今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

珍しいNEOCA 35 IVSの巻

2018年11月18日 20時59分24秒 | ブログ

また宿題をやります。ネオカという日本のメーカーが製造した35 IVSというカメラです。1958年ぐらいのカメラのようですが、会社は1960年に倒産しているようです。国内販売をしていたのかは知りませんが、この個体は輸出されていたものの里帰り機です。一見、安物のそれっぽいカメラかなと思いましたが、いえいえ、中々ちゃんと作られていますね。

鏡胴の基部がブロンズ色ですが、下面は黒となっているで表面処理が薄くなったものでしょう。この個体は巻き上げが固着していて、レンズのヘリコイドとシャッターリングの動きも非常に重います。

 

この時代のカメラはライカデザインの影響を受けていて、巻上げレバーはM3とそっくりの形状です。右側の大きなプレートは距離計の調整窓ですが、なぜこんなに大きいのかは後で分かります。

 

この時代のグリスは粗悪というか、現存のものはニスのように硬化しているものが多いです。巻き上げが出来ない原因はチャージのリンケージが固着しているためです。

 

外観は悪くはありませんが、革ケースに入っていたためにエブロン部に緑青が発生しています。NEOCAのプレート。

 

二重像は全く見えません。腐食が進んですごいことになっています。二重像の範囲も非常に小さくて見にくいです。

 

しかし、シャッターはCITIZEN -MVと良いものが搭載されています。スローとセルフタイマーが止まります。メンテナンスをして行きます。

 

洗浄注油をしてカム板を取り付けます。12時位置に距離計連動用のピンが入ります。

 

 

ネットで検索してみると、写りは非常に優秀のようです。カビもありません。この頃のレンズの方が、下手なコーティングや新種ガラスが使われていないことで曇りなどのトラブルは少ないようです。

 

ファインダーを清掃しました。距離計はシンプルですが、どう探しても調整ポイントや調整ネジがありません。安価な製品では、このような作りの製品もあるようです。

 

激しく腐食をしていた部分のレンズを取り外して清掃しました。レンズは偏光ではないようです。

 

腐食を研磨した部分を艶消し黒で塗装しておきます。

 

 

やぁ、距離計の調整には苦労しました。二重像の範囲も非常に小さく、まずその位置を探すことから始めなくてはなりません。では、駒数計にグリスを塗布して組み立てます。

 

 カメラを触っている間に接着されていたプレートが接着剤の乾燥で剥がれて来ました。裏蓋のEXPOUSE GUIDEは失われている個体も多いようです。セルフタイマーのマークが剥離していますので入れ直しておきます。

 

粗悪な安物カメラではなく、真面目に作られた製品と思います。しかし、コストとの関係か巻上げレバーはアルミ製でチープ感を助長しています。個体としてのコンディションは革ケースで守られていたこともあって年代を考慮すれば素晴らしいレベルでしょう。

なんかウィンクしているような顔つきですね。シャッタースピードはB・1~400 レンズはNEOKOR45mm f2.8。 専用フード、レンズキャップ、革ケース付です。

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通常業務のPEN-Wの巻

2018年11月15日 22時12分43秒 | ブログ

宿題が終わったので通常のご依頼をやっていきます。このPEN-W #1014XXは悪くはないように見えるでしょ。そう、本来は悪くはないのですが、過去の分解がね。シャッターは不調というか開きっぱなしだね。

 

ファインダーのカバーが接着剤ですごいことになっています。駒数ガラスはクラック入りですので交換をご希望です。

 

なぜか巻上げ部分が激しく腐食しています。南方の戦場跡に残されたチハ戦車みたい。

 

前回分解された方はプロかアマかは分かりませんが、バネにまつわる不具合が多いです。まず、左側のバネはピンセット先にセットするのが正規です。PEN-D系ならここで良いのですけどね。

 

こりぁ、参ったな。透明接着剤とゴム系接着剤が塗布されていて、その上から瞬間接着剤をつけたようです。ミラーが瞬間接着剤のガスで白く曇っています。見なかったことにしたいですけど、そうも行きませんので接着剤の除去から・・

 

光枠もゴム系接着剤で接着されていますが、光枠に残っている工場で接着した接着剤が本体側と合致しませんね。これPEN-W用かな? PEN-S用を代用ではないか?

