今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

アグファ・パラマートというカメラの巻

2016年06月16日 18時01分44秒 | ブログ

大阪にはご常連さんが沢山いらっしゃいますが、この方が送ってこられるカメラはどれも非常に程度がよろしい。購入はなるべく現物を見て確認されるそうです。確かな選択眼をお持ちです。今回はハーフが3台来ていますがPENではありません。まず、1台目は、ドイツのアグファ・パラマートと言うカメラ。高級カメラではなく、フィルムの消費促進用クラスですね。特に不具合は無いようですが、レンズの清掃をご希望です。回転の前玉分離は国産の標準は距離リング横のイモネジを緩めるですが、このカメラにはイモネジが無い。では、プレート下にネジが隠されているはず・・プレートを分離してみると、ありました。

抑え用のワッシャーを介してネジ留めされていますが、ネジのスリ割がきたないですね。過去に分解された形跡はないのですが・・この構造だと、ピントの再調整時に必ず接着プレートを分離しなければなりませんね。

 

レンズを分離して清掃をします。

 

 

2枚のレンズの間に絞り羽根がある関係で、密閉されずに外気と繋がっていてチリの混入がし易いようです。

 

前面の樹脂プレートはレバーが邪魔をしてすんなり入ってくれません。

 

 

トップカバー右端にホットシューがありますが、これを分離しないとカバーが取り外せません。こちらのネジ頭もスリ割が荒れていますね。たぶん、未分解の個体だと思うのですが・・

 

国産かカメラにも同様な構造がある巻上げレバー部のシャッター。巻上げレバーも分離しないとカバーは外れません。

 

国産と原理は同じEE機構ですが、ノコギリのギザの細かさ、ベースプレートの材質が立派。針標の目盛りは機械加工ですね。手間が掛かっています。

 

拡大した方が分かり易いですね。ファインダー前面の◯は針の動きによって赤/青に切り替わり、適正露出が分かります。ただし、ロック機構はありません。

 

ファインダーを分離して清掃をします。

 

 

フィルムカウンターは裏面にありますね。復帰は手動で行います。

 

 

裏蓋はpENと同じ構造ですが、開閉がレバー式となっています。

 

 

やっと全体のお姿。レンズは定評のあるCOLOR-APOTAR1:2.8/30で、シャッターはB、1/125となっています。シャッターボタン(レバー?)は前面にあって、作動はかなり重く1/125では手ぶれの危険性を感じます。ドイツ製らしい大柄にシボ革は白色もあるようで、中央の◯プレートも白となっている個体もあるようです。まぁ、ネジ2本で簡単に交換出来ますけどね。

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リサイクルショップのPEN-Wの巻

2016年06月12日 19時56分02秒 | ブログ

すみません。本格的に梅雨の雨が降らないうちに、2台の自転車をメンテナンスして走り回っていました。で、すでに完成している分をUPします。少し前にもリサイクルショップでPEN-Sブラックを救出して来たお話がありましたけど、このオーナーさんはリサイクルショップでPEN-Wを入手されて来ましたよ。しかも、私と同じ市に在住の方。どこのリサイクルショップなのかな? 知っていれば私が飛んでいきました。外観は時代相当で、放置されていたようですね。

PEN-Wの場合は、まずレンズをチェックしなければいけません。その他はどうにでもなりますので。あ~ら、結構汚れていますが、最悪のバルサム白濁は免れているようです。

 

問題はいつも後玉です。絞りのクリックを演出する方法が画像のように板バネによっています。これはPEN-S3.5と共通の設計です。

 

ラッキーにもレンズは清掃できました。白のベースに置くとレンズのバルサムが黄変しているのが分かりますね。現存の個体の中では重症ではありません。しかし、カラーバランスに影響は?

 

全ての部品はこのように汚れ放題です。

 

 

古いモルトを清掃して洗浄した本体。

 

 

長くなるのでシャッターO/Hの画像は割愛。それほど悪くはありません。

 

 

清掃したレンズを組み込んでいます。ヘリコイドグリスを塗布して取付け。

 

 

ファインダーのレンズを分離しての清掃は一番先に行う作業。エポキシ接着剤の硬化時間を稼ぐためです。

 

と、これは見たことないです。圧板の裏に意味不明の捺印があります。

 

 

まぁ、いいや。リサイクル物なので、当初は心配しましたが、レンズの状態も悪くは無く、掘り出し物と言える個体だと思います。パトロールの成果。#1108XX 1964-12月製造。

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こりぁダメだねパンケーキの巻

2016年06月09日 14時12分31秒 | ブログ

地自体の健康診断の結果を聞いて病院から帰ったところです。一応異常なしで、もう少し生きられるかな? で、短くUPします。38mmのパンケーキはみなさん探されているようですが、いつもお話しているように、構造的にヘリコイドグリスが抜けやすいので、状態を良く確かめてから購入してくださいな。ご覧のように、リングのバックラッシュがガタガタ~。俺し~らない。

