ファンタジアランドのアイデア

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医師の負担を軽減する仕組み   アイデア広場 その 471

2019-06-01 16:48:23 | 日記

 理想的な医療とは、、病気になる人が少なく、病気の人は早く治り、お医者さんも健康な状態を維持していることでしょう。それに付け加えて、医療費が少ないことがベストと言えます。日本の医療は、イギリスなどに比べればとても早く治療をしてもらえます。イギリスでは、手術に何ヶ月も待たなければならないというケースもあるのです。蛇足ですが、EU離脱を決めた要因に医療インフラの脆弱性があると言われています。その理由は、移民が多くなったことにあります。つまり、移民の患者が増えて、イギリス人が病院でなかなか診てもらえなくなったのです。もっとも、費用の高い私立病院にかかれば良いのですが、お金がかかり過ぎることが難点のようです。日本の医療は、優れています。でも、困った問題も出てきているのです。一つは、医療費の増大です。二つ目は、医療関係者の長時間労働による健康被害です。
 そこで、日本の医療現場を健全な状態にする方法を考えてみました。心身ともに健康なお医者さんに診てもらうことが、国民も医療関係者にも良い結果をもたらします。疲れたお医者さんに診てもらえば、思わぬ誤診など問題を起こすことになります。リスクない医療はありません。そのリスクを最小限にするためには、医療関係者が余裕を持って診療に当たることができる環境の確保です。日本の場合は、医師の現場に過酷な労働を強いています。医師の過酷な労働状態は、長い目で見ると、医師の方にはもちろん、患者側にとっても悪影響を及ぼします。医療の質を落とさず、医師側も運営企業側も収益を確保して行くことが課題になるわけです。この課題を解決するヒントは、インドや東南アジアにあるようです。
 インドでは10万人あたりの医師数は、61.5人と日本の4分の1にすぎません。医師1人が、1600人以上の患者を診る計算になります。インドは、病院や医師が非常に不足しています。一方、経済の発展に伴って、健康志向は高まっています。医療機関の整備が求められているわけです。この要望に応えようとする人達がいます。インドでは、スタートアップが深刻な医師不足に対応しようとしています。インドなどの新興国では、社会問題の解決に向けて先端技術を取り入れています。その延長線上に、ITを駆使して医療の効率を高めようとするスタートアップの存在があります。
 その中に、スマホ診療があります。スマホのアプリを使って、オンラインで医師の診療を受けられるサービスが広がっているのです。スマホ診療では、利用者はまず自分の体調や症状を入力します。このアプリには、「熱がある」「せきが出る」「かゆみがある」「関節が痛む」など数十項目があります。利用者は、自分に該当する項目をタップするだけです。問診票に、自分の症状を記入すると思えば良いでしょう。この入力された症状を、人工知能(AI)が分析します。スマホ診療では利用者の問診をもとに病気を予測して、複数の候補を表示することになります。次に、この病気に対応可能な医師の一覧表が示されます。利用者は、そのリストから医師を選んで相談することになります。企業は、病院や医師と契約をして、患者を効率的に診療する仕組みを作っているわけです。
 患者は、アプリに表示された医師の一覧表から最も経験豊富な医師を選んで診てもらうのです。あるニューデリー在住の患者は、そこから約1500km離れた病院の医師に診てもらうということも行われています。AIで病気があらかじめ予測されているため、医師の診断が効率化できます。スマホ診療のおかげで、交通渋滞が名物の首都の中を移動時間や医療機関での待ち時間が節約できたと評判も良いようです。また、スマホ診療のおかげで優秀な医師に診てもらえたと喜ぶ患者もいます。
 インドは、格安スマホの普及や医療に関する規制が欧米の先進国よりも緩いという事情があります。日本では医師法で、医師が自ら診察しない治療や処方箋は禁じられています。人を守るという姿勢が、強く出ています。その意味で、インドにはオンライン医療のような新しい仕組みが受け入れやすいのでしょう。ライドシェアやモバイル決済は、日本よりもアジア各国で急速に普及しています。これらの先端技術は、地域や国民性に根付いたニーズに支えられて発展しています。ある面で、先進国のシステムより進化しているところもあるのです。医療の面でも、途上国から先進国を凌駕するシステムが開発されるとさえ考えられるようになってきました。
 余談ですが、オンラインを利用した医療では、聴診や触診、そして打診ができません。画像や、患者の声だけでは、症状を見誤る恐れがあります。スマホ診療では、病気の内容に十分対応できないことを医師も利用者も認識しておくことが大切になります。とは言え、
インドネシアなど大小の島々からなる国は、遠隔地の受診できるスマホ診療への需要は大きいのです。日本の厚生労働省も、離島やへき地など十分な医療が受けにくい地域では遠隔診療を認める通知を出しています。日本の過疎地域でも、オンラインで医師の診療を受けられるサービスをもう少し積極的に導入してはどうでしょうか。現在の日本では、医師の人権がないがしろにされた環境で、医療業務が行われています。世界では、人権を疎外するような形で生産効率を上げても、評価しないという流れになっています。日本の医療は、そんな状態にあるかもしれません。今は大きな病院に行く場合、紹介状が必要になっています。最初は、開業医で見てもらいます。病状が重い場合、大きな病院を紹介してもらうという流れです。開業医の前に、スマホ診療の予備段階を設けてはどうでしょうか。インドなどの新興国における先端技術の利用が、医療分野の変革につながる可能性があります。スマホ診療が、日本の医師の負担を軽減する物ならば、積極的に取り入れる姿勢も必要でしょう。もちろん、国民の健康が向上すれば、それに優る幸せはないでしょう。