今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

FOCA matic のメンテナンスの巻

2017年05月18日 12時51分17秒 | ブログ

大阪住吉のご常連さんはいつも食玩のヒコーキを入れてくださいます。ありがとうございます。艦上攻撃機の「流星」ですね。大戦後期に開発された雷撃、降下爆撃なんでもできる逆ガル翼と誉発動機を装備した機体ですが、ミッドウェー、珊瑚海海戦で、すでに優秀な搭乗員の殆ど搭載すべき母艦の喪失で、最後は陸上からの特攻機として出撃した機体でした。エフトイズの食玩は近くのイオンにも置いてあって、この流星も手に取って買おうかと思ったのですが、アメリカのヘルダイバーが出る可能性もあったので躊躇していたところでした。ラバウル航空隊のカモSBD(ドーントレス)だったら欲しかったのですけどね。撃墜王、岩本徹三中隊では、一空戦で16機を撃墜したこともありました。

で、このご常連さんはマニアックなカメラがお好きで、以前にもFOCAが来ていましたね。流石におフランス製ですから、デザインが斬新です。しかし、往々にしてデザインを強調するモデルは設計構造に問題がある場合が多いですね。

デザイン優先で操作感は良いとは言えない巻き戻しノブは完全に上昇されていないとトップカバーと干渉してしまうので、円周上のすり傷がついています。

 

側面に打痕のような歪がありますね。オーナーさんから修正依頼があったと思っていましたが、メールを読み返すとありませんでした。

 

裏蓋ラッチの作動不良もあって、修理にはコの字カバーを分離しなければなりませんが、その前にシャッターユニットの付いた前面カバー(フレーム)を取り外さなければなりません。

 

コの字形になっています。

 

 

表面のへこみは位置関係から後天的なものではなく、取付けネジ座をスポットで留めたためのようです。

 

裏蓋(樹脂製)のラッチ構造が良くない。ロック解除ボタンの作動も非常に渋く、スムーズに開閉できない。

 

シャッターユニット裏側。左部分がEEのギロチン機構。

 

 

EE(matic)はシャッターの設計が異なりますね。

 

 

残念ですがメーターが動きませんね。当初は針が大きく振れるのでメーターは正常と思っていましたが、ギロチン針が長いために反対側にバランスウエイトがあって、カメラの角度を変えるとヤジロベイのようにフラフラと動くものでした。ピポット部のスリ割りネジが大きく緩められており、ピポットが外れる状態になっています。過去の分解でメーターに問題があって修理を試みたようです。

 セレンは起電していますので、回路を切り離して測定してみるとメーターのコイルが断線しています。

 

EEカメラなので、良品のメーターが見つかるまでペンディングとします。ファインダーを清掃しておきます。

 

フィルムカウンターは駒数板と板バネによる簡単な構造。

 

 

基本的に前面カバーにユニットが取り付けられている構造です。前面カバーと側板との合わせ目を矯正するため、画像のピンで固定しています。

 

では、部品が見つかるまでのお楽しみとします。話は変わって、鉄道模型のカトーから、何十年ぶりだろう? C11がリニューアルされたようです。画像は30年ぐらい前に購入して一度も走行させずにショーケースに飾っておいた旧製品。Nゲージは1/150スケールですが、この頃のカトー製蒸気はそれよりもオーバースケールで作られていました。内部の動力ユニットサイズの都合でしょう。リニューアル製品は正しく1/150で作られているようですから、並べるとだいぶ小さいでしょうね。旧製品を改めてみると、ディティールも簡素でスポーク動輪も抜けていない。下回りのパンピングも殆ど無しの状態で、リニューアル製品の進化が良く分かります。技術は進歩していますね。そもそも私がNゲージを買ったのは高校生の時でカトーが積水金属と言っていた頃です。C50やEF70だったかな? 20系客車なども買いましたが、当時所属していた高校のクラブはHO(16番)でしたので、先輩たちにおもちゃと馬鹿にされました。しかし、私は小さくて精密なものに魅力を感じていて、Nゲージは発展すると思っていました。リニューアルのC11も買わなくっちゃ。

http://www.katomodels.com/cgi-bin/nmi_zoomview.cgi?id=c11_2017&num=1&cue=rewrite

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SEIKO サードダイバーをレストアするの巻

2017年05月15日 16時12分23秒 | ブログ

連休中で、お出掛けになっていらっしゃる方も多いと思いますので、まったりとUPしておきます。大阪のご常連さんからの頂き物です。セイコーのサードダイバー6306-7001です。ご友人のカヌーのインストラクターさんが使用されていた時計とのことです。本来の使い方といいますか、ケースは傷だらけで不動状態。まさしく役目を終えた時計という感じですが、もったいないので、オリジナルには拘らず復活させようとの算段をしています。裏蓋を開けると意外に機械はきれいなのですが、自動巻きのローターが回りません。完全にベアリングが錆びついています。自動巻き機構を取り去って、さて動くかと思いましたが、歯車が完全に固着しています。針も激しく腐食していますので、中心部分を貫いて錆びているようです。機械は6306Aですから、アクタスなどから調達できればと思います。

