ファンタジアランドのアイデア

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老後資金2000万円の問題を克服する小さな仕事  アイデア広場 その1339

2023-12-30 17:51:58 | 日記

 以前、金融庁から提案された老後資金2000万円問題が、話題になりました。この2000万円問題は、高齢者の中でも働いていない無職世帯のデータに基づいたものでした。老後資金2000万円では、家計収支で月5万5000円の赤字が30年続いた場合の試算というものでした。この2000万円の不安が、助長される状況が生まれています。近年の物価上昇により、今後はもっと多くの金額が必要になると予想されるようになったことです。この不安は、2000万円の捉え方になります。日銀の金融広報中央委員会の調査によると、60代の平均貯蓄額は2317万円になります。そして、70代の貯蓄は60代より少し上の2360万円になります。この平均貯蓄額に騙される方もいるので、もう少し、実態を詳しく見ていく必要があります。実態に近いデータは、小さい順に並べて真ん中にくる中央値になるのです。この中央値でみると、60代で 1270万円で70代では1200万円になります。大まかに見ると、60~70代の約半分は貯蓄額が1200万円以下ということになるわけです。ある意味で、高齢者の大半の人々は、1200万円の貯蓄を持ち、それで老後の備えを行うことになります。
 多くの方が心配していることは、定年後に年収の額が大きく下がることです。その定年後の年収は、60~64歳の平均値が357万円で、中央値は280万円になります。65~69歳になると平均値で256万円になり、中央値で180万円まで下がります。ある意味で、多くのシニアは、180万円前後の年収で生活することになります。赤字の額が最も多いのは65~69歳の方たちで、月平均6万4000円になります。不思議なことに、年齢層別の家計収支の分布を見ていくと、60歳代後半を過ぎて、70歳以上になると徐々に赤字が縮小していくのです。70歳から84歳までの累計赤字は、630万円で、老後資金は1200万円でも十分に足りる光景が見えてきます。さらに、驚くべきことは、85歳以上になると黒字に転換しているのです。1200万円は、平均値(2300万円)の半額程度ですが、過度な心配をしなくとも良いということになります。蛇足ですが、70歳以上になると、若いころの様に旅行などの高額消費が減ることが、赤字を招かない要因になるようです。さらに大切なことは、一定の健康状態でいることが、この赤字縮小に不可欠の要因になります。
 企業の定年後の継続雇用は、大半が65歳までになります。60代前半の就業率は、求職中なども含めると約7割になります。60代後半の就業率は、約5割という数字があります。これらの働く方たちの年収180万円なら、12カ月で割ると月収15万円になります。月収15万円は、65~69歳の無職世帯の平均赤字額、6万4000円を十分にカバーできることになります。夫婦で少し働いて世帯で月10万円も稼げば、赤字を解消できるわけです。その上、貯蓄も少しできて、老後資金を増やすことも可能になります。さらに、夫婦で1人10万円ずつ、世帯で月20万円稼げば、 60代が老後資金の大きな貯蓄の時期になるかもしれません。定年後も定期的に少し働いて、稼ぐことができれば、老後資金として2000万円も用意する必要はなくなるわけです。
 次に、シニアの労働市場を探ってみました。すると、シニアの有利な労働市場が現れていました。慢性的な人手不足もあり、えり好みしなければ仕事に困ることはまずはありません。えり好みしなければ仕事に困ることはなく、賃金の水準も2015年頃から上昇し続けています。短時間労働者の平均時給は高まり、高齢者でも収入を得やすい環境が整ってきているのです。でも、再雇用後のシニアの職探しに関しては、頭を切り替える必要があります。現役時代の実績や役職を生かそうとしても、そうした仕事はないと考えてください。体力を考えれば、デスクワークを希望する人も多いのですが、現実は難しいものがあります。シニアの仕事先として多いのは、飲食や販売などのサービス業や工場、清掃や警備などのノンデスクワークになります。再雇用が終われば、短時間の小さな仕事で少額の収入を得るケースが主流になります。シニアは、いわゆるアルバイトやフリーランスなどの形で働き続けるケースになるようです。
