くつした編みをしない日はないくらいに、くつしたを編んでいる。
家事の合間の10分のときもあるし、40分編み続けることもある。
すこしでも時間があると編む。
だから私の座る場所の横には簡単な道具を入れたカゴが置いてある。
いろいろなことが起こって、ココロが揺れてしまうときとか
イラッとするときに、ちょこちょこと編み棒を動かして数段編むだけで
だいぶちがう。
作家の坂口恭平さんが、家事をしていると、畑をしていると鬱がとおのくって書いていた。
わたしには両方ともとてもよくわかる。
そういえば坂口さんは編み物もしていたっけ。手編みのセーターが素敵だった。
はじめて編んだくつしたに比べると、細い糸のものが編めるようになったし
カカトもいろんな編み方を覚えた。それもうれしい。
毛糸はだいたい昭和に暮らしていたおばあさんたちのもので
糸が切れていっぱい結んであるものもある。
この輪針はワイヤーに針先が溶接してあり
おそらく売ってなかったので、近場の誰かに作ってもらったんだと思う。
むかし編み物をしていた人たちも、編みながら日常を手の中に
納めていたのだろう。
わたしもおそらく同じことをしている。