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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」41

2021年06月01日 | 物語「続・夢幻章伝」
お茶でも飲もう、と
村の中心地へ向かう三人。

さっきまで牢に入れられていたけれど、
いいのかこんな感じで。

「親父が場の空気、全てを
 持っていった感があるよな」
「あんたのご両親、そういう所あるわ」

このままでは、
続・夢幻章伝~伝説の飛鳥~
が、始まってしまう。

「一応、同僚達を鎮めたの
 俺達なんだけどな」

いいんですけど、別に!!!

「それはともかく、だけど」

マツバはじっとアヅチを見る。

正確には、
アヅチを取り巻くように
ふよふよ浮遊している同僚達。

「これって、
 へび呼ロイドの問題は
 解決したって事でよいのかしら?」

失踪した同僚達を探す旅、的な。

「ううん、それなんだけど、キコキコ」

へび呼ロイドは同僚達を覗き込む。

「本来、同僚はオイラ達と同じく、
 深い森に住む妖精。
 それがなぜ、畑を食い荒らすような事を……」

「妖精、だったのか?」
「なんの、豆?豆の妖精???」
「風船?」
「というか、分子って言ってなかった?コロイドとか?」
「生きとし生ける者は統べて
 元素、さては分子、で出来ているみたな?
 自然界のメッセージ???」
「妖精ってクレジットカード持てるの?」

新たな疑問が次から次へと発生していく。

「ぴぎゃぴぎゃ」

「同僚達もなぜそんな行動をとったのか
 さっぱり分からないと言っているキコキコ」

「ぴぎゃぎゃぎゃ」

「まるで何者かに操られているような
 そんな感じだったと、キコキコ」

「「………ううん」」

結局、まだ事件は解決していない。のか?
そして、やっぱり
ギャーズンみたいなラスボス?が
今作も登場すると言うのか。

「俺達の旅は、続く!!!」

「どうしたのアヅチ、キコキコ」
「急に大きな声を出して?」
「わからん、
 なんか、言っておかなきゃと思い」

アヅチとマツバがくだぐだしている間に
後ろからドルンドルンドルン
ブロロロロロロというエンジン音。

「よお、待たせたなお前達!!!」

(実際はエンジン音が響いておりますが、
 省略させて頂きます)

「親父、もう終わったのかよ」
「ああ!!!なんなら
 新しく畑を一つ作ってきたぜ!!!」

アヅチ父が運転する耕運機の後に
族長他、山一族の面々が続く。

村の広場に戻らねば。

「族長、やっぱ、良いですよ耕運機。
 ウチの村でも買いましょう!!」
「しかし、我が村のような
 一つ一つの畑が小さく段々になっている場所では
 乗り入れが難しく、宝の持ち腐れになってしまいかねん」
「いっそ、農地整理を行い、一つ一つの畑を大きく」
「落ち着け、ウチの本業は狩りだろ」

改良を加えたい若者。
伝統を残したい年長者。
葛藤と苦悩。

「またもや、親父が一石を投じてしまっている」
「いつもの事ね」

嵐よ呼ぶ男、アスカ!!

「なんだか、
 アヅチのお兄さんに似ているね、キコキコ」

へび呼ロイドは
アヅチの兄、モモヤを思い浮かべる。

「うん?
 ああ、兄貴は親父似なんだ、顔だけは」

そう、顔だけ。
中身は全然違う。

「と言う事は、アヅチはお母さん似?キコキコ?」

「さあな」
「照れちゃって、このこの~。
 で、マツバ、どんな人なのキコキコ」
「おい、止めろ!!」
「そうね、ちょうどあんな感じの」

マツバは人だかりの中心を指差す。

「あんな、……感じ、の」

「あら、アヅチくん。
 マツバちゃんも!!」

おおい、と手を振りながら
こちらに駆けてくる黒髪の女性。

「おふくろだぁ」

もはや魂抜けそうなアヅチ。

そう言えば、二人で買い付けに行ったとか
そんな話だった。
(夢幻章伝88、続・夢幻章伝3、参照)

「なあに、どうしたの、こんな所で
 もしかして!!二人ともスタンプラリー参加なの!?
 あらぁ、お母さん、アヅチくん達とお父さん
 どっちを応援したらいいのかしら!!」

困ったなあ、と一瞬首を傾げた後。

「いいえ!!
 ここはアヅチくんに頑張って
 お父さんを乗り越えて欲しいところね!!」
「おいおい、そこは俺だと言ってくれよ、
 はっはっは!!!!!」
「もう、アスカくんったら!!!」

「ところでヤヨイ。
 準備は出来ているか?」

アヅチ父は、アヅチ母に尋ねる。

「もちろんよ、アスカくん!!」

村の広場では
炊きだしなのか、と言わんばかりの大釜が
湯気を噴き、
美味しそうな香りを漂わせている。

「農作業の後は、
 美味しいご飯って相場が決まっているもの。
 さあさ、もうすぐ南一族特製豆ご飯の完成よ!!」

みなさんもどうぞ~、と声をかけるアヅチ母に
地元ジビエ料理屋を経営するロ=フタミさんは
これは、地元民として俺も負けていられない、と
闘志を燃やし始めた。


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