今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

Canon Demiの初期型の巻

2018年11月05日 20時53分47秒 | ブログ

モリス型は部品の調達待ちです。キヤノン・デミです。カバーが梨地クロームなので初期型になりますね。この後、材質がアルミのパールアルマイトになりますが、アルミは強度が弱くへこんでいるものが多いですが、流石この個体はへこみはありません。パールアルマイトの方が軽快に見えますけどね。

特に不具合は無いのでメンテナンスです。しかし、この頃のキヤノンはダイヤル35といい、モルト貼りが好きですね。古いモルトは、あらかた剥がされていますが、細かな隙間には残っています。

 

有名な最中構造のケースを分離しました。

 

 

残ったモルトの除去と洗浄を終えたところ。

 

 

ケプラー式にファインダー。プリズムによってオフセットされていますね。

 

 

すみません。数日前からパソコンが不安定でして、突然壊れるかもしれませんので更新が無かったらそう思ってください。

で、ファインダーを分解してみましたがきれいですね。オフセットするためにプリズムを多用されています。一般的にレンズのガラス自体が曇りやすいのですが、この個体は大丈夫、というか研磨をされているのかも知れません。

キヤノンはデザイン性に優れていますが、それによって異形のモルトが使われているので、きれいに貼る場合は型紙を作る必要があります。型紙に沿ってファインダー穴もポンチで開けています。

 

裏蓋のモルトに強く接していたカバー角の腐食が多いです。ちょっと緑青を落とすつもりがどんどん広がってしまって・・いっそのことリペイントをした方が早いのですけどね。カラーデミはカバーの色がグレーなので過去にリペイントをしたことがあります。

こんな感じですね。

 

 

デミの整備には必ずシボ革を剥がさなければならないので強力に接着をしてしまうと後で剥がす時にシボ革を痛めてしまいます。この大き目なシボはホールド性抜群で、デザイン的にも優れていますね。

 

初期(Ⅰ型)の真鍮クロームメッキカバーはちょっと硬い印象です。Ⅱ型のアルミアルマイトの方が優しい印象となって、このデザインには最適と思いますが、その分、ぶつけるとすぐに凹んでしまうというリスクも増えたわけです。

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精工舎モリス型が来ましたの巻

2018年11月04日 19時19分25秒 | ブログ

昨日の秋晴れと打って変わって雨がちの東京地方です。私も朝から体調が良くなくて、午前中はうだうだしていましたが、午後から作業をしています。ミリタリーがお好きなご常連さんから精工舎のモリス型が来ました。戦中の二重ケースにも使われている機械ですが、このケースは二重ケースではなく、普通のケースなんですが、何となく新しい感じかします。

ケースに機械を固定する機械留めネジが無いため、ケースの中で機械が遊んでしまいます。機械もきれいな方ですね。裏蓋の打刻番号は「3」で始まるので、1943年? その頃は打刻番号があったのかな? 1953年なら新10ABどころかスーパーが出ていますよね。そもそもモリス型はいつ頃まで生産されたのでしょう?

分解洗浄をして組んで行きます。特に致命的な摩耗はありません。

 

 

コート・ド・ジュネーブって言うのかな。きれいな表面加工が施されているので後期の機械だと思います。

 

天真に摩耗がありますが仕方ありませんね。ガンギとアンクルに注油をしましたら振り角が大きく動き出しました。


100円だとぉ・・トリップ35(B)の巻

2018年11月03日 20時49分40秒 | ブログ

今日(11/3)は入間基地の航空祭だったんですね。なんで土曜日開催なんだろう?秋晴れの空にブルーインパルスは見たかったですけど鉄道の便と混雑するので行きませんでした。近くの横田基地では、地元市と反日団体の反対でブルーインパルスが飛べなくなって随分になります。では、まったりと仕事をします。レンズキャップ裏の値札はハードオフで100円(写ってませんでした(^^;)。となっています。トリップ35のブラックなのに?

