TOBA-BLOG

TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「続・夢幻章伝」14

2021年01月22日 | 物語「続・夢幻章伝」
~わっしょい ってさ、どんなときでも勇気をくれるよね~

「ああ、今日は空が青い」

彼は尻が痛いはずなのに。
こんなにも、仲間の目があるのに。

「あ、飛行機雲」

いつの間にか
寝転がったまま頭に手を回し、足を組み、
お、あの鳥。名まえなんだっけ。
とか、考える。

(この世界に飛行機雲は存在しないはずです)

「・・・・・・」
「・・・・・・」

「いや、お前、そんなキャラだっけ?」

おーい、とセイジが声をかける。

「あ、セイジ」
「チナツ、お前本当にどうした」
「彼らを案内するように云われて」

そうそう。

そこにいるのは南一族のふたり、と

「そ、そいつは!!?」

みんな、がばっと狩りの道具を手に取る。
ふわふわうねうねキコキコしているものに焦点を当てる。

「獲物だ!」
「獲物だ!!」

「えぇえ、オイラ獲物じゃないよ、へび呼ロイドだよぅキコキコ」

「しゃべった!!」
「食えるのか!?」
「いや食われるぞ!!」

「そそんな! キコキコ」

へび呼ロイドは全力高速で首を振る。

「オイラが食べるのはみんなと同じ定食だよぅキコキコ」

「定食!?」

本当に何なんだ、これ。

「はいはい。それはともかく!」
マツバが声を上げる。
「ほら、あんた、案内しなさいよ!」

ふたりと一匹で運んだとは云え、重かったんだから!

「まあまあ」
チナツはゆっくりと上半身を上げる。
「慌てるなよ。それ、今年の目標」
「めっちゃ新年感出してきたな」
「あと、太らない」
「あわわキコキコ」
へび呼ロイドはきゃっ、と口に手を当てる。
「こんなに毎日冒険に明け暮れても、なぜだか太っちゃう」

おいしいもの食べまくってるからね。

「ねぇ、どうする、セイジ?」

この場のヒロインと云わんばかりのオーラで
モミジが口を挟む。

「困ってるようだけど、狩りの片付けもあるし」

「うわぁわあああ、そうですよね! 忙しいですよね!!キコキコ!」

すんませんすんませんと、へび呼ロイドはあたまを下げる。

「肉は鮮度が大切だからな!」

いい加減起きろよ、と、セイジはチナツを立たせる。

「ほら! みんなはじめるぞ!!」

セイジの声に

モミジ、ユウヤ、なんかたくさん。
おー!! と、声を上げる。

南一族では見られない、狩りのあとの作業。(捌く)

「さ。行こうか」

ふっ、と、チナツは方向を変える。

「みんな、忙しいみたいだから、さ」

そして、

「えぇえ!? キコキコ」
「おいおい!」
「ちょっと!!!」

チナツは寝そべる。

「行こうよ、村長の屋敷へ」

「・・・これは、もしかして、運べと云うことなのか!!」

ワッショイ
わっしょい
ワッショイ
わっしょい

~わっしょいってさ、どんなときでも、やると疲れるよね~

「あ、お前ら、村長のところ行くの?」

すごい手のセイジが、顔を上げる。

「そうよ、スタンプもらいにね!!」
「スタンプ?」
「早くしないと、お昼食べ損ねちゃうから!」

あと早く西一族の村を出たい。

「マツバ食べ過ぎだよ~(汗)」
「人は口からの食べ物を必要とする生き物なのよ!」
「物事には限度があぁあああ」

「あのさ」

セイジが云う。

「ヒビキに連れて行ってもらえよ」

ん? と、アヅチとマツバはセイジを見る。

「こいつ、村長の息子だから」

「なん、」
「何ですって!!」

すすっと出てきたのは、まだ幼い子。

「助かった! これでスタンプゲットね」
「よかったよぅキコキコ」
「じゃあ」

アヅチとマツバは頷き、足下を見る。

これ、運ぶ必要なくね?




NEXT



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。