今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

一式戦とローライ35の巻

2020年10月12日 15時15分00秒 | ブログ

作業が一段落しましたので、気になっていたエフトイズの隼一型をイオンのお菓子売り場で買って来ました。幾つかのバリエーションがありますが幸い飛行第六四戦隊の加藤部隊長機が出ましたよ。色々と可動ギミックがあるので部品点数は多く、簡易組立の食玩という本来の作りからは外れて来ている気がします。

 

残念なことに垂直尾翼に糊のようなものが付着しています。溶剤を付けると塗装まで落ちてしまうこと必定。残念・・

 

右は約30年前に製作したプラモですが、排気管から隼二型乙ですね。モデルの表現もありますが、一型は九七戦を伸ばしたような日本美人のようにか細いのが特徴です。二型からは翼形状の変更や発動機をハ25からハ115に換装により零戦に近いシルエットになりますね。プラモ初期のキットはおもちゃ的な傾向で可動部分を多くした設計が多くエルエスの零戦二一型など1/75でキャノピーが開閉して翼端が折り畳めるようなキットもありました。しかし、1/100では、可動部分を無くして剛性を確保しつつディティールに拘った方がスッキリしますね。

これは古いハセガワの隼二型。1/32スケールだと圧倒的な存在感です。この上に1/24スケールと言うのもありますが、日本では一般的ではありません。(昔バンダイなどが出していました)本来は二型乙のキットですが、排気管の形状などを直して二型甲としています。エンジンのカウルフラップはアルミ板で作り直してあります。全開ですから交戦中の姿です。

二型甲の特徴はプロペラ後ろの一型から継承した環状滑油冷却器です。真鍮線を半田付けで製作してあります。それに伴ってカウリングの開口面を大きく広げていますが本来の甲型にはなっていません。隼は私の地元、陸軍立川飛行場で各種の試験が行われた機種ですので子供の頃から思い入れが強いです。(零戦よりも)一度は性能不足で落第になりかけたキ43ですが、開戦に伴う長時間の船団護衛の出来る戦闘機が必要な陸軍に急きょ正式採用された機体です。生産初期に配備された機体の中では、敵機と交戦終了後、基地に帰投する飛行時に突然翼が折れて墜落した機体もあるほど機体強度に問題があり、実戦部隊では怖い飛行機だったようです。しかし、与えられた機材を研究して優れた部分の性能を活かした戦闘方法に努力したのが加藤建夫部隊長でした。

では、まったりとローライ35Sです。この個体は状態が非常に良いと思います。但し、シューが打撃で曲がっています。

 

まずは直しておくよ。材質が平板なのでPENのように曲がりを直してもクラックが入ることはありません。

 

 

このカメラはレリーズボタンのロックはありませんので、誤作動を防止するためレリーズボタンは非常に深くなっていますが、それにしても深いなぁこの個体は・・何度かシャッターを切っている間にシャッターが切れなくなりました。

 

外観やレンズも非常にきれい。トップカバーのへこみもありませんね。

 

 

露出メーターもかなり元気です。

 

 

では、定番のメンテナンスをして行きますが、巻上げギヤ、ファインダーの分解清掃などをして行きます。で、トップカバーを開いてみると・・ネジが2本外れていました。巻上げギヤの地板には強い力が掛かるのです。この個体にはネジロックがしてありませんでした。生産は後期なのでしょう、樹脂製が殆どのギヤは少数派の真鍮製です。は初期のジャーマニーでは2か所にダボがカシメられていますが後期には地板の一部を起こした簡易的な設計になりました。これの意味? 巻上げギヤがトップカバーと接触しないためにギヤより僅かに突起高さが高くなっています。

例のレリーズボタンの深さですが、これは個体差があるので画像の小さなワッシャーの枚数で調整されていますが、通常は1枚ですが、この個体では2枚入っています。しかし、まだ高さが足りません。

 

シャッターのガバナーをメンテナンスしておきます。アンクルとガンギ車はここにあります。作動状態が分かりますか?

 

で、外観、シャッター、レンズなど素晴らしい状態の個体ではあるのですが、やはりシャッターが切れなくなる問題が続いています。原因はここです。トップカバーと本体とのネジ穴が大きくズレています。比較的正確なローライ35の工作精度から言って珍しいです。トップカバー側はプレスですから位置ズレはないとすると本体のダイカスト側の穴加工が不良と思います。これによってトップカバーが浮いてしまい、その分、レリーズのストロークが足りなくなっているのです。

ネジ穴がズレているためトップカバーの取付位置が浮く⇒するとのレリーズシャフトがリンケージを押し切れず⇒のロックが外れずシャッターが切れない。と言うことですね。ネジ穴位置がズレたために次々と影響を受けているのです。

 

拡大するとこうです。リンケージはカシメで組まれていますし、どこかでストローク不足を修正しないといけません。ㇾリースボタン部に通常は1枚のワッシャーが2枚入っていたことから、製造時にストローク不足は認識していたと思われますので元々の加工不良か組合せ不良の問題でしょうね。

 

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ミノルタ repo の巻

2020年10月10日 20時10分00秒 | ブログ

ミノルタ・レポが来ています。レポはセレンがダウンしている個体が多いですが、この個体はソフトケースに保管されていたせいか元気に作動します。セレン露出計の場合、レポのようなセレンがレンズ外周に無い設計では、常に露出メーターが作動していることになってコイルのピポットが摩耗をして作動不良になっている場合もありますから、その意味ではソフトケースに入っていたのはラッキーでしたが、セレンは定期的に太陽光に当てて活性化した方が長持ちするとかいう方もいますのでどうなんでしょうね。