取りあえずケースを仕上げるため分解しました。ケースも傷が多く、べセルは色が抜けています。

 

側面の磨き部分の傷、打痕とラグ部分の損傷が激しいです。

 

 

純正部品の入手は不可能なため、海外で流通しているリプロ部品を取り寄せました。パッケージの紙にはご丁寧にMADE IN JAPANと印刷されています。製造元は香港あたりらしいです。

 

カメラ作業の合間に少しづつ研磨していきました。大きな打痕は取り切れませんので、ほどほどきれいを目指いします。

 

ベゼルインサートというんですかね。純正はベゼル内径とインサート外径とも38.1mm(t=0.89)で圧入により組み立てられていますが、リプロは外径37.98mmと小さく圧入にはなりません。厚みも0.79mmと薄いですから、最初から両面テープで接着(0.1mm稼げます)する設計なのでしょうかね? 単に低コスト? また、純正は12時の◯は透明樹脂が入っていますが、リプロは蓄光塗料を含んだエポキシのようなものを流し入れてあるだけです。

風防ガラス(右純正)は外径と厚みは良いのですが、表面側の面取りが純正に比べて小さい。風防ガラスの固定はインナーベゼルでガラスを抑えるため、面取りが小さいと正規の位置まで圧入できないと思います。また、ガラスの材質は普通のフロートガラスのようで、青白い色をしています。厚みが2.5mmと厚いので、これは文字盤の見え方に影響すると思います。だからリプロだと言われればそれまでですが、折角ここまで作って、もう一息気を付けれは良いパーツが出来るのにと思います。

秒リング。右が純正で左がリプロ。全然違いますね。

 

 

裏側、純正は金属製でリプロは安っぽい金型の樹脂製。位置決め用のキースリットもありません。このパーツは使いません。

 

文字盤は純正も簡素なのもですので、見た目は良く出来ていますが、細かな文字のパット印刷が荒いです。どちらを使うか悩むところですが、インデックスの蓄光が利いている方がいいなぁ・・

 

表面側の面取りが小さいことが分かりますね。

 

 

ベゼルインサートは両面テープ留め。ベゼル内径のOリングが何故か流通していないので、汎用のOリング(38mm X φ1mm)を使用しましたが、本来はもう少し硬度の高いゴムで太さはφ0.9mm程度ではないかと思います。竜頭の傷も磨いてあります。まぁ、そこそこ見られるようになりましたかね? あとは機械をどうするか・・

 

探しましたらアクタスの6306-7010が見つかりました。じつは、この個体も以前に千葉のご常連さんから頂いたものでした。貰い物ばっかりやんか・・

 

オリジナルの機械で復活できないかを検討しました。針を伝って水気が侵入したようで、筒車などが完全に固着しています。部品交換をすれば復活させることは可能ですが、アクタスの機械が完全な状態ですので、そちらを使うことにしました。

カレンダーの日車、曜車の文字サイズが右のオリジナルの方が小さいです。これは文字盤のカレンダー枠が小さいためです。これはオリジナルを使います。

 

すべての部品を洗浄をして組み立てて行きます。

 

 

63系は改良されていますので非常の組みやすいです。

 

 

コハゼはねじ留めではなく、差し込まれているだけ。

 

 

アンクルを取付けます。

 

 

テンプを載せると一気に動き出しました。

 

 

日車、曜車はオリジナルから交換して組みます。

 

 

針の出来はあまり良くありません。平面が多いデザインですので、歪が目立ちます。また、長針はそのままでは孔が小さくて取付けできませんでした。リーマ通しをして調整をしてからの取付です。

 

文字盤ですが、右がオリジナル。艶消し黒は僅かに艶を残していますが、リプロの方は完全な艶消しで、安っぽくて品がありません。また、すり傷が目立ちやすいのです。材質も異なり、オリジナルは真鍮製でリプロ品はアルミ製です。私もPENのパーツなどを製作しているわけですが、もう少し注意をすればコストUPにならずに良いパーツが出来るのに、と思ってしまうのですね。

 

ケーシングをして自動巻き機構を取り付けて完成・・としたいところでしたが、・・

 

