TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」27

2015年04月10日 | 物語「夢幻章伝」

「砂、一族に」
「保護された・・・?」

マツバの言葉に、へび呼ロイドが続く。

「だって、砂一族って!」
「そう、あの、砂一族だよ」

へび呼ロイドの言葉に、アマキが頷き、

「保護してくれるなんて、優しいのね!」

マツバがいい感じでまとめる!

「それを聞いて、安心して、夕飯も喉を通るわ」

マツバは夕食を再開する。

「え、・・・あ、うん?」
へび呼ロイドは、あれ、それでいいんだっけ、と思いつつ、一緒に夕食を再開する。

「あの、姉さん」
「いいのよ」
マツバが云う。
「どうせ、砂一族の村へ行くつもりだったんだし」
さらに
「むしろ、感謝してるわ」
「それは、よかった・・・のか?」
「ほら、あんたのも頼んであげるから、食べなさい」
「ちょっ、マツバ!?」
「いや、俺は大丈夫だけど・・・」

アマキが云う。

「とりあえず、俺たちは砂一族の村には入れないから、早めに迎えに行ってあげて」
「保護されているんだもの。急がなくたっていいわ」
「うん、でも」
アマキが云う。
「砂一族って、人を食べるって噂だし」
「おっ、ぐ、ぐふっ!」

旬の野菜を使ったオーガニック会席
シェフの気まぐれデザート付き


へび呼ロイドは、思わず詰まらせる。

「なんだって!? 人を食べる??」

アマキは、へび呼ロイドを見て、頷く。

「まあ、噂だよ」
「ずいぶんと、荒い一族だって聞いてたけど」
「うん」
「それは!」
「ないわね」

マツバは定番で、きりっとする。

「アヅチ、おいしくなさそうだし!」
「姉さん! そんなことないよ!」
「じゃあ、あんた、食べてみなさいよ!!」
「ええぇー!!?」

アマキは、思わず、前のめりになる。

「でしょ。アヅチなんかより、こっちを食べたがいいわ」

マツバは、内線を押す。

「旬の野菜を使ったオーガニック会席・シェフの気まぐれデザート付き、追加でお願い!」

「おぎゃーぁああああ!!!」

「へびさん! 大丈夫!?」
「だ、だだだだ」
「へびさん、これを飲んで!」

アマキは、キューシ●を差し出す。

「ああああああ、ああ、りがとう、アマちゃんっ!」

「本当に、騒々しいわね」

マツバは、炊き込みご飯に手を伸ばす。

アマキがへび呼ロイドを介抱していると
さっそく
アマキ用の
旬の野菜を使ったオーガニック会席
シェフの気まぐれデザート付き

運ばれてくる。

「ほら、いただきなさいよ」
「あ、はい。」

アマキは、それをじーっと見る。

「さすが、東一族の料理ね」
マツバが云う。
「最高だわ!」

「姉さん」
「何よ」
「これ、・・・妹に持って行ってもいい?」
「・・・・・・」
マツバは、アマキを見る。

「どうぞ!!」

マツバは、ラップを渡す。

「マツバ~」

へび呼ロイドが涙目で云う。

「アヅチが心配だよぅ。迎えに行こうよぅ」
「大丈夫よ」
マツバが云う。
「何かあっても、アヅチは末っ子だから!」

どう云う意味!?

「とにかく、明日の朝には出発しようよー」
「砂一族の村の入口までなら、俺が送るよ」
「本当に!?」
「もちろんだよ、へびさん」
アマキが云う。
「一応、砂には知り合いもいるし」
「ありがとう、アマちゃん!!」