 このようにアルバイトやフリーランスで働くシニアは、幸せなのでしょうか。働かずに暮らせるだけの資産を持つ人の生活を、うらやしいとは思わないのでしょうか。世の中には、面白い調査をする人たちがいます。働く人(就業者)と働かない人(無職の人)を比較し、「幸福(満足)である人の割合」を年齢別に調べた調査があります。この調査によると、仕事に対する満足度は、入社まもない20歳前後では4割を超えていました。でも、この満足度は、20歳後半から徐々に下がって、30歳~40歳台の現役時代は35%前後で推移していきます。そして、50歳代になると、満足度が最も低い位置になります。年齢別に分布を見ると幸福度は50歳が最も低いことが分かりました。でも、この魔の50歳を過ぎると、幸福度が上昇していくのです。50歳より上の世代では年齢が高まれば高まるほど、幸福度が上昇していくという結果なのです。この調査の面白い点は、定年後は、就業者も非就業者も同様に幸福度は高くなることを示しています。その中でも、働いているシニアの方が、無職のシニアよりも幸福度が高いことを示しています。さらに60代後半から70代前半では、就業者の幸福度が全体を上回る結果となっていたのです。高齢者の働く姿を見るとつらくなると言う一般的な気持ちと、働くシニアの心理的実態は異なっているようです。
 ポジティブな姿勢が、幸せな気分をもたらします。定年後も、小さな仕事でも働くことは、ポジティブな気分を高揚させるようです。韓国の宅配事業団では、朝から高齢者が宅配依頼の入るのを待機室で待ちかまえています。軽量の荷物や書類を届ける仕事を、高齢者が待っているのです。この国では、65歳以上の高齢者が地下鉄を無料で利用できるのです。無料の地下鉄を使えば、宅配を安く請け負うことができるために依頼は多いのです。宅配歴6年の73歳の老人は、地図アプリを使いこなしてスムーズに配達をこなしています。1日の稼ぎはおよそ約1700円で、月に51000円を稼ぎます。この国での月51000円の収入は、年金を上回る額になります。韓国では、老後の保障を十分に行うことができないのです。でも、彼らは楽観的です。歩くことは健康に良いし、毎日決まって出かけるところがあって幸せだとポジティブです。日本のシニアも、負けてはいません。たった3部の新聞を、配達おばあちゃんがいます。おばあちゃんは、毎朝4時頃新聞を3部取りに来て、隣に配って一日100円ほどの賃金をもらうのです。一日100円が1カ月になると、3000円ほどになります。このおばあちゃんは、3000円を使ってお孫さんにお菓子を買ってやるのが楽しみなのです。このおばあちゃんの新聞配達は、韓国のシニアと同じように、生きがいを享受しています。働くことが、苦労ではなく、そこに楽しみや幸せを見出すシニアも多いのです。
 最近の世相を反映し、老後資金の不安には根強いものがあります。公的年金は先細りが予想されるうえに、物価が上昇しています。暮らし向きは、苦しくなると考える人が増えています。でも、老後資金を確保する手段としては、定年後も簡単な仕事で働き続けるという選択肢もあることがわかります。短時間労働者の平均時給は、2021年には1263円まで高まっています。これは、法定の時間給より高い数字になります。人手が必要な現場の仕事は慢性的に働き手不足に陥り、シニアでも雇われやすい状況が生まれています。短時間の小さな仕事が、主流になっています。この小さな仕事に、シニア層では満足度が高くなっている現実があります。この満足度の高まりは、仕事の負荷や責任レベルが下がってストレスが減ることが一つの要因になっているようです。仕事の負荷や責任のレベルが高い50歳の就業者は、幸福度が全体と比べても低くなっています。そこから解放されたシニアは、小さな仕事においても満足度が高くなるようです。今の状況は、夫婦で月10万円ずつ稼げば、老後資金の心配を解消できて、幸福度も増す状況があります。満足度が60歳を過ぎると45%を超えて、70歳では59.6%が仕事に満足しています。この幸せな状況を、享受したいものです。