内部はモルトが劣化している他は問題は無いようです。

 

 

このようにメーターは作動します。

 

 

しかし、シャッターは全く固着で後玉も曇りが多いです。

 

 

シャッターは絞り羽根とシャッター羽根共に固着していますが、その状態で無理に鏡胴のダイヤルを回したと見えて絞り羽根のリターンスプリングが外れています。

 

さすがに時計メーカーのシチズン製シャッターですから、スローガバナーもマイクロサイズですので時計の機材を使ってメンテナンスします。

 

絞り羽根とシャッター羽根の距離が近い設計のシャッターは固着し易いですね。すべて洗浄しました。後玉を清掃して取り付けます。

 

劣化したモルトを交換してシャッターを組み込みます。

 

 

レポは底部の巻上げ機構の設計は少しやぼったいですね。長いスプリングを多用して簡単に設計しています。洗浄とグリス塗布をしておきます。

 

巻上げダイヤル関係をグリスを塗布して組み立てます。

 

 

ファインダーを清掃してメーターと共に組み込みます。

 

 

レポの裏蓋のシボ革は殆ど剥がれかかっています。両面テープ貼りではないのですが糊が良くありません。シボ革の材質も柔軟性が無く、経時的に硬化をしているのも一因です。補修接着をしておきます。

 

レポにも製造時期でデザインに種類がありますが、個人的にはこのデザインはすっきりしていて好きですね。完調の個体は少なくなっていますので大切にされてください。

 

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ご常連さんはFOCAが好きの巻

2020年10月06日 00時10分28秒 | ブログ

SEARSAUTO 35と一緒にFOCA SPORT Cが来た居ましたので簡単にUPしておきます。ご常連さんは一体何台のFOCAを所有しているのでしょう? この個体はシャッター低速不調とフィルムカウンターが動かないとの不具合ですが、全体のメンテナンスをします。

 

フィルムカウンターは非常にシンプルな部品構成です。駒数板と板バネのみ。それがなぜ動かないかと言うとギヤの歯と送り爪がくっついている。接着をされた? いや、両面テープの糊のような硬化しない粘々の物質が歯車全周に点いています。すべて取り除いて正常に作動するようになりました。粘々の意味は分かりませんが・・

 

シャッターはセルフタイマー付きですが、スローガバナー共々作動がスムーズではありませんので洗浄注油をして動きを見ます。

 

 

その他、ファインダーの調整、レンズの清掃をして終了。コの字型の本体枠を取付けます。

 

 

そこで、しばらくの間、来月10/14~開催の「世界の中古カメラ市」用のカメラを整備するためブログは最小限とさせて頂きます。このローライ35はメーター内塗装が劣化しているなぁ・・

 

画像にするとそれほどでもなく見えますが、白の色入れが黄ばんでいるものが多いですね。これはこのままの方が良いのか? 入れ直した方が良いのかな? ちょっと考えてしまいます。

 

別の個体ですけどね。巻上げのフィーリングが「カクカク」した感触で直らない。この個体はチャージギヤを途中で交換されているようです。同じように見えますが、このギヤには外径の違いで3種類ありまして、21.6mm 21.8mm 22.0mmがあって製品仕上がりの個体差によってギヤ間の隙間が違ってくるので、それを適正な隙間(間隔)にするため組立時に選択使用したのでしょう。21.6mmのギヤに交換して良い感触になりました。

これも別の個体。この個体には元箱があるようで、たぶん元箱に長期に仕舞われていて湿気により盛大なカビが発生したのでしょう。このカビは完全に清掃出来ました。

 

これはローライフレックス3.5。シャッターをメンテナンスするために前面カバーを外したいのですがMXの切替レバーを外さなければなりません。しかし、ナットのスリ割りの片方が完全に裏側に廻っていて工具が入りませんね。レンズ凸部との隙間は0.2mmぐらいです。これどうやって締めたのかな? CRCやいろいろ試みて、最後はゴム板で開けることに成功しました。

巻上が重いとのことです。巻上げクランクのピンをポンチで抜いて取り外します。

 

 

流石にギヤ類の材質と工作精度は素晴らしいと思います。ギヤを分離洗浄をして新しいグリスを塗布して組み立てます。

 

う~ん。本来良品の巻上げフィーリングはどうなんでしょう?

 

 

シャッターのメンテナンス、ビューレンズの分解清掃、ミラーの清掃などをしてあります。

 

 

これは同型の別個体。本革のシボ革はヨレヨレで、過去に何度も分解を受けているようです。シボ革は作り直しますが、シンクロ接点のMX切換ですがレバーの下にあるはずの(MX切換)と接続する金具部品が入っていません。この個体はMX切換が出来ないのを知らずに使われていたようです。まっ、分からんよね。どうするかな? 真鍮板から作りますかね。

この個体はかなり使い込まれたようで、フィルムの巻上げギヤ(スプール右側)の摩耗が激しいです。歯の形状に注意。

 

1台目の個体はガラス製のスクリーンでしたが、こちらには樹脂製のスプリットが付いていました。ガラス製より明るくてスプリットですからピント調整が楽ですけど傷が付きやすいのか難点です。洗浄をして取り付けます。

 

シボ革は本革のため何度も分解を受けてバリバリに硬化をしていますので交換しました。このモデルは5ピースに分割されていますから製作は楽です。寸法を間違えてもその部分だけ作り直せば良いですからね。本革は感触は良いですけど経時劣化をすると、どうにもならなくなりますから合皮とどちらが良いのかです。