基本的には故障はしていません。メンテナンスで行きます。構造はPEN-EESと一緒ですが、かといって共通部品があるわけでもありません。お手軽に35判を設計したということでしょうか。

 

レンズを分解して行きますが、まんまPEN-EESと同じです。

 

 

メカへの注油とシャッター羽根の分解洗浄をします。

 

 

絞り羽根も同じ構造。多少固着気味のようですので洗浄脱脂をします。レンズは僅かに白点が取れませんがきれいな方です。

 

ファインダーの清掃をして遮光カバーを接着しました。

 

 

内部の清掃、モルトの交換と圧板曇りの研磨をしてきれいになりました。

 

 

これ、レンズキャップが100円の間違いじゃないんだよね? 掘り出し物ということでしょうか?

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OMEGA シーマスター・デビルを復活させるの巻

2018年11月01日 19時49分43秒 | ブログ

少し前から断続的に作業をしていました。オートバイ関係のお友達のお父様が使っていらっしゃったOMEGA シーマスター・デビルです。Cal 601の手巻き17石の機械ですが、ワンピースケースが流行った1965年ぐらいのモデルでしょうか。ワンピースケースの場合、構造的に巻き芯がジョイント式になるので、リューズが抜けてしまう故障が多いのです。この個体もリューズが無い状態で形見として譲り受けたようです。あぁ、時計と一緒に刺繍をした布(何ていうの?)をプレゼントして頂きました。私のホームグラウンドだった昔の富士スピードウェイです。100Rが大の苦手で克服できませんでしたね。

摩耗の少ない純正SSベルトが着いていましたが、バネ棒が完全に腐食していて分離出来ませんでした。やむなく荒業で分解。このベルトだけでも価値があります。

 

ワンピースケースはイヤなんですね。やっと機械を分離しました。棒針はかなり腐食しています。7時と8時の間に黄ばみがあります。オメガは古いモデルの部品供給を打ち切りましたので通常のルートではリューズは調達不可能でしたので、海外から別ルートで手配中です。風防は国内で調達可能でした。

ひと月ほど時間が経過しました。やっとリューズが入りました。機械の組立時は便宜的に収縮パイプを被せてジョイント部を固定しています。組み立て開始です。

 

幸か不幸かワンオーナーの時計ですが、一度もO/Hをされていないようで、機械は傷一つありません。歩度調整のみ数回実施されたようです。香箱にゼンマイをセットして注油をしてあります。

 

丸穴車だけメッキが剥離しています。

 

 

オメガはきれいな機械ですね。輪列を組んでザラ回しをして確認します。

 

 

耐震装置に注油をしてセットします。

 

 

何十年ぶりに再び動き始めました。

 

 

カレンダー機構は無いのでシンプルですね。

 

 

針の状態が思いがけず悪かったです。よって長針が裏返っていますけど、気が付きませんでした。どちらも同じ様な状態。デッドストックを探すとなると高価でしょうから、研磨して使います。

 

文字盤を取り付けて針を着けて行きます。

 

 

針は研磨によって、それほど気にならなくなっていますが、デッドかリプロを探しておいた方が良いかもしれませんね。

 

また2週間ほど経過しました。機械をエージングして様子を見ましたが、素性は悪くはなく安定していますので先に研磨をしておいたケースにケーシングします。

 

オメガの場合、ケースの情報は内側に打刻されています。135-010がこのケースの型番です。

 

インナーリング付の風防はベゼルをセットして圧入する構造なので慎重に・・何とか成功しました。事前に用意しておいた鰐皮ベルトとDリングを取り付けます。

 

Dリングは安物をチョイスしたので仕上げがイマイチです。ベルト孔にセットする尾錠の開閉が固く、一度締めると爪では開きませんのでリューターで調整しました。

 

これが地球の裏側から調達したリューズです。ケースに適合してホッとしました。(高価なので)

 

私のデジカメでは鰐皮が写りませんが良く似合っています。ベルト孔はオーナーさんに調節してもらいましょう。Cal.601は高性能な手巻きユニットで、今でも人気があるようです。しかし、メーカーが部品を供給しなくなっていますから将来的には厳しくなるでしょうね。

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