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現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「夢幻章伝」56

2015年08月25日 | 物語「夢幻章伝」

「あぁ」

アヅチはモモヤを上から下まで見下ろした後
はいはい、と、呟く。

「アニキさんですか」
「おいいいいいいいーーー!!!」

モモヤはガタガタとアヅチを揺さぶる。

「なんだ、その気の抜けた反応は
 しっかりしろぉおおおい!!
 なんでそんな疲れているんだ!!」

そこでモモヤの方も妄想力を働かせる。

「まさか、お前マツバにふられて。
 いや、逆に女子に囲まれたアヅチにマツバが嫉妬??」

どっちにしろ。こりゃあ。

「えぇっと、
 話の流れからして、貴方様はアヅチさんのお兄様?」

クリミアはそこの親族関係の部分を敏感に感じ取った。

「そう言われたら、
 ええっと、そう、そうですね」

じっと、クリミアはモモヤを見つめる。

「皮膚の色が似ている……様な」

「良いよ!!そこ無理矢理探さなくて!!
 俺は親父似、アヅチはお袋似だから!!!」

「あら、何なら髪の色とか変えてみる??」
「この砂一族の秘密のお薬さえあれば」

きゃっきゃとフワとシマが茶化してみる。

「そこのお二人とも少し静かに。
 私は白髪系のアヅチさんもステキだとは思いますが
 やっぱりありのままの黒髪が一番。
 あ、でも金髪に小麦色の肌とかもステキですね。
 あそこに見える海一族の方のような」

と、クリミアが言った先に見えるのは
北一族の村からは遠く離れた海一族の人々。

「ねぇねぇ、見てナギサ
 これ何だろう」
「それは、アレだな
 恐らくウニの亜種だな。とげとげしているし」
「ナギサ、引率である父さんの後をちゃんと付いてくるのだぞ、
 シオリちゃんも同じく。
 そして、それは栗だ!!」

どこかで見た様なヘイマスターとそのご一行が。

「……なんだ、北一族編は
 今までの登場人物再登場の回なのか??」

やたら今までの登場キャラが総出演。
最終回間近か???

ゴホン。

と、クリミアが咳払いをする。

「それはですね。
 今日は北一族の年に一度の祭りの日だからです」

「祭?……そう言えばさっきから
 祭りがどうとか言っていたな」

「ええ!!
 北一族のお祭りは
 全水辺的(全国的なノリで)にも有名なのです。
 それを見学するためにあちらこちらから
 沢山の人がやってくるのですよ」

「そうそう」
「一度は見ておかないとね」

砂一族の2人にまでここまで言わせるとは。

「一体どんな祭りなんだ」

「あ、そうかアヅチお前は」

祭りの内容を知っているモモヤが気付くも
時すでに遅し。

「まめぴよを崇める、まめぴよ祭なのです!!」

じゃーーーーーん、と。
アヅチの眼前に謎の鳥が差し出される。
体長50センチほどのニワトリサイズの鳥。
アヅチとの距離はおおよそ3センチ。
近すぎて逆に見えない。

「これはまめぴよと言って
 主に北一族の村周辺で生息する鳥です。
 (動物界、脊椎動物門、まめぴよ目、
  まめぴよ科まめぴよ属の、まめぴよ)」

北一族の民が
愛してやまない。自慢の鳥。
大なり小なり色んな大きさで存在している。

「……っ!!!」

「生息と言っても、
 飼育されているものがほとんどで、
 なんと豆乳を生み出す不思議な鳥なのです」

「不思議よね~」
「どんな原理になっているのか
 凄く気になるわ」

砂一族の2人は意味深な笑みを浮かべる。

「アヅチ。
 おい、アヅチ大丈夫か??」

モモヤは焦るが
アヅチは動かないし
クリミアは恥ずかしさのあまり下を向きながら話す。

「そして、そして
 このまめぴよの生みたての豆乳を
 カップルで飲むと末永く幸せになれる、とか、なんとか」

きゃー、言っちゃった!!
と、もじもじするクリミアによって
アヅチの顔にはまめぴよがぐりぐりと押しつけられている。





「………」

「アヅチさん??」

「おい君。アヅチは鳥がちょっと」

「え??
 そうだったのですかアヅチさん!!」

なんとここでアヅチの意外な弱点が。

「そうですよね、実はこのまめぴよ。
 豆乳を生み出すという事もあって、
 豆腐っぽい香りがするんです」

わかります。とクリミアは納得する。

「それが苦手って人も多いんですよね。
 例えば、豆腐が嫌いなお方とか!!!」

いや、アヅチが苦手なのは、鳥!!!
その手に持ってるやつ。


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