今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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OMEGA シーマスター・デビルを復活させるの巻

2018年11月01日 19時49分43秒 | ブログ

少し前から断続的に作業をしていました。オートバイ関係のお友達のお父様が使っていらっしゃったOMEGA シーマスター・デビルです。Cal 601の手巻き17石の機械ですが、ワンピースケースが流行った1965年ぐらいのモデルでしょうか。ワンピースケースの場合、構造的に巻き芯がジョイント式になるので、リューズが抜けてしまう故障が多いのです。この個体もリューズが無い状態で形見として譲り受けたようです。あぁ、時計と一緒に刺繍をした布(何ていうの?)をプレゼントして頂きました。私のホームグラウンドだった昔の富士スピードウェイです。100Rが大の苦手で克服できませんでしたね。

摩耗の少ない純正SSベルトが着いていましたが、バネ棒が完全に腐食していて分離出来ませんでした。やむなく荒業で分解。このベルトだけでも価値があります。

 

ワンピースケースはイヤなんですね。やっと機械を分離しました。棒針はかなり腐食しています。7時と8時の間に黄ばみがあります。オメガは古いモデルの部品供給を打ち切りましたので通常のルートではリューズは調達不可能でしたので、海外から別ルートで手配中です。風防は国内で調達可能でした。

ひと月ほど時間が経過しました。やっとリューズが入りました。機械の組立時は便宜的に収縮パイプを被せてジョイント部を固定しています。組み立て開始です。

 

幸か不幸かワンオーナーの時計ですが、一度もO/Hをされていないようで、機械は傷一つありません。歩度調整のみ数回実施されたようです。香箱にゼンマイをセットして注油をしてあります。

 

丸穴車だけメッキが剥離しています。

 

 

オメガはきれいな機械ですね。輪列を組んでザラ回しをして確認します。

 

 

耐震装置に注油をしてセットします。

 

 

何十年ぶりに再び動き始めました。

 

 

カレンダー機構は無いのでシンプルですね。

 

 

針の状態が思いがけず悪かったです。よって長針が裏返っていますけど、気が付きませんでした。どちらも同じ様な状態。デッドストックを探すとなると高価でしょうから、研磨して使います。

 

文字盤を取り付けて針を着けて行きます。

 

 

針は研磨によって、それほど気にならなくなっていますが、デッドかリプロを探しておいた方が良いかもしれませんね。

 

また2週間ほど経過しました。機械をエージングして様子を見ましたが、素性は悪くはなく安定していますので先に研磨をしておいたケースにケーシングします。

 

オメガの場合、ケースの情報は内側に打刻されています。135-010がこのケースの型番です。

 

インナーリング付の風防はベゼルをセットして圧入する構造なので慎重に・・何とか成功しました。事前に用意しておいた鰐皮ベルトとDリングを取り付けます。

 

Dリングは安物をチョイスしたので仕上げがイマイチです。ベルト孔にセットする尾錠の開閉が固く、一度締めると爪では開きませんのでリューターで調整しました。

 

これが地球の裏側から調達したリューズです。ケースに適合してホッとしました。(高価なので)

 

私のデジカメでは鰐皮が写りませんが良く似合っています。ベルト孔はオーナーさんに調節してもらいましょう。Cal.601は高性能な手巻きユニットで、今でも人気があるようです。しかし、メーカーが部品を供給しなくなっていますから将来的には厳しくなるでしょうね。

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