「・・・てか、あんたら」

マツバは飲んでいた湯呑を、どんっ、と、テーブルに置く。

「忘れてないでしょうね?」

「・・・え??」
へび呼ロイドは、いやな予感がした。

「私、まだ、飛び出されてないから!」

飛び出されるまで、ここから動きません宣言。



NEXT

「夢幻章伝」26

2015年04月07日 | 物語「夢幻章伝」

「って言うか、おかしいよ」

東一族の少年が砂漠をすたすた進む。

「南一族、転移させたのあいつらなのに
 なんで僕が迎えに行かないといけないんだ」

ぷんすこ、ぷんすこ

「仕方ないですよ。
 今日の砂漠当番、リク様なんですから」

給食当番的なニュアンスで答えたのは
少年の肩に乗っていたヘビ。
喋るヘビはへび呼ロイドだけではないらしい。

「だって、もう夜だってのに。
 お腹も空いたし。
 あぁあ、今日は何だかついてないなー」

ぎゅるるる。

「ですから早く終わらせて帰りましょうよ」
「そうだね。
 なんだかマサキコが食材に見えてきたし」
「まじっすか」

ヘビのマサキコは身の危険を感じながら進む。
このご主人は東一族でありながら
時々お肉食べたいとか言い出す強者だ。
(東一族はほとんどの人が菜食主義)

ここは頑張って早めに帰らねば、と
マサキコは全力を出す。

「夜目を利かせるー!!!」

ギューン、とへびの特有の能力を発動させる。

「頑張ってマサキコ!!」
「なんか、赤外線的な、なにかー!!」

うおおおおお。

「あ、リク様。
 あっちに何か人影が」
マサキコはキコキコしながら尻尾をその方向に向ける。
「よかったー、見つかったじゃん」
「ってかリク様も目がいいんだから
 ちゃんと見て下さいよ」
「ええっとどれどれ」

「「……あれ?」」


「もしもし、あぁ、どうだった?」
数十分後、アマキのインカムに着信が入る。
『―――で、そしたら、―――が』
「え?もっと詳しく、え?」
『だから、―――だって!!』


「はぁ?」


そして、場面は東一族のお宿に移る。


「……」

宿に戻ったマツバは先程から険しい顔だ。
「マツバ」
へび呼ロイドは控え目に声をかける。

砂漠に飛ばされてしまったアヅチ。
アマキとタツキに任せたものの
やはり心配なのだろう。

「ふう」

ため息。
マツバは覚悟を決める。

「仕方ない。
 今日の夕食は、私が2人分食べるしかないようね!!」

どーん!!

「へび呼ロイド、
 仲居さんに夕食の準備を告げるのよ!!」

「ええええ
 マツバ、アヅチが心配じゃないの?」
「あいつらが大丈夫って言ってるんだから。
 私たちがバタバタしたって仕方ないわ」
「それは、そうだけど」

マツバは真顔になる。

「ねぇ、へび呼ロイド
 何かあったらすぐに動ける様に
 私たちだけでも食事、食後のリラックスバスタイム
 アロママッサージ、睡眠はとっておかなくちゃ」

「マツバ……何か色々混ざってたけど
 聞こえなかったことにするよ」

へび呼ロイドは、ええいっと内線電話のボタンを押した。
「すみません
 お食事の準備よろしくお願いします」
「アヅチ分には、
 夜食をルームサービスで頼むしかないわ。
 割高だけど!!!!」

大事なのはそこ。

「姉さん!!!」

どーん、とアマキが現れる。

「あら、アマキどうしたの」

テーブルには今夜の食事が並んでいる。

旬の野菜を使ったオーガニック会席
シェフの気まぐれデザート付き

「違うんだよ、これは!!
 おいら達は何かあったらすぐ動ける様に
 夕食を取っておこう、と!!」

へび呼ロイドは弁明を始める。

「それよりも、その兄さんなんだけど、
 大変申し訳ないことになったんだ」

マツバはぴんと来る。

「移転に失敗して、
 アヅチが上半身と下半身に」
「ぎゃあああああ、アヅチぃいいいい」
「違うよ!!
 そんなえぐい展開イメージさせないで!!」

おぎゃあ。

「実は兄さんを迎えに行ったやつから
 連絡が入ったのだけど」

言いにくいのか、アマキはそこで言葉を止める。
だが、くっと顔を上げ事態を報告する。

「兄さん、どうやら砂一族に保護されて、
 奴らの村に連れて行かれたらしいんだ」



NEXT

「夢幻章伝」25

2015年04月03日 | 物語「夢幻章伝」

「まあ、あれだ」

タツキが云う。

「東一族の村って、割と外から襲われやすいから」
「実は意外に、魔術と武術が充実してる」

アマキが、言葉を継ぐ。

「最近、多いんだよ、この白いの」
「そうそう。うちの農作物を食い荒らして困ってる」

東のふたりが、いきなり戦闘モードだ。
アヅチ、かたれ!(TOBA地元の方言で、加われ、の意)

「え、ちょっ!」
「タツキはそっちだ」
「おうよ、アマキ!!」
「どっち!?」

きびきびと動くふたりを見て、アヅチは慌てる。

このままでは、・・・出番が!!

