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TOBA2人のイラストと物語な毎日
現在は「続・夢幻章伝」掲載中。

「約束の夜」16

2017年09月08日 | 物語「約束の夜」

満樹と戒院は、北の外れに出る。

「務めの手がかりはあったのか」
「いや」

満樹は振り返り、歩いてきた通りを見る。
時間のある限り北の村を回ったが、これと云った情報はない。
日はすでに落ち、月が出ている。

「時間切れかー」

戒院は息を吐く。

辺りには、誰もいない。

「俺は東に戻る。お前は?」
「・・・・・・」
「大将には何と云われているんだ?」
「それは・・・」

成果がなかったので、満樹は谷一族の村へと向かいたかった。
けれども、
大将からは、北で情報収集後、東に戻るようにと云わている。

「満樹。俺は明日、実習日だから」
「なら帰れ」
「お前も帰ろうって」
「ひとりで帰れないのか」
「そう云うことじゃなく」

満樹は、戒院を見る。

うーん、と、考えるように戒院は頭をかく。

まさか

「俺、満樹と東に戻るよう云われているんだよ」
「・・・やっぱり」

何だよ、と、満樹は呟く。

「大将もお前のことを心配しているからな」
「も?」
「あと、お前の父親」
「・・・・・・」
「な?」
「いったい、何を心配しているんだ」
「それは知らねぇよ」

戒院は帰るよう、満樹を促す。

「ほら」
「・・・・・・」
「満樹」
「・・・・・・」
「満樹!」
「待て」

満樹はあたりを見る。
辺りには誰もいない、はず。

月夜。

「誰だ」

満樹は声を出す。

どこからともなく、人。
ひとり、ふたり、・・・

「何だよ・・・」

戒院も、声を出す。

全部で5人。

ひとりは、

「お前昼間の!」

思わず、戒院は指を差す。

昼間
西の女からバックを盗んでいた者。

「うん。ああ、無事だったんだ」

「俺たちが何をしに来たか、判るか」
「さあ?」
「敵討ちだよ」
「は?」

戒院が云う。

「怪我しない程度にしてやっただろ」
「俺がな」

満樹は口を挟む。
放った矢には、矢じりはなかった。
ただ、当たっただけ。

そもそも、他人のバックを盗んだやつなのだ。

これは、云いがかり。

「思い知らせてやる」
「思い、知らせる?」
「俺たちが誰だか知っているのか」
「知らない」

「裏一族、だよ」

満樹と戒院は顔を見合わせる。

「裏?」
「一族・・・」

「・・・・・・」
「・・・・・・」

「どうだ。謝るなら、」

「ぷっ、」

満樹と戒院は声を出して笑う。

「そんな判りやすい裏がいるかよ!」
「裏があの程度の盗みをするのか」

「・・・っ!」
「お前らっ!!」

戒院は笑いが止まらない。

「東をやっちまえ!」



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