 

カバー側の接着剤もすべて除去します。

 

 

シャッターユニットの地板ですけどね。このバネは本来右端のピンに掛かっているのが正規ですけど、極端に曲げられていますね。これは故意にされたもので、多分、シャッター羽根が開きっぱなしになるので強制的に戻そうとした?のではないか。このシャッターは構造は複雑ではありませんが、かと言って、正確に理解をしていないと正常に動かせないのです。また、メインバネの掛かり位置も違っていました。

本体を洗浄して組み立てますが、一か所が伸ばされていたバネが折れました。良品と交換しますが、前回作業のキーワードは、「バネ」ですね。

 

こうなります。

 

 

すべてオリジナルに戻して組んであります。シャッターは快調です。

 

 

今回はファインダーに問題が多かったですね。カバーは瞬間接着剤で留められていましたので、まず瞬間接着剤をはがし液で溶かします。

 

その後、ゴム系接着剤を取り除いて塗装の剥げた部分を艶消し黒でタッチアップ、形状の修正をしておきました。ここまでする必要もないとは思いますが、次のO/Hを他の修理屋さんに持ち込まれた時、「前回どこで修理をしたの?」となれば「TOMYです」となっちゃうでしょ。ですから見て見ぬふりは出来ないのです。

駒数ガラスは新品に、ファインダーのレンズも接着をしました。光枠はこの時点では接着しません。本体に取付てみないと光枠の倒れが分からないためです。

 

この個体は巻上げ部分が異常に腐食していますね。駒数計ツマミの腐食は見たことが無いぐらい悪いです。交換部品はありますが、駒数カニ目ネジも悪いので、片方だけ交換をしても仕方がないので今回は研磨で再使用とします。

レンズのコンデションは比較的良好な方でした。シャッターは快調となりました。機械と言うものは、正しく組まなければ正確に動いてくれないものです。技術者がそのように設計をしてあるからです。

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ZEISS コンタフレックスというカメラの巻

2018年11月14日 20時10分54秒 | ブログ

宿題をやってました。ツァイス社のコンタフレックスはレンズシャッター式の一眼レフという面白い構造のカメラ。今回はBとSですが、Bはセレン式の露出計を内蔵していますが、全く露出計が作動しない。しかし、このカメラは巻上げ側と巻き戻し側の両方にトップカバー上の構造物が多いですね。

まずセレンを点検してみると、殆ど起電していませんね。これは交換が必要です。その他、メーターもいじられていて、ピポットを締め込まれています。たぶん露出計が動かないのでメーターをいじったのでしょう。この個体はヨーロッパからの仕入れですので外人さんも大したことないですね。調整をして何とか0点に復帰するようにしましたが、ホゾを潰されているので針の感度は緩慢です。

針の固着の直接的な原因は鉄ワッシャーがメーターの磁力で張り付いて干渉していたのでした。これPEN-EEなどでも見かけますがメーターは磁石ですので鉄の部品は近づけないように注意です。

 

リード線が複雑に配線されています。途中で半田をやり直してあるのかもしれませんが、素人工作のような作りです。

 

で、Bは諦めてSをやってます。こちらはCdsになったタイプですが、露出計などは全く同じ作りです。故障内容は、こちらも露出計が動かない。オートで絞りが連動しないなどがあります。露出計不動の直接の原因は電池室の導通不良でしたが、メーターの動きが不安定です。ASA感度によってメーター角度を回転方向に変えるためリード線の終端がバネになっているところが不安定の原因のようでした。

Cdsは接眼レンズ部分に1個配置されています。ペンタプリズムを外して清掃しておきます。

 

ペンタプリズムとスクリーンは意外にきれいでした。

 

 

メーターが安定しましたのでトップカバーを閉めます。巻き戻しは軸が貫通しておらずギヤを介しています。

 

巻上げレバー側も部品が多いです。リターンスプリングにテンションを掛けます。

 

問題は絞り羽根の動きです。メンテナンスによってスムーズに作動すようになりましたが、集中していて画像は撮り忘れました。

 

シャッターユニットはネジ3本で簡単に分離出来ます。5時の接点がA(オート)とマニュアル時にメーターを入り切りする接点。

 

やっとお目見え。レンズはツァイスのテッサー50mm。前玉交換式。重くて武骨なカメラですけど、当時EE搭載の一眼レフですからね。

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微妙な頃のPEN-FTの巻

2018年11月10日 18時05分01秒 | ブログ

ご常連さんが入手されたPEN-FT #1853XXですけどね。外観は悪くはありませんが、巻上げのゴリツキ感は大きいです。作動は問題はないようですが、ファインダーの汚れを訴えておられます。

 

また、この頃に多い駒数ガラスの劣化も激しいですね。駒数板が見えません。この頃は全体をゴム系接着剤で接着をしているため、溶剤が樹脂を劣化させたと考えられます。以後の個体では、側をエポキシ接着、透明側をゴム系接着と、1つの部品を接着するために、二種類の接着剤を使用していますが、のにじみ防止対策と思われます。

18万台ではすでに裏蓋の2つのボッチ(フィルム押え)が追加されています。この時は気がつきませんでしたが、巻上げレバーの先端部が下側に曲がっています。

 

