今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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セイコー5 スポーツマチック DX 23石のレストア

2012年10月14日 12時52分52秒 | インポート

Dscf028115 INOBOOさんからカメラではなくて、時計が来ています。スポーツマチック DX 23石で、1965年のモデルです。外観のケースと風防は年月相応の傷と黄ばみがありますが、文字盤は比較的きれいですね。キャリバー7606Aのオーバーホールとケースと風防の研磨をします。型番7606-7000の「7000」がケースなどの仕様を表していますが、この個体はインナーベセルがローレットのキラキラしたタイプが付いています。これ60年代に豪華さを演出するために盛んに使われた手法です。このベセルには種類があって、私は、ローレットの無い大人しいタイプがセットしてある個体を所有しています。さて、ケースを分解して機械を取り出します。

Dscf028290 機械のオーバーホールよりはケースの研磨の方が数倍の時間が掛かります。腕時計に使われているステンレスの材質は非常に硬質で、紙ヤスリがすぐに摩滅してしまうぐらいです。この機種はカレンダーの日送りが別ボタンとなっていますが(後のモデルでは1個のリューズで兼用)操作する頻度が少ないため、手油の汚れやスプリングの錆により、スムーズに押し込めなくなっている個体が多いです。Eリングを外して取り出します。ホコリの混入とボタン自体の錆も発生しています。

Dscf028366 ケースには沢山のキズが付いていますが、全体の形状を変えないように、研磨は最小に留めるように注意をします。電動工具も使いますが、まずは手先で削って行きます。

Dscf028447 風防は樹脂の黄ばみはありますが、クラックなどはないためケースと一緒に研磨をしてあります。機械を分解して超音波洗浄をしたところ。機械の組立をして行きます。

Dscf028570 巻き芯の竜頭の部分が曲がっていました。何度も曲げると折れるので程々に修正をしておきました。問題なく機械は組み上がっていますが、この機械は手巻き機構は無いので、テストはドライバーで直接香箱のゼンマイを巻いてやります。手巻き機構がないため、竜頭は時間合わせ以外には使用しないので、多少曲がっていても問題はないのです。

Dscf028678 機械をひっくり返してカレンダー機構を組み込み、文字盤をセットしてから磨いた針を取り付けます。磨いたケースに日送りボタンをグリス塗布で取り付けます。

Dscf028710 すでに風防はベセルを圧入して取り付けてあります。最後に自動巻きの回転錘をセットして、スムーズに回転して巻上げが出来ていることを確認します。緩急の調整後、シリコングリスを塗布したパッキンをせっとして裏蓋を圧入します。

Dscf028944 完成したところ。セイコー5ですから普及クラスの製品ですが、その中でDX(デラックス)と高級感を求めるのが自動車のラインナップと一緒で日本人の習性でしょうね。がっちりとしたケースと豪華な文字盤で60年代の勢いを感じさせるモデルだと思います。このあと、70年代は機械の小型高性能化へと変化をして、機械式時計の終焉を迎えます。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/


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