「で、」
「でかっ!!」
とにかく巨大な同僚!!
なんじゃこりゃー、と、アヅチ・マツバは口をあんぐり。
会場は大混乱。
右へ左へ、逃げまとう人々。
最終的には、
祭りの実行委員会もいなくなり、残ったのは夢幻メンバーのみ。
「一応、確認だけど」
マツバが云う。
「これを倒せば、なんとかなるわよね」
「だろうな」
「でも」
マツバはちらりと、トウノを見る。
「本当に親玉がこっちなら、こっちから倒さないとね」
鼻で笑いながら、マツバは武器を取り出す。
マツバ愛用の、棍棒。
「・・・えっ」
トウノ、ぽかーーん。
「あんた(?)が祭りをめちゃくちゃにして、おいしいものが食べられない恨みよ!」
マツバの本音!
「くっ。しかし俺にはビッグマジックボールがいる!」
トウノ、あきらめない。
ぼーーーん。
ぼ、ぼーーーーーんぼーん。
なぜだか、
本当に、なぜだか、
トウノの声に合わせて、巨大同僚が跳ねる。
「あわ、わ」
「危ないっ」
跳ねるたびに、会場が揺れる。
(とにかくでかい)
「アヅチー! マツバー!! 逃げろー!!」
モモヤの声。
「このくそ忙しい時期(注:南は収穫の時期です)にあいつどこ行ったのよって、姉貴が!」
「!!?」
「とりあえず、南に帰って謝ったがいいぞ!!」
「今、その話!!?」
アヅチは、もっかい鳥肌が立った。
「ちょちょっ、飛雨乃! もうやめてぇええ」
「ビッグマジックボール、発進!!」
トウノのゴー、の合図で、巨大同僚は動き出す。
会場が揺れる!
「おいおい、やめろって!」
アヅチは針を取り出すものの、とても立っていられない。
「んふふ」
「仕方ないわね、今回は手伝ってあげる♪」
アヅチとマツバの間を通り抜けて、フワとシマがトウノに向かう。
「なら、あんたたち、谷一族のトウノを確保よ!!」
「りょーかい~」
「おまかし♪」
「谷一族にはぁ」
「どんな毒が効くのかしら♪」
「んふふ」
「うふふ♪」
「マジックボールいでよ!!」
なぜだか、
本当になぜだか、
またまた、通常サイズの同僚もあふれ出す。
「俺のネバーダークネスネオキングダムのために!」
「お前、さっきとちょっと変わってるし!」
アヅチのツッコミ。
「ああ、もう!」
「邪魔くさいわね~」
視界が悪くなるほど、降り注ぐマジックボール。
「じゃあ、俺も」
なんて、手を上げるタツキ。
「待ちなさい!」
そのタツキを、マツバが制止する。
「これ(夢幻章伝)は、私の話なんだから、指示を出すのは私よ!」
「!!?」(←アヅチ)
「わかったよ、姉さん!」
タツキは胸に手を当てる。
「生きものを殺すと云うのは、気が引けるしな!」
ここにきて、よくわからない東一族精神を語るタツキ。
「わかったのなら、いいわ!」
ぼーーーーん。
ぼぼーーーーん。
「行け、ビッグマジックボール!!」
「谷一族ぅう!」
「捕まえたー♪」
いつのまにか、
トウノの後ろに回り込んでいたフワとシマが、トウノを捕える。
お縄で、ぐるぐる巻き。
「おわーっ!!」
「観念なさーい」
ぐるぐるぐるぐる
「かっこいい!」
「砂一族、かっけぇえ!!」
クリミアとタクトが叫ぶ。
「海も負けてられないね、ナギサ!」
「そうだな、シオリ! でも!!」
ナギサが云う。
「ダメだ、父さん! 山のウニが効かない!!」
「そうだろうな、ナギサ! そして、近いぞ!!」
ナギサと巨大同僚の距離、10cm。
ぼーーーーーん
ぼーんぼーんぼーーーん
がらがらがらがっしゃーーーん!!
「おい、マツバ!」
アヅチが叫ぶ。
「巨大同僚どうにかしないと、北が崩壊するぞ!」
「なぜ!」
マツバがへび呼ロイドを掴んで、云う。
「悪の親玉を捕えたのに、なぜ!!」
「あぶぶぶぶぶぶぅうううう」
がくがく揺すられて、へび呼ロイド白目。
「悪の親玉を捕まえたら、丸く収まるのが常識でしょうがっ!」
「マツ、・・・マツ」
確認ですが、
悪の親玉は、ギャーズンドコズンドコです。
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