「縄文号とパクール号の航海」をシネマスコーレで観て来た、
もうすぐ13歳になる息子と父ちゃんと三人。
映画は船となる大木を切るための斧、を作るための鉄(砂鉄)、
を磁石で集めることから始まる。
集めた鉄はタタラの技術で斧に仕上げられ、インドネシアで大木を伐倒するのに使われる。
大木は丸木船に彫り上げられ、外側には木灰と植物油を練り上げたものが塗られ、
帆はヤシの繊維を織る。
徹底して手で作る。
この縄文号に寄り添って走るのがインドネシア・マンダール人伝統のパクール船。
冒険家関野吉晴、教え子の大学生ふたりをふくむ日本人クルー4名と
マンダール人6名のクルーは、この二隻の船で、インドネシアから日本までの4700kmを
寄港しつつ、ときに途中中断を余儀なくされながら2009~2011にわたって旅する。
関野吉晴「効率の悪いバカなことをやってると思う。でも効率が悪いことが何かを生むと思う。
街の生活って管だらけでしょ。一本管が途絶えたらもう生活が成り立たない。
でもこの船をみて。なにも管がないでしょ」。
文化も考え方も違う日本人とマンダール人のクルーたちは、緊張と疲労が募る中、
ぶつかったりもしながら、言葉で表せない何かを共有していく。
ニンゲンてすごいなあ~って久しぶりに思った。そして素敵だとも。
フクザツになってしまった今の世の中は、じつはこんなシンプルなもので最初できていたのだ。
人とのつながりも、生活も道具も。
この映画はオトナに近づいてくる息子に観せたかった。
純粋なものだけを持つオトナになってほしいな。