高学歴の女性を母親に持つ子供と低学歴の女性を母親に持つ子供との間には、教育の環境に格差が生まれます。高学歴な母親ほど仕事を持ち、安定した結婚生活を営み、わが子の教育に熱心です。大卒の母親は低学歴な母親よりも育児に多くの時間を割き、とくに情操教育に力をいれるようです。教育格差が一度つくと、なかなかその差を取り戻すことができないと、メリトクラシー理論の信奉者は主張しています。その真偽は置いておいて、教育格差を解消するという説に反対する人はいないでしょう。
そこで、教育格差を解消の解消する方法として奨学資金の増額を考えてみました。日本で奨学金を利用している若者は、130万人です。年間1兆1千億円使っています。奨学金の額は、年間一人100万円弱になるようです。これでは少ないでしょう。奨学金を充実させるためには、積極的な募金活動や的確な基金運用が重要になります。奨学金の基金を小中高生が、在学中に働いて作り出す仕組みを提案します。自分たちの将来の教育資金を、自分たちで稼いで準備しておく仕組みを作るわけです。日本の小学生は640万人、中学生と高校生は330万人の660万人になります。計1300万人児童生徒がいるわけです。そのうち、小学校1~3年生は除外して、1000万人の児童生徒が奨学資金を作るために働くことにします。1000万人が年間30日、1日4時間、時給500円で働くと、年間6000億円の収入が得られます。これを現在の奨学資金の制度に組み込むのです。
草刈りの担い手は、年々減少しています。雑草が伸び放題になると、カメムシが増加し、農作物の被害に繋がります。地方自治体では、地域の環境美化にシルバー人材センターなどの高齢者を利用しています。これらの作業に、小中学生を参加させます。社会に通用する労働力は、小さいうちからの積み重ねによって養われます。家事労働や地域の労働の機会を、子ども達に準備することは必要なことです。高校生になれば、商業科や建築科などの専門性を生かす作業が可能になります。レジに立ったり、建設工事に参加することは可能です。小中高生が、自分のできることや特性を生かして働き、そして稼ぐわけです。
人の資質や人間の成長に資産を集中すれば、経済的成功は後からついてきます。子ども達が労働で稼いだ6000億円を、現在の奨学資金1兆1000億円に加えて、1兆7000億円として奨学金を増額するわけです。奨学金には、返還制度があります。もし毎年6000億円が奨学基金に加えられれば、莫大な基金が蓄積されることになります。返せない若者もいるようです。でも、マイナンバー制度を奨学金制度と結びつけることにより、生涯にわたり無理のない返還の仕組みを作ることは可能です。教育の目的は、社会が幸福であり、全ての人を幸福にすることです。多くの若者が高等教育を受ければ、より良い子育てが可能になります。奨学金制度を充実させ、教育の目的を達成させたいものです。