今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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SEIKO フェアウェイを何とかするの巻

2016年06月26日 20時55分14秒 | ブログ

すみませんね。脚のリハビリ運動を優先していますので、長時間の座った姿勢が取りにくいため、比較的短時間で完結するものをやっていきます。笹原ペンさんから、2つの時計が来ていますが、例によってあまり状態は良くありません。放置のジャンルからの救出という感じですね。まず1つ目はセイコー・フェアウェイです。1962年~1964年の東京オリンピックの年まで製造されたらしいモデルで、第二精工舎の製品です。Cal.760の21石で、高級機までは行きませんが、当時としては防水性能を謳った意欲的な製品ということでしょうか。定価は8.500円だそうです。しかし、当時、販売数は伸びなかったようで、現存の個体数も少ないと思います。ケースは防水性能を重視するためワンピースケースが採用されています。機械を取り出してみましたが、やはり裏押エは折れていますね。金属疲労から当然と思いますが、潤滑が切れなければ折れなかったかも知れません。

でもね。予想に反して機械はきれいですね。天真の摩耗も時代を考えると最悪ではありません。

 

ほらね。竜頭を引くたびにバネの部分にストレスが掛かりますので、消耗品という気がします。竜頭の巻き芯はワンピースケースのためジョイント式となっています。

 

分解、超音波洗浄をして組み立てて行きます。

 

 

手巻きですから余計な自動巻き機構も無く、レイアウト的にもセオリー通りで組立は簡潔です。日ノ浦側を組んで行きます。

 

殆ど分解キズが無い機械なので、きれいに仕上がりました。ただし、テンプの片振りが大きいです。アンクルとガンギ車には少し問題があるようです。

 

文字盤は本来はSD文字盤のようですから作りは良いと思いますが、9時周辺に変色が出ています。これは製造上の問題ですね。インデックスと針の状態は比較的良好です。

 

ワンピースケースですが、ステンレス製ではなくSTPの真鍮にステンレスメッキで、すでに腐食が進んでいます。しかし、ステンレス無垢の素材のように、研磨をすることが出来ません。軽く磨く程度ですね。

 

裏側の状態。裏蓋はありません。この頃の彫刻文字はその後のセオリーとは異なっています。

 

ケースは軽く研磨してあります。機械をケーシングして、こちらも研磨をした風防をベゼルリングで圧入して完成。まだまだ非防水が全盛の時代の防水時計ですが、すでに近代的なデザインが採用されています。手巻きのチャンピオンと違った魅力を感じるモデルですね。裏押エは調達可能ですが、例によって現状で仕上げるのがオーナーさんの流儀なので折れたままで組んでいます。

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