先日テレビを見ていると、小学校で学ぶ外国人の子ども達が増えているというニュースが流れていました。「日本語を学ぶのは大変だろうな」という気持ちで、その映像を眺めていました。事実、日本語修得に苦労している外国人の子ども達の映像が流れていました。その中で、日本語の修得を積み木を使いながら教えていることが印象に残りました。「あいうえお」の積み木は、子どもの文字認識に役立つことはよく知られているところです。
そこで、文字の修得に役立つ「あいうえお」の積み木について考えてみました。文字認識には、機械的認識と経験的認識があります。機械的認識は、幼児が大人の言葉を真似している段階になります。この段階は、両親が辛抱強く言葉の反復を繰り返す事になります。機械的認識を通して、多くの発音を覚えることになります。ここで大事なことは、大人の行動です。幼児は大人の反応を見ながら、印象に残った発音を繰り返す事ができるようになるのです。大人の反応がなければ、言葉を繰り返しても、覚える段階まで進みません。最近の脳科学によれば、他人のまねの重要性が指摘されています。他人の言葉を真似しようとするとき、脳の活動がより活発にになります。もちろん、お母さんやお父さんの笑顔や驚きが、幼児の機械的認識の意欲を高めることは明らかです。人間の脳は、後天的に脳内に情報を蓄積し、アウトプットできる能力を備えていきます。この能力は、誰にでも平等に備わっていくわけではありません。家庭内の相互作用によって、個々の能力は変わっていきます。
幼児は、見て、聞いて、感じたことが経験として認知され、蓄積していきます。遊びは、幼児の経験を豊かにする宝庫です。その遊びの中に、積み木遊びがあります。日本では、文字の修得に役立つ「あいうえお」の積み木が幼児に与えられています。「わんわん」は犬で、「にゃんにゃん」が猫という区別がついてくる頃、言葉の修得が急増します。幼稚園の高学年になると、「あいうえお」が読んだり書ける子ども多数現れます。このとき大切なことは、機械的認識と経験的認識の理解です。ただ単に読めるとか書けるという機械的認識より、経験的認識のレベルまで高まったほうが、望ましいわけです。例えば、積み木で、「い」と「ぬ」の積み木を組みあわせた時に、「いぬ」ということばになります。そこで、子どもに「桃太郎に出てくる動物と動物に与えたものは何かな?それを積み木で教えて!」と尋ねます。子どもは、「いぬ」「さる」「きじ」「きびだんご」を積み木で並べ始めます。でも、「き」が1つしかありません。「き」が2つあれば、スムーズに答えることができます。認識は、聞いて、読んで、書いて、感じて、遊んでというように多様な感覚や行動を通して深まっていくものです。1組の積み木では、文字の組合せが少なく、多くのことば遊びはできません。でも、2組にすれば、より多くのことばを組合せを造り出すことができます。
蛇足ですが、味の素は売り上げ増やす工夫として、瓶に入れた味の素を出す穴を大きくしました。積み木の売上げを増やすためには、積み木の付加価値を上げることです。大きな穴に代わるものが、積み木が持つ付加価値になるでしょう。2組か3組を、セットで買ってもらう仕組みを用意してはどうでしょうか。