今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

SEIKO ベルマチック 4006-7012は問題児の巻

2017年03月05日 18時27分35秒 | ブログ

カメラ作業の裏で進めていた腕時計はセイコー・ベルマチック4006-7012で、ビジネスベルという名前もありますね。単身出張などで目覚まし時計として使うということでしょうね。そもそも、UPの予定は無かったのですが、色々と問題があって作業が長引くとブログのUPが止まってしまうことからUPすることにしました。画像はオーナーさんへの連絡用として撮影したもので、すべての作業を記録していません。まず、困ったのが裏蓋が開かないということ。このような場合は、錆ついていることが殆どです。強力機械を使って時間を掛けて開けます。

やっと開けましたが案の定です。しかし、機械には水の侵入は無いようです。

 

 

普通の機械と違って複雑な構造です。ピンセット先のハンマーが振動して機械外周に円弧の形をした音環を叩いてベルが鳴りますが、オーナーさんからは「ベルの音が悪い」とのご指摘です。しかし、このモデルは「ベル」というような高くてきれいな音はしませんね。携帯のバイブ機能のような振動音という感じです。高級な手作り時計の場合は、音環を削って調律するようですが、量産品ですので、調整ポイントはないのです。音色はシチズンの方が良いと思います。

カレンダー機構を取り外してもカレンダー裏板があって地板はその下の二重構造です。

 

普段と全く異なる構造ですね。技術解説書を見ながら組み立てて行きます。

 

 

文字盤と針を取り付けました。ここで、セットした時間にベルが鳴鐘するかチェックして(まず合ってない)表示車と表示伝エ車の嚙合いを直します。

 

問題はケースです。裏蓋も錆びついていましたが、風防のテンションリング部の錆が文字盤内側から見えています。あ~、分解したくないなぁ・・でも仕方がない。

 

グスン、やっぱこうなるんだ。プラ風防とテンションリングは分離してケース内径は激しく錆びています。

 

調達したデッドの純正風防。その前にケースの傷も激しいので研磨をしておきます。

 

これは古い風防ね。テンションリングが分離してプラもクラックが入り使用不可です。

 

左がセットされていたもの、右が新品。

 

 

 

ケース研磨と風防が嵌る内周の研磨をしました。テンションリング付の風防は、外径を絞るのではなく、風防表面の外周をコマで押し込むので、ケースの内周が錆びにより荒れていると抵抗が増えて入らないか風防が割れてしまう可能性があります。貴重な純正風防ですから慎重に作業をして、画像のようにセットしました。

めでたくベゼルを圧入して風防取付け完了。あ~、割らなくて良かった。

 

 

機械をケーシングしました。ハンマーは殆ど音環に当たるか当たらないかぐらいで、試しに音環を取り除いてハンマーを作動させても、殆ど同じような音が出ます。ベルと言うより、やっぱりバイブの感じです。

 

自動巻き部。ここは一度も分解を受けていません。グリスはカラカラ状態ですので、指定のS-4グリスを塗布しておきます。

 

裏蓋パッキンは硬化して機能していません。新品と交換しておきます。

 

 

あら、最後の1枚でやっとどんな時計か分かりましたね。研磨洗浄をしたSSベルトを取り付けてや~~っと完成です。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。