じつは、やはり風防ガラスが良くないのです。今回入手のリプロガラスは面取りが極端に小さく、圧入のインナーベゼルがご覧のようにガラス面と面一となって、ケースに圧入することが出来ません。販売されている業者様ともお話をしましたが、従来は問題になったことが無いが、最近、取り付かないというクレームがあった。とのことです。推測ですが、従来の製品は純正と同じ寸法で作られていたが、現在流通しているロットは面取りが小さく、結果的に組立が出来ない。ようです。但し、今回の件は私の個体においての現象ですので、他の6306-7001やそれ以外のダイバーについては分かりません。本ブログを参考にされて、ご自身で作業をされようとお考えの方は自己責任でお願いします。販売業者様からも、海外仕入れの時に調査確認をするとのご返事を頂いています。

ということで、風防ガラスはイーベイに手配をしましたので、最終完成の画像は風防ガラスが到着してからとします。

 風防ガラスですけどね。セカイモン経由で手配をしましたが、出品者からセンターには3日で入荷して驚異的に早いので喜んだのですが、そこで落とし穴。「商品確認作業中」となってしまって、これは出品画像と見比べて間違いがないかを調べる作業らしいのですが、型番表示がないので確認中とのことで、すでに5日も放置されています。リプロパーツに型番なんて入ってないでしょ。仕方がありませんので、傷だらけのオリジナル風防を研磨してみましたが、大きな傷は取り切れませんし傷の中に酸化セリウムが入って取れなくなりました。で、早速ウォーキングへ腕に嵌めて行きましたが、大きくて重いですね。しかし、存在感があって不快な重さではありません。夏に向かってしばらく常用としたいと思います。

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小作業の続きです

2017年05月14日 11時39分15秒 | ブログ

すみません、しばらく家内での作業で時間を取られますのでUPが少なくなると思います。笹原ペンさんからのセイコーLMですが、ヨタヨタと作動はしているのですが、事前の測定でデータが出ない状態。それでは、オーバーホールをして行きます。まず、問題は、56系の持病である「揺動レバー」が完全に不良で、日車、曜車とも早送りが出来ません。最近は中古の良品部品のオークション相場も上がってしまい7千円とかになっています。あり得ませんが・・

では、慣れた56系ですからさっさと組み立てて行きます。

 

 

輪列を組みました。ここの部品に特に不具合はありません。では、オーバーホールで問題は無いか?とこの時は思ったのでした。

 

しかし、組み上げて調子良く作動をしていると、突然停止をします。何度も繰り返して現象が現れます。原因は機械の受けに歪があるようで、3本の留めネジの特定の1本を完全に締め込むと輪列に負荷が掛かることが分かりました。まぁ、何とか改善して自動巻きの伝え車を注油のうえ取り付けます。

回転錘を取り付けて完成。

 

 

予め研磨をしておいたケースに入れて完成です。精度は+数秒/日ぐらいで安定しています。

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小作業をしていました。

2017年05月11日 18時47分23秒 | ブログ

近くのご常連さんからレチナIbのシャッターが稀に開かないとのことです。絞り羽根の油が回ったようです。画像は油を清掃した後ですが・・

 

シャッター羽根も清掃しました。

 

 

裏側から見ると、絞り羽根とシャッター羽根が接近していることが分かります。

 

 

 距離計の無い廉価版なのでレンズはクセナーf2.8が付いていますね。

 

 

それにしても状態が素晴らしい個体です。とても私と同世代とは思えません。

 

 

次。PEN-FTですが、突然ロックをしたとのことです。原因はブレーキリングの留めナットがクラック入りで緩んだものでした。

 

新しいナットを使用して組み立てて行きます。調子良く復活をしました。

作業を終わってから日中のウォーキングに出掛けましたが、いつの間にか外は夏になっていましたね。帽子もかぶって行かなかったので早々に引き上げて来ました。これからの時期は夕方か夜じゃないとダメですね。

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SEIKO シルバーウェーブを動かすの巻

2017年05月09日 21時02分16秒 | ブログ

腕時計が続きますが、笹原ペンさんからたくさん来ていますので1つやっておきます。セイコー・シルバーウェーブ8221-5000と8221Aを搭載したクォーツ時計です。放置された個体で新しい電池を入れても動きませんが発信回路は生きていますので、駆動回路の固着が原因と判断して分解注油をして行きます。

あまり画像を撮っていません。無事8221Aは作動を始めました。クォーツの場合は秒針の取付が難しい。インデックスにピタッと重ならなければなりません。

 

まぁ、少しずれましたが・・

 

 

軽く研磨洗浄をしておいたケースにセットします。

 

 

裏蓋のパッキンを交換して裏蓋を閉めます。

 

 

シルバーウェーブはケースががっちりとした作りで、現在の使い捨て時計とは全く違います。今でも人気がありますね。また活躍してくれるでしょう。

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