今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

過渡期の初期PENの巻

2021年12月19日 15時00分00秒 | ブログ

シャッターボタンなど初期の三光から変更箇所が出てきた頃のPENですね。片耳よりもシャッターボタンの方が早く変更されたわけか・・オーナーさんから、「駒数計が72枚以上になっても止まらない」とのご指摘がありましたが、歯車の歯数差で動いているだけですから止まらないですね。

この頃の個体は後玉の曇りが必ずあるはずです。

 

 

裏蓋をどうしたの? 外側のへこみを内側から叩いてまた凹ませた?

 

 

すみません。急ぎの修理が入ってしまって・・作業はすでに終えていてUPがまだでした。トップカバーを分離するとファインダーの対物レンズが飛び出して来ましたよ。この個体は過去に修理をされたサインがありましたが、何を修理したのやら・・

ピントリングのイモネジ1本のスリ割りが殆んどなく緩めることが出来ません。緩めますけど・・気が付くのはピントリングのローレット幅が普通のものより広いと思いますね。仕様なのか途中で別の時期のものに交換をされているのかは不明。

では、ダイカスト本体と部品を洗浄をして組み立てて行きます。

 

 

この頃のスプールのスリップ機構は内径に拡張バネが入っている構造ですので、経時的に樹脂が割れている個体が多いです。この個体は無事でしたが、まぁ、時間の問題です。この後、軸側にコイルスプリングを仕込む構造に変更されて、以後は他の機種も同じスタンダード仕様となります。

オーナーさんから駒数計の動きについてご指摘がありましたが、40枚のギヤと41枚のギヤの差で駒数針を動かすシンプルな構造のため巻き止めはありません。

 

すでに巻上げダイヤルカバーはネジ留め式で、駒数ギヤにはウェーブワッシャーが入る(三光は入らない)仕様に変更されています。ただし、組立用の対角2穴は開けられていません。

 

シャッターの構造はシンプルですので故障は少ないです。この個体はシャッター羽根にめくれがありますね。

 

ガバナーの輪列を分離して洗浄組立します。

 

 

さて、問題のファインダー。対物レンズは樹脂製ですので清掃には注意が必要です。その他、バラバラ接着が外れて来ます。

 

すべて清掃をして接着しました。厚紙製のダストカバーは何度かの剥がしでヨレヨレですので作り直しておきます。

 

この個体は最初のチェック時に巻き上げでチッチッチッというラチェット音がしませんでした。原因は、この頃は逆転防止爪が2枚になっていますが、その1枚のバネが掛かっていませんでした。何を整備したのかな?

 

レンズは過去に何度か清掃を受けていますね。後玉のコーティングは・・

 

 

巻き戻し軸のガタが大きいです。本来は調整ワッシャーが入っていたはずですが、途中でなくしているのです。追加をしておきます。

 

三光ではない片耳という過渡期の個体も貴重ですね。これで完成です。

 

 

その「急ぎの修理」ですけどね。私がオーバーホールをして中古カメラ店様から販売されたローライ35ですが、カメラが到着したら巻き上げが出来ないというクレームで戻って来ましたよ。そんなはずは・・早速分解してみると・・あ~、巻上げの樹脂ギヤの歯が欠けています。

分離して見ると・・これはレンズを沈胴させたままで巻上げをしてしまったということです。このカメラの操作に慣れていない人のミスではありますが、そう簡単に壊れないよ。それをクレームで戻すかな? このギヤは破損が多く、調達に苦労するのに。

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ローライコードⅤbが動かないの巻

2021年12月19日 13時00分00秒 | ブログ

では、通常の作業です。ローライⅤb ですが、シャツターが全く作動しません。ではシンクロコンパーユニットを分離して見て行きます。

 

通常はシャッター羽根の張り付きが原因の場合が多いですが、洗浄をしても改善しません。問題は掛かり留めが怪しいです。

 

アンクル、ガンギ車の動きも影響していそうですので各部の部品の洗浄と注油をします。左端はシンクロ接点です。

 

作動するようになりましたが、低速不調とセルフタイマーも不調でした。分離洗浄で注油をして改善しました。シンクロ接点部を分解しているので導通をチェックしておきます。

 

ローライコードでの持病でチャージレバーの動きが重い(渋い)個体がある。原因は摺動面の偏摩耗なんでしょうけど、レバーの復帰はシャッター側のバネによるだけのため、グリスなどを塗布するとレバーの復帰が遅いか戻らない場合もありますので潤滑には検討が必要です。

シャッターに後玉を取付けて本体にセットします。

 

 

Ⅴbの割にはミラーの劣汚れが目立ちますが、今回は交換せず清掃で行きます。

 

 

ビューレンズはお約束の曇りがありますので分解清掃をします。

 

 

いつも思うのですが、チャージノブの裏側に取り付く薄ナットですが、裏側(画像では表にしてある)にスリ割りが切ってありますが、さて、そのスリ割りにどうやってドライバーを入れるのか? たぶん凹のような特殊工具でロックするのでは? とも思いますが、今度作って見ましょう。

基本的に信頼性の高いシャッターですので、致命的な不具合は無くメンテナンスで復活する場合が殆んどと思います。スクリーンにスプリットイメージも装備していて使いやすい機種と思いますね。

 

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