今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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リペイントPEN-Fの里帰りの巻

2021年12月04日 13時40分00秒 | ブログ

ご常連さんから、過去に私がリペイントをしたPEN-Fが戻って来ました。あぁ、当時はきれいに塗ってましたね。カメラはミラーアップ状態でしたが、巻上げテンションが足りない状態でした。

 

まず、2つの問題がありました。1つは巻上げたギヤが固定されずに僅かに戻ってしまう。この場合はシャッターが切れないはずですが、ギリギリのタイミングでは切れてしまうことがあります。点検するとギヤの逆転を止める爪のカムの調整が外れていました。本来は工場で調整後に緩み止めの目的でエポキシ接着をしてあるのですが、それが緩んだようです。

2つ目の問題は、シャッタースピードを制御するコントロールレバーが折れていることです。これはこのカメラの設計上の宿命で、右側のハンマーが反時計回転をしてコントロールレバーを叩いているので、経時的に金属疲労で折れてしまうのです。これは現存のどの個体にも必ず発生します。いずれこの部品の破損でPEN-Fは動かなくなるでしょう。ですから余計な空シャッターは切らないこと。

設計者の米谷さんからは、「交換部品を用意して使うこと」と言われています。メーカーさんは無理として、どこかでアフターパーツを作ってくれないでしょうかね? 今回の交換用ガバナーですが、折れたコントロールレバーのみ交換と思いましたが、本来はカシメで分解不可ですので、ASSYで交換しようと思います。

問題はスローガバナーが良品かです。こちらも設計の問題で、の左の薄いギヤが右のギヤを削ってしまい、低速で止まってしまう症状となります。僅かに摩耗はありますが、まずまず良い状態の方です。超音波洗浄後に注油をして組み込みます。

使用したスローガバナーは製造時期が近いためマッチングの問題はありませんでした。作動も良好です。

 

組立完成。トップカバーを取り付けます。

 

 

塗りのカバーは傷を付けないように神経を使います。

 

 

コントロールレバー折れの問題はPEN-Fでは避けられない問題で、PEN-FTでは折れが発生しないような改設計をされているようですが、それでもFよりは頻度は少ないですがFTでも折れる個体は折れます。メーカーではモータードライブの試作検討もされていたようですが、この作動原理であれば高速連射によるコントロールレバーへのストレスは大きく、耐久性を保証できなかったのでは? とも思われます。

トミーのリペイント (sakura.ne.jp)

 

 

 


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