「満樹~」
「ツイナ!」
「海一族って珍しいよねぇ」
東一族では。
「俺のこと忘れていただろう~!」
「ああ、いやぁ」
言葉を濁しつつ満樹は、
「何だか、たくましくなった? ツイナ」
ツイナの姿をまじまじと見る。
自分より年下と云うこともあって
もちろん、一回り小さかったツイナであるが、
こう
日に焼けて、健康的な肌?(注:もともと海一族は褐色です)
腕とかムッキムキ?
「修羅場を乗り越えたんだなぁ」
うんうん、と
知りもしない水樹が、頷く。
「何でこうなったかって!」
ツイナは満樹に食い掛ると見せかけて、遠い空を見る。
「南一族に豆収穫をさせられたからだよ!!」
「あ、あ~」
あ~、はいはい。
そうでした。
「満樹も豆の収穫を手伝ったって、南の人が云ってたぞ!」
「うん。やった」
「なのに、なぜ、ムキムキマッチョになっていない!?」
「えっ、何を求めてるの!?」
南一族の豆収穫とはいったい。
「今はムキムキマッチョ。筋トレをした方が空気を読めているよ!」
西一族の方からも、そんな雰囲気が・・・。
(前回参照)
「よくぞ、東にたどり着いた!!」
「ありがとう、東の人!!」
ツイナと水樹は握手をする。
「3年後、身近な人から生焼けクッキーを食べさせられるだろう!!」
「むむっ」
水樹は、ツイナをのぞき込む。
「何だそれは!?」
「握手ついでの先視だ!」
「そうか!」
再度、うんうん、と水樹は頷き。
「東一族の村の案内は、俺に任せてくれ!」
「頼んだ!」
とりあえず、まとまった。
「何食べたい?」
「豆は食べ飽きたな~」
「東も野菜しかないぞ」
ザッツ菜食主義。
肉や魚は食べません。
「甘いものとか?」
「ああ。ならいろいろと」
「その前にひとっぷろ浴びれる?」
「外向け浴場はあっちだ」
わいわい盛り上がる、ツイナと水樹に
ぽつりと満樹は呟く。
「そんなにゆっくりしていていいのか?」
「たまには休息も必要だよ~」
京子と、北での約束の日に間に合うのか。
「俺、先に北へ向かったらどうする?」
「北へ?」
何で? と、ツイナではなく水樹が首を傾げる。
「すぐにでも、北へ向かうってこと? 兄さん??」
「そう」
「何で?」
水樹は反対側にも首を傾げる。
「それは、俺の自由だろう」
満樹は水樹を見る。
「まさか、一緒に行きたいとか云うんじゃないだろうな」
このノリで、ツイナと水樹のダブルパンチはつらい。
ふたり合わせて、超化学反応しそうな気がする!
(ふたりのやり取りを見て、満樹の見解)
「違うよ兄さん?」
「えっ?」
水樹が何かを取り出す。
―― 東一族 砂漠当番 シフト表 ――
「明日、砂漠当番のシフト入っているよ~」
「えぇええええ!!?」
バイトか。
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