この頃のオリンパス35mmコンパクトは小さくカチッとしたデザインがセンス良く好きです。35RCは1970年の発売だそうで、マニュアル撮影も出来ることからファンの多いカメラです。
しかし、この頃になるとパトローネ押さえにもモルトが使用されるようになって、それがれ劣化をして内部が粉々になるのが常です。
全体的にはきれいな個体ですが、残念ながらシンクロ接点部分が落下による陥没があります。(反対側も) これは出来るだけ修正をしておきます。
問題は露出計が作動せずEE撮影が出来ない。この頃の35シリーズ共通の不具合は、底部の電池室が電池液漏れにより導通不良になっていることが多い。接片とM1.4ネジ間に導通が無い。M1.7ネジは交換して導通を確認して組みます。
普通はこれで直るのですが、この個体の場合メーターは動かない。そもそもメーターとCdSの良否を確認しておきます。
残るのは回路です。A(AUTO)で電源が入るスイッチが隠れていて、これが接触不良でした。不良原因が2か所あったわけです。
次は、PEN-FTにデザインが似ているセルフタイマーがチャージをしてもレバーが戻ってしまいタイマーが作動しないとのお訴え。原因はチャージ軸に固定されているギヤが緩んで回ってしまうため。
当方の資料機と比較しています。このセルフユニットは動力が強力なゼンマイですので、ギヤに負担が掛ったものかも知れません。幸いオーナーさんが部品を所有されているとのことで部品待ち。
ファインダー内上部に出るシャッタースピードの指示針の位置がズレているとのこと。ここは鋼線が半田付けされていて、それが針と見えるのですが、過去の分解時に無意識に鋼線に触れて曲げてしまったのでしょう。無理に戻すと折れるので半田を緩めて位置修正をしました。
早速、セルフタイマーが到着しました。洗浄注油をして取り付けました。
意外に時間が掛かるモルト交換。この頃は強力に粘る接着剤が使用されているので溶剤で溶かすのに手間が掛かります。
カラーフィルムが高価であった頃はハーフカメラの選択肢が有用でしたが、70年代に入ると35mm版が一般的になって来ました。PEN-Dと比較してもそれほどサイズも違いませんね。#1722XX は1971年3月製。