今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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ローライフコード ⅣとⅤの巻

2020年10月15日 14時00分00秒 | ブログ


ローライコードⅣ型は古い分、程度が良くない個体が目立ちます。シャッター不調、レンズ曇り、外観の劣化などがあります。

 

ローライ35だとシューの曲がりがありますが、二眼レフの場合は底部のギッタンバッコンです。まず、どこが変形しているのかを探していきますが、この個体の場合はの角が打撃を受けています。脚部がへこむケースが殆どですが、この個体は裏蓋自体が変形しているのです。これの修正は意外に厄介。

 

クセナー75mmの前群のカビ、曇りが進んでいます。これについては後で苦労することになります。

 

 

シャッターユニットを分離しました。チャージレバーはシャッターユニットネジ部に嵌っていますがレバーの作動が重い個体が多く、どの個体もグリスのような潤滑が見当たりません。硬いグリスを使うとレバーの復帰が緩慢になるし、新品時の潤滑はどうなっていたのか・・

 

MX切換が固着していました。独特な機構です。

 

 

ビューレンズは殆どの個体で曇っています。すべて分解をして清掃します。

 

 

この個体もシボ革は本革ですので真鍮ネジの腐食による盛り上がりが顕著です。一度剥離をして清掃と貼り直しをします。

 

あら~、内部もホコリまみれですね。これ、洗うわけにも行かず、意外に清掃が大変なんです。

 

 

やっと、こうなりました。

 

 

問題のクセナーレンズです。清掃のために分解する必要がありますが、前面のリングナットが外れない。ユニバーサルとは言っても自作工具なのでかなりトルクを掛けられるのですが、それでも緩まない。よって、このレンズ専用φ26.5mmの固定工具を製作してやっと緩めることに成功しました。前玉の裏側コーティングが劣化気味です。

ナットのネジ部の腐食もあるにはありますが、緩まない原因は部分のナットと本体との腐食が一体となったものでした。これは意外に強大な摩擦を生みだして、へらへら工具では絶対に緩められないです。

 

120フィルムをセットして巻上げとカウンター作動に問題がないか確認します。

 

 

最後に前面のシボ革を接着します。

 

 

これは純正の金属キャップなのかな? これで完成。

 

 

次はローライコードⅤです。「シャッターチャージ不良」とのことですが、シャッター羽根が完全に閉じていませんね。

 

後ろから見るとこうなります。

 

 

原因はシャッター羽根に油が回っているもので、シャッター自体は摩耗はしていませんので分解洗浄と注油をしておきます。

 

チャージレバーとシャッター側のクリアランスは約0.1mm程度で摩耗は少ないと思います。摩耗防止の潤滑をして組み立てます。

 

定番のビューレンズの分解清掃。

 

 

ミラー内も清掃をして・・

 

 

Ⅴ型も本革のシボ革のため真鍮ネジ部が腐食してシボ革が盛り上がっていますから緑青を取り除いて再接着をしておきます。

 

作動を確認して最後にシボ革を貼ります。

 

 

やはりⅤ型の方が新しいので状態が良いです。フィルムを通して作動を確認して完成。

 

 

 

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