この個体は、修理履歴が書かれていますが、メカを分解された形跡はありません。

 

メカを分解する前に不良の駒数ガラスを取り除いて、当方オリジナルの駒数ガラスを接着しておきます。この部品も残り少なくなっていて、簡単な部品に見えますが塗装は何回の工程を経ていますので工数が掛かるのです。今後製作をすると高くなってしまうと思いますのでどうしようかと? 私もいつまでFTの修理が出来るか分かりませんのでね。

では、分解しますが、あぁ、この頃も本体ダイカストと前板のチリが合わないため厚紙を接着して合わせていますね。この後からビニールテープ(糊は劣化に強いタイプ)に変わります。

 

ファインダーの汚れはこんな感じ。ハーフミラーの腐食もあります。

 

 

では、洗浄をして組んでいきます。この頃は緩み止め塗布の真鍮-(スリ割り)ネジのため、分解は困難です。

 

巻上げレバーが干渉している音がする。先端部が下側に曲がっています。修正をします。

 

この頃は光学係のコンディションが厳しくなっています。フレネルレンズもシミがあります。

 

フレネルレンズは洗浄とその他は清掃をします。

 

 

まぁまぁきれいになっていますね。

 

 

カビのように見えますが、プリズムの蒸着面に腐食です。FTでは腐食は珍しいのですが・・

 

前板を組み込んで10回程度シャッターテストをしたら、カチャっと嫌な音がしましたよ。あ~ぁ、リターンミラーが剥離しました。お客様の手元にあった時に剥離した場合は接着工賃を頂戴出来ますが、修理中では頂けません。まぁ、お返しした後でなくて良かったです。

あぁこれか、修理履歴の内容はリターンミラーがフリーズしたのでテンションを上げただけのようです。

 

リターミラーは接着をしました。露出計を載せていきます。

 

 

本体の組立完成。予め接着完成しておいたトップカバーをセットします。

 

 

巻上げもスムーズになって調子は良好です。あとは38mmですが、ピントリングをいじられていて無限でかなり飛び越してしまいます。

 

このレンズは本体に比べてかなり後期の製造です。3mの位置で無限になります。イモネジを観察すると緩められた形跡があります。レンズの清掃と調整をしておきます。

 

電池蓋ですけどね。FTの場合、途中でネジの規格が変更になっていますが、この個体はまだ変更前(左側)のネジピッチ(P)が細いタイプで、簡易的にスケールを当てると約0.5mmのようです。右側が変更後のピッチが広いタイプです。体裁は変更前は段付きで変更後は溝付きになります。

変更後(右側)のねじ山は2条程度の不完全ネジですので正確には分かりませんが、ピッチ(P)は0.7mmぐらいのようです。この変更はピッチが細いと斜めに締め込んで(入ってしまう)ねじ山を壊す事故が多発したための変更と思われます。変更前の個体を所有されているオーナーさんは、電池蓋を閉める時は、一度、半時計回りに回して「コクッ」とネジの入り口を感じてから時計回りに締め込んでください。尚、変更後への改造は電池ホルダー(雌ねじ)側とセットで交換することで可能です。

いろいろありましたが良いコンディションとなりました。山形はすでに寒いでしょうからケースに入ってお帰りです。

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自転車のホイール交換の巻

2018年11月08日 17時39分34秒 | ブログ

今日は午前中はPEN-FTをやっていましたが、午後からは肩こり解消のために庭で自転車の修理をしていました。息子の通勤用の安いクロスパイクですが、リヤのハブシャフトが折れていて、スプロケットもボスフリーですのでカセット化するために完組みホイールに交換します。部品はすでに揃えてあって、まず18mmのリムテープを取り付けます。

タイヤはまだ新しいので再使用としますが、チューブは英式から仏式に変更するため新品で取り付けます。

 

一応シマノのハブですが、玉当たりが締めすぎでゴリゴリでしたので、予め調整をしておきました。低グレードは当てになりません。カセットスプロケットを取付ける前にフリーボディーにグリスを塗布しておきます。

 

 

スプラインは1か所幅が広いところがあるので、そこに合わせてカセットスプロケットを挿入します。

 

1速ギヤを嵌めて薄ナットを専用工具で締め付けます。

 

 

車体に組みつけました。リムが新しくなったのでVブレーキシューの当たり調整とシフターの変速が正確に出来るかを確認して完成です。安い価格帯の自転車には、いまだにボスフリーが使われているケースが多いですが、カセット式でもコストは変わらないように思うのですがどうなんでしょうかね? 今度はディレーラーを交換しないとね。しかし、スポーツ自転車は部品交換をすればずっと乗り続けて行けるのは、私のような人間には便利で良いです。いつの間にか肩こりもほぐれたようです。では、FTに戻ります。

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