レンズもいけませんねぇ。過去に分解歴もあって、とにかくガタガタです。

 

 

分解をして、まずレンズが生きているかを確認しました。ラッキーなことに、レンズは何とか大丈夫です。

 

なんで内部まで腐食が進んでいるのでしょうね? ヘリコイドは重いだけではなく、途中で引っかかります。これは、洗浄をしてラップ(すり合わせ)を繰り返すしか手が無いのです。

 

ヘリコイドネジ部が削れてアルミ粉が大量に出て来ます。硬めのグリスを入れるしかないですね。何とかスムーズになりました。

 

レンズはこんな感じです。

 

 

カメラに装着してテストをします。まぁ、良いですね。貴重なパンケーキですから、大事に使ってくださいね。

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CITIZEN・Ace+SEIKO2519-0080の巻

2016年06月06日 21時18分21秒 | ブログ

その前にと・・関東地方もついに梅雨入りとのことで、本格的な雨のシーズンに入る前に自転車を楽しもうとしています。オートバイも楽しいけど自転車もいじって行くと楽しいよね。で、息子の安い通勤用自転車ですが、安物は回転部分が次々と壊れる。と言われる通り、クランクにガタが出て回転が重いです。そこでBB交換をすることにしました。まず、クランクを外していきます。

左ワン(ワンって何? 腕のことかな?)を外します。

 

 

そんでもって古いBBを分離しました。上が付いていたBBで台湾製? 下は、今回入手をしたシマノのBB-UN55(122.5-68mm)。

 

新しい方の左ワンを締め込んで取付け完了。

 

 

次は、ブレーキケーブルの交換。何故か自転車用のアウターは紫外線でボロボロになりますね。オートバイでは経験が無いです。

 

最後はタイヤ交換をしましたが、今までのタイヤは中華製で、何やらママチャリタイヤみたいでした。今度のはパナレーサーで国産品です。同じ35Cですが、明らかにサイズが違いますよね。200円ぐらいの価格差ですから、断然パナレーサーの方が良いですね。ここで問題発生。なんとリヤハブシャフトが折れていて、ベアリングがバラバラになって出て来ました。アマゾンで調べたら、玉押し付きで前後のシャフトセットが販売されていたので、早速注文をしました。本来は、ハブごと新品に交換した方が良いですね。

笹原ペンさんから久しぶりに時計が来ていますが、どちらも厳しい状態です。左はシチズンのエースと右は婦人用の小さな機械の2519Aを使ったモデル。このキャリバーはクイーンセイコーにも使われていますので悪い機械ではないのでしょう。

まずはエースから。20ミクロンの金メッキケースですが、それでも消耗した状態ですね。

 

風防ガラスも傷だらけですが、基本的に部品交換はしない修理ご依頼なので。

 

 

まず、ケースと風防をシコシコ磨いて仕上げておきます。

 

 

シチズン・デラックスの廉価版の時計だそうです。地板はプレス地のままのような肌です。この頃の時計は裏押えが折れていることが多いのですが・・あぁ、やっぱり折れています。手持ちは無いですし、オークションでは高価なので、取りあえずこのまま。

では、注油をしながら組んで行きます。

 

 

特徴的な輪列配置ですね。

 

 

ザラ回しは良好ですのでアンクルとテンプを付けます。

 

 

カレンダー機構などないので、シンプルな日ノ浦側。

 

 

ケーシングをして完成です。データ的にはアンクルの摩耗が有りそうですが、取りあえず振り角は大きく、充分実用になりますね。

 

搭載のCal.2519Aは婦人用の機械ですが、7型と大きくなって精度も向上し、大型ケースに収めて紳士用としても発売されていたようで、この個体がそれなのでしょう。発売は1966年のようです。まず、ケースを仕上げておきます。研磨と風防ガラスが取れてしまいます。

この風防がオリジナルなのかは分かりませんが、ケースに圧入とはならず、接着で取り付けられていたようです。

 

で、接着をしておきました。

 

 

じつは婦人用の機械は小さくて紳士用より遥かに組みにくいので苦手です。いつものピンセットが大きく見えるでしょ。まず二番車からセットします。

 

受けの文字が金色ですよ。シリアルも入っていますので高級な機械なのかな?

 

 

スモールサイズでも、構造は同じですね。こちらは裏押えは折れていませんでした。

 

1円玉と比較すると機械の小ささが分かりますね。この機械で一番苦労したところは、なんと文字盤を留めるネジでした。スリ割りなどは殆ど見えません。

 

婦人用の機械を紳士用のケースに収めると・・スペーサーが大きいこと。

 

 

秒針のない2針の時計で、薄型のドレスウォッチという感じでしょうかね。最後に新しいバネ棒を取付けて完成。

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