付けないように神経を使います。

 

 

コントロールレバー折れの問題はPEN-Fでは避けられない問題で、PEN-FTでは折れが発生しないような改設計をされているようですが、それでもFよりは頻度は少ないですがFTでも折れる個体は折れます。メーカーではモータードライブの試作検討もされていたようですが、この作動原理であれば高速連射によるコントロールレバーへのストレスは大きく、耐久性を保証できなかったのでは? とも思われます。

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