ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

ドライバーの所得を組織で向上させる仕組み  アイデア広場 その799

2021-01-23 18:16:11 | 日記


 需要があり供給が不足すれば、供給側が有利になることは経済の常識になります。でも、ドライバーの世界は、違う様相を示しているのです。2018年度の国内の宅配便、個数は約43億個と4年連続で過去最多の記録を更新しました。日本郵便の「ゆうパック」は2020年4~6月期で2億8600万個と前年同期比26.4%増えたのです。ドライバーの職業有効求人倍率は、2018年度で3.01になりました。このドライバーの有効求人倍率は、2012年度の1.41から2倍以上に上昇しているのです。現在、17万人のドライバーが不足しているともいわれています。売り手市場であるにも関わらず、トラック関係の企業は利益を上げる体質になっていません。この業界を支えるドライバーは、人気職業に従事しているとは言えない状況です。
 そのような中で、日本中のドライバーの社会的地位を高めたい。流通業で真面目に働く人が、正当な報酬をもらえないのはおかしいと声を上げたのはCBクラウド株式会社です。立ち上げた事業が、フリーのドライバーと即日荷物を発送したい企業の仲介業でした。現在、契約する軽貨物ドライバーは2万人にも及び、一般貨物車両は1万台を突破しました。配車アプリを使って、条件を提示して、ネットに流します。CBクラウドと委託契約を結ぶドライバーの一覧から、運んでもらいたいドライバーを選ぶ仕組みです。届けて欲しい人と届けたい人を直接繋ぐ、配送マッチグサービスを構築したわけです。評価制度を取り入れ、配達の高評価の人に優先的に高い単価の仕事を回す工夫をしています。
 若き物流挑戦者に、大企業も熱い視線を送っているようです。この仕組みを使って、週5日の稼働で月の売り上げが50万円以上のドライバーも多いということです。もっとも、週末のみハンドルを握る主婦から、専業で生計を立てる人まで多様な人々が働いています。お子さんを育てているお母さん、外国人、高齢者とこの企業は、ダイバーシティを実現しているようです。現在のサービス地域は、東京や神奈川、大阪など7都府県に限られています。流通の需要が、多い地域になります。この配送を利用する企業は、スギ薬局や東急ハンズなど提携16社に及び、全国3800店舗から商品の配送を受注しています。佐川やソフトバンク、日本郵政子会社は、CBクラウドに出資して、応援の姿勢を示しています。この会社は、新型コロナウイルス感染が拡大した4月から、一般消費者まで配送の範囲を広げました。いわゆる宅配業務にも進出したわけです。
 運送業は、中小企業の競争が厳しい業界になります。人手不足とはいえ、トラック業者は62,000社がひしめく過当競争の世界なのです。運送の仕事は、トラックの運転がメインではないのです。あるトラックドライバーの1日仕事の割合は、3割が運転で、7割が積み下ろしの時間になります。荷物の積み下ろしが、想像を超える肉体労働になっています。配達先では、荷物の積み下ろしに、他のトラックが10台も順番待ちしいるのです。カンバン方式からは想像もできない業界特有の「待機時間」があります。待機時間、過酷な積み下ろし、不規則な運転時間は、ブラック業界の名に恥じないもの言われています。逆に考えれば、待機時間がなく、過酷な積み下ろし作業がなく、不規則な運転時間でなければ、この仕事はホワイトな職業になるわけです。そして、若き挑戦者は、その仕組みを作りつつあるともいえます。
 ドライバーさんの収入を増やすためには、稼働率を安定的に高めることが必要です。マッチングサイトを通じて、CBクラウドさんのように稼働率を高める仕組みを考えてみました。お歳暮や年末の時には、必ず配送の依頼が来ます。お歳暮や年末のときに、確実な仕事をして信用を得るわけです。その上で、条件に合わない配送はお断りするのです。たとえば、宅配ボックスのある所に限定した配送を引き受けます。再配達がありませんから時間の無駄がありません。待機時間のある会社は、拒否し契約をしません。待機時間がありませんから、時間の無駄がありません。最も、時間通り配送できるところだけを選択しているのですから当然かもしれません。配達の需要は、確実に増加していきます。そして、ドライバーは、確実に減っていくのです。常識の通じない世界では、非常識なことが有効になるかもしれません。
 運送業の中では、タクシーの稼働率が、低い状態が続いています。タクシーの待ち時間は、3割以上になります。駅前に多くのタクシーが、待機しています。稼働率が、低い象徴になっています。外出自粛を受け、全国のタクシードライバーは困っています。困っているというだけでは、解決になりません。福島県のいわき市のタクシーグループは、飲食店と連携して新しい事業を始めました。このグループは、料理を宅配したり、買い物を代行したりするサービスを始めたのです。ネット通販の拡大で、宅配便数は増え続けています。でも、宅配をするドライバーは不足しているのです。不足しているところと余っているところは、補完関係成立します。美味しいという料理店のテイクアウトは、売り上げを上げています。このコロナ禍の時期、お店に行くより、出前のほうが雰囲気は良くなります。地方では、出前館やウーバーイーツなどが十分に普及していません。タクシーが庶民の足になります。この種のマッチングは、現在のタクシー会社の組織を使えば、容易に作れるものです。
 余談ですが、未来のタクシービジネスは、自動運転と電気自動車(EV)を導入することになるでしょう。電気自動車になれば、室内の構造は現在の自動車とは異なるデザインが可能です。車に乗っている間に体温や血圧、そして脈拍など体調チェックなどのサービスを行う空間になるかもしれません。タクシーの空間が、医務室になるというわけです。この車を事務所や会議室がわりに使うことも可能でしょう。通勤の間、同じ会社の部署の社員が相乗りして、打ち合わせをする時間と空間を確保することもできます。会社についたときには、打ち合わせが終わり、てきぱきと仕事に取り掛かるだけという状況も夢ではありません。電車の通勤より便利なことは、「door to door」ということになるかもしれません。でしょう
 少し先の未来のお話より、もうちょっと現実的話題を提案します。EVの普及は、自然の流れになります。そして、EV軽トラックの実用化も急がれるでしょう。現在、人口過密地帯をガソリン仕様の軽トラックが縦横に走っています。カーボンフリーの時代には、そぐわない光景です。当然、EV軽トラックの導入が、企業イメージを考慮して導入されます。この実証を早めに行えば、ビジネスチャンスを手にすることができます。その実証する担い手は、現在、実際に行っているドライバーの方になります。ガソリン車より維持費が安く配達のしやすいEVトラックを、企業とドライバーの知恵を出し合って開発することになります。そこに、もう一つ加えたい点が、ダイバーシティの視点です。家庭の主婦も外国人も、そして高齢者でも運転業務ができて、環境にやさしく、プライドを持ってドライバーの仕事ができるEV軽トラックを開発してほしいものです。