「何やってんのよ」
マツバが、アヅチに云う。
「早く、かたってきなさいよ」(TOBA地元の方言で、加われ、の意)
「云われなくてもっ」

アヅチは、アマキとタツキのあとを追う。
さらに、
そのあとを、マツバとへび呼ロイドも追う。

「あわ、わわわ、わ」
へび呼ロイドは、気が気じゃない。
「同僚ー!!」

ぎしゃぎしゃー!!(同僚の鳴き声)

へび呼ロイドの声は、同僚に届かない。

なんか、いかにも悪!な同僚たちは、東一族の畑の野菜を食い荒らす。

「お前ら、やめろー!」

アマキとタツキは、大きな網を取り出し、広げる。

「一網打尽だぜ、アマキ!」
「だな、タツキ!」

ふたりは、とっても手馴れている!

「ねえ、ちょっ、オイラたちの同僚どうする気!?」

アマキとタツキは、網の片方をそれぞれ持ち、二手に分かれる。
つまり
「網で、捕えると云うことね」
マツバはコーヒー牛乳を飲んだ。

「あわわわわわw」
「大丈夫だよ、へびさん!」
「俺たち東一族は、基本的には、生き物を殺さないからな」
「でも、畑が荒らされると困るので」
「村外追放!」
「あわわわわわw」

アマキとタツキは、うまいこと同僚たちを取り囲、



「兄さん!」
「南の兄さん!!」

「俺も、かててくれー!!」(TOBA地元の方言で、仲間に入れて、の意)

なんか、畑の真ん中にどーーんと、アヅチがいる。

「おわ、ちょっ!! 南の兄さん、そこにいたらっ!」

ネットIN。

「ふっ」
マツバは、気持ちよくコーヒー牛乳を空け、呟く。
「ベストポジションやるじゃない、アヅチ」
そして、空き瓶をごみ箱へ捨てる!

「兄さん、どいてー!」

アマキとタツキの勢いは、急には止まらない。

「ダメだ、タツキ!」
「仕方ないね、アマキ!」

らん、らんらら、らんらん♪

優しく

同僚とともに、アヅチは網に包まれる。

「兄さん、あとで迎えに行くから!!」
「止められなくて、ごめん!!」

アマキは、空中に陣を描く。

「ええい、吹き飛べぇー!」

東一族は、紋章術を使います。

「おわぁあああああああ!!」
「ぎしゃぎしゃー!!」

ぎしゃー!

ぎしゃ!

ぎしゃ

・・・・・・。

静かに、東一族の夜が更けていく。









「じゃ、」

「じゃ?」

「じゃなーーぁあああああいい!!」

夜中に、へび呼ロイドの叫び。

「へびさん、お静かに」
「じゃないよっ!」

へび呼ロイドは、キコキコする。

「オイラたちの同僚は!?」
「ここから東の砂漠へ、飛ばしたよ」
「アヅチは!!?」
「ご一緒に」

まあまあ、と、アマキがにっこりする。

「南の兄さんなら、すぐに迎えに行くから」

アマキは、インカムを取り出す。

どこの一族でもインカムは普及しているのか。

「おい。聞こえるか」
アマキは、インカム先と話す。
「聞こえてるんだったら、砂漠に行けよ」

「・・・それにしても」

マツバは、そこに、きりっ、と立っている。

「あんたら、やるわね」
「もちろんだよ、姉さん! でも」
タツキが云う。
「姉さん、動いてなくても、その存在感はんぱねぇ!!」
「当たり前よ」
マツバは、再度、きりっ、と云う。
「コーヒー牛乳はおいしくいただいたわ」
「毎度ありぃ!!」

とりあえず

今、誰かが、アヅチを迎えに云